無免&ノーヘルOKって大丈夫なの? 原付の新分類「小型低速車」って何?

海外では自転車ヘルメットを着用するケースも

 安全性や年齢制限に関しては、海外の例も詳しく調査している。報告書を元に筆者がまとめてみたのが以下の表だ。どの国も一定の年齢制限が設けられ、ほとんどが歩道走行は禁止。免許は各国でまちまちだが、ヘルメット(自転車用でも可)を着用するケースは多い。

 なおドイツでは、2020年1~7月における最高速6~20km/hの電動車による人身事故は916件、うち死亡者は5名。フランスで2019年における電動ボードほかエンジン付コミューター利用時の事故死者は10名だった。

英国では公道走行不可だが、2020年7月からレンタルなど一定の要件を満たした車両のみ特例的に認可。教習&試験不要の仮免許でも運転できる
英国では公道走行不可だが、2020年7月からレンタルなど一定の要件を満たした車両のみ特例的に認可。教習&試験不要の仮免許でも運転できる

 まとめると、警察庁としても巷の声は聞いており、切々と反論しているように見える。確かに新しい乗り物を「原付」と一括りにするより合理的と言えるかもしれない。ただ、自転車でさえ交通ルールを守らない人が多い中、無免許の電動ボードまで公道にあふれるとなれば、安全性に疑問が残る。

 また筆者としては、一般的な原付バイクとの差があまりに大きくなるように思う。原付の最高速度は30km/hで、免許はもちろん、自賠責などの保険、軽自動車税が必要で、ヘルメット着用、通行帯は車道で二段階右折が必要…など制約が多い。

 一方、最高速が10km/h違うだけで、新たな低速走行車はこれらの制約が少ない。不公平感が大きいと思うのは筆者だけだろうか。

 そもそも原付の30km/h規制が始まったのは1952年。ホンダA型など“バタバタ”の動力性能を基に決められており、今や現状に即しているとは全く言い難い。これを機に、既存の原付に関しても制度の見直しをすべきではないだろうか?

原付一種(50cc未満)の販売台数減少は1986年のヘルメット着用と二段階右折の義務化が発端になった。これらの規制緩和は一切ないままEVで緩和方向へ警察庁が舵を切るのは不公平?
原付一種(50cc未満)の販売台数減少は1986年のヘルメット着用と二段階右折の義務化が発端になった。これらの規制緩和は一切ないままEVで緩和方向へ警察庁が舵を切るのは不公平?

早ければ春にも施行? 意見はパブコメまで

 今後、報告書の方針を元に道交法改正が予定されている。通常国会の会期は例年1~6月で、早ければ春頃に法改正の可能もある。ただし、法案提出の前にパブリックコメントで国民からの声を募るはずだ。

 警視庁によると、電動キックボードの事故は2021年1~11月末までに人身事故16件を含む60件の事故が発生。全国的には同9~10月の2か月で、取り締まりや指導を受けたケースは180件超、人身事故1件、物損事故14件が発生したという。

 せっかく規制緩和しても、事故が増えちゃいました! では話にならない。意見のある方も多いだろうが、パブコメで国に要望を提出してみてはいかだろうか。

「次期通常国会での法案提出も視野に入れて、具体的な制度の在り方について、関係省庁とも連携して検討を進めていきたい」と二之湯智 国家公安委員会委員が発言
「次期通常国会での法案提出も視野に入れて、具体的な制度の在り方について、関係省庁とも連携して検討を進めていきたい」と二之湯智 国家公安委員会委員が発言
【画像ギャラリー】急速に姿を変えつつある原付(50cc)の最新動向(11枚)画像ギャラリー

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