■排気量に異変! 交通取り締まり仕様にも2Lターボを採用
ところで、今モデルでもっとも衝撃的だったのが、無線警ら車(2WD)と交通取り締まり用(覆面パトカーも含む)のエンジンが、同一の2Lターボになったことだ。これまで交通用パトカーは、3L以上の大排気量エンジンをずっと採用し続けて来たが、ここに来て突然その仕様が崩れたのだ。
パトカーには、その導入にあたって、必ず仕様書が存在する。これはその車両が使用される目的に応じて、ボディタイプやエンジン出力など、細部に至るまで厳しい条件が記されているもので、入札するメーカーはそれらを満たす車両を用意しなければならない。
これまでクラウンの無線警ら車(2WD)は排気量2,500cc以上、交通取締用四輪車は排気量3,000cc級以上と差別化されていたにも関わらず、今回は同一の2Lターボが採用されることとなった。まだ交通用パトカーの本格運用は始まっていないが、はたして現場からどのような声が聞かれるのだろうか……。なお、無線警ら車の4WD仕様に関しては、歴代クラウンパトカーでは初のハイブリッド&CVTの採用となる。
■何がどう変わった? 220系クラウンパトカーのディテール分解
次は、エクステリアを見て行こう。まず目を引くのがドアミラーの黒だ。170系クラウンパトカー以降、ドアミラーが採用されているが、これまではパトカーのツートンボディにあわせて、ドアミラーは白色で塗装されていた。ところが、220系では黒色ドアミラーとなっている。
また、旭日章(警察マーク)の位置がボンネット上へ変更になっている。歴代のクラウンパトカーは、フロントグリルに旭日章を掲げていたが、220系ではクラウンのエンブレムにミリ波レーダーが標準装備されているため、旭日章はボンネット上へと追いやられる格好になっている。このような仕様は近年導入された警察車両でよく見かける傾向で、時代の流れを感じる。
前面警光灯は全モデルでフロントグリル内への装着となった。210系では警ら用はロイヤル系、交通用はアスリート系という具合に、ベース車が異なったため、フロントグリルに明確な差があったが、220系はいずれのモデルも同じ顔つきとなる。
リアに目をやると、マフラーは4本出しとなっており、パトカーらしからぬヤル気を感じさせる雰囲気となった。また、ラジオ等のオーディオアンテナはルーフに標準装備されているシャークアンテナが備わっている。
■違和感ありありの足元と現場の評価は?
220系クラウンパトカーでもっとも違和感を覚えるのはホイールサイズかもしれない。
なかでも、無線警ら車(2WD)と交通取締用四輪車は16インチのアルミホイールを装着し、市販のクラウンRS系(18インチが標準)とはまったく違う印象を抱かせる。ちなみに4WD仕様車はハイブリッド車をベースとしているため、ハイブリッド仕様車の17インチ標準アルミを履いている。
本格稼働はまだ警ら車だけだが、現場での評判は良好だ。「安定した走りでさすがはクラウンという感じ。まだまだ使い慣れてないためもっと慣れが必要だが、非常に安心感がある。また、クリアランスソナーが標準装備されたのはありがたい」との声を聞くことができた。唯一の難点はサイレン用アンプがこれまでのパトライト社製からトヨタ製へと変更となったため、手先が迷うとのこと。これは各地を取材して聞かれた声である。
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