無免&ノーヘルOKって大丈夫なの? 原付の新分類「小型低速車」って何?


 16歳以上なら免許なしで乗車でき、車道も歩道も走行OK…。警察庁は道路交通法を改正し、一部の電動キックボードを含む「小型低速車」なる新カテゴリーを定める方針だ。

 電動ボードの危険性が指摘される中、警察庁が推し進める道路交通法改正をその背景を含め内容を検証してみた。

文/沼尾宏明、写真/Luup、HONDA他

【画像ギャラリー】急速に姿を変えつつある原付(50cc)の最新動向(11枚)画像ギャラリー

警察庁が提案、“新原付”として3つのカテゴリーを設定

 12月23日、警察庁は、電動キックボードを含む次世代モビリティに関する今後の方針を明らかにした。

 「多様な交通主体の交通ルール等の 在り方に関する有識者検討会」の報告書には、同検討会のまとめと警察庁の見解が示され、新たに一部の電動キックボードを「小型低速車」として位置づけている。

報告書はPDFで78ページに及び、法改正の理由と根拠が書いてある。上記は警察庁「多様な交通主体の交通ルール等の在り方」報告書概要より抜粋

 報告書では、一定の大きさ以下の電動モビリティを最高速度に応じて3つの新カテゴリーに区分した。

 1つ目は歩道通行車(最高速6~10km/h)で、電動車いすや自動配送ロボットが該当。

 2つ目は小型低速車(最高速15~20km/h)。車道、普通自転車専用通行帯、自転車道を通行できるが、歩道や路側帯を通行する際は、最高速度の制御とそれに連動する表示が必要となる。最高速が低い電動キックボードも従来は50cc以下の「原付バイク」扱いだったが、新たにこのカテゴリーに入るのだ。

 3つ目は既存の原動機付自転車等(最高速15~20km/h超)。パワーのある電動キックボードは従来どおり原付扱いとなり、通行は車道のみ。運転には免許やヘルメットが必要だ。

 2つ目の「小型低速車」に含まれる電動キックボードは、16歳以上なら免許不要で、ヘルメットの着用義務もナシの方向で検討中。立ち乗りでも座り乗りでもよく、車体は自転車並みの大きさ(長さ190cm×幅60cm)とするのが現状の方針だ。

 これまで電動キックボードは、原付免許とヘルメット、ナンバープレート等が必要だった。しかし2021年4月から都内など特定エリアで実証実験を行い、「ノーヘル」「二段階右折不要」などのルールを「特例」として認めてきた。法改正されれば、このルールが全国でも適用されることになる。

電動ボードの実証実験では、特定エリアのみ小型特殊自動車として扱い、ヘルメットが不要。Luup、mobby、EXx、長谷川工業ら電動ボードのシェアリング事業者が参加した

20km/h未満の電動ボードは、自転車と原付の中間的存在

 なぜ、警察庁はこれらの方針を推し進めるのか。その根拠を探ってみた。

 まず前提として、電動キックボードの実証実験と今後予定される法改正は、電動キックボードのシェアリング事業者が経済産業省に要望したことがきっかけ。従来の原付に必要な免許やヘルメットといったハードルを緩和し、経済の振興を狙うもので、これに関係省庁が連携した格好だ。

 「免許なし」の根拠は、低速の電動ボードを「自転車」に近い乗り物として見ていることが根拠のようだ。

 前述の報告書によると、警察庁では「最高速度に着目」。電動ボードら新モビリティは、定格出力が一般的な原付(0.6kW以下)に近いとは言え、最高速はより低いモデルが多い。そこで「最高速度」に着目して車両区分を定めるのが適当とのこと。今まで「原付」のカテゴリーに無理やり新モビリティを全てを押し込めていたが、これを区別する意味合いがある。

 小型低速車は、最高速度が低く制限され、運転操作も一般的な原付と比較して容易と警察庁は分析。免許が必要とは言えないものの、「危険性が必ずしも自転車と同程度であるとは言えず」、自転車のように全く制限を加えないのも「不適当」。海外でも年齢制限を設けている。

 そこで出てきたのが「16歳以上」という制限。原付免許は16歳以上から取得できるが、これは「一定の精神的な成熟性を必要としているから」で、電動キックボードほか「小型低速車も同様とすべきである」としている。

モーターと人力のハイブリッド機構を採用したグラフィットのGFR-02は最高速度30km/hで扱いは原付。ただし、モーター未使用時は自転車扱いされることも。規制緩和を実現した先例と言える

次ページは : 実はまだノーヘルは決定事項ではない?