アメリカの大型ゴミ収集車にも電動化の波が!? マック・トラックスがLRエレクトリックの量産開始

アメリカの大型ゴミ収集車にも電動化の波が!? マック・トラックスがLRエレクトリックの量産開始

 アメリカ・ノースカロライナのトラックメーカー、マック・トラックスは塵芥車用大型トラック「LR」のBEV(バッテリー式EV)バージョン、「LRエレクトリック」の量産開始を発表した。

 同社初の大型BEVトラックは、北米市場および輸出向けクラス8トラックを製造するペンシルバニア州のLVOで生産する。

 ストップ&ゴーが多い塵芥車は電動化に適した車両だが、こうした専門シャシーが存在するのはアメリカの強みとも言える。さらに、塵芥車の顧客は大部分が都市の衛生局など公共部門となるため、「脱炭素」の公約実現のための需要も多い。

 LRエレクトリックの量産開始は、アメリカでトラックの電動化が急速に進展していることを伺わせる。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/マック・トラックス

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塵芥車用のキャブオーバートラックを電動化

 アメリカのトラックメーカーでボルボ・グループ傘下のマック・トラックスは12月20日、クラス8大型BEVトラック「LRエレクトリック」の量産開始を発表した。

Mack LR Electric
量産を開始したマック・LRエレクトリック

 国内外のクラス8級トラックを担当するペンシルバニア州の工場(LVO=リーハイバレー・オペレーション)で製造する。

 ちなみに、フル電動のクラス8トラックは同社初となる。

 4つのリチウムイオンバッテリーを搭載し、150kWでの充電(SAE J1772)に対応する。このバッテリーは、駆動系の600Vのほか、アクセサリなど12/24Vの低圧系にも電力を供給する。

 2機のACモーターの出力は、334(continuous) / 400kW(peak)、バッテリーにはNMC(Nickel Manganese Cobalt Oxide)リチウムイオン電池を採用する。

 大型BEVでは2段のトランスミッションを採用するケースが多くなってきたが、LRエレクトリックも2段のマック・パワーシフトトランスミッションを搭載する。

 積載量は2万5500ポンド(約11.6t)、GVWは66000ポンド(約30t)。

 3モードの回生ブレーキを搭載するほか、塵芥車用トラックだけに、左右にハンドルがあり、立った姿勢でも運転できるデュアル・ドライビング・キャブが標準。

LRエレクトリックのフロントビュー。左ハンドルのアメリカだが、歩道側への乗り降りが多い塵芥車には右ハンドルのニーズがある。写真のLRエレクトリックには左右にハンドルがある
LRエレクトリックのフロントビュー。左ハンドルのアメリカだが、歩道側への乗り降りが多い塵芥車には右ハンドルのニーズがある。写真のLRエレクトリックには左右にハンドルがある
LRエレクトリックのドライバーズサイド(左側)ビュー
LRエレクトリックのドライバーズサイド(左側)ビュー
LRエレクトリックのサイドビュー
LRエレクトリックのサイドビュー

 LRはアメリカでは塵芥車(ゴミ収集車)などの用途が多いCOE(キャブオーバー)トラックで、架装ニーズはさまざまだが、ディーゼル版と同等の架装性を確保したほか、操作性や視認性なども同等となっている。

 マックのトレードマークとなっているブルドックのオーナメントは、赤銅色に塗られて2枚ガラス式のフロントウインドウ中央下部に鎮座し、電動車両であることを誇示している。

製造中のLRエレクトリック。ブルドックのオーナメントはマックトラックのシンボルだが、EVでは赤銅色に塗られている
製造中のLRエレクトリック。ブルドックのオーナメントはマックトラックのシンボルだが、EVでは赤銅色に塗られている

 ボンネットトラックのイメージが強いアメリカだが、COEトラックも活躍している。特に、一日に数百回のストップ&ゴーを繰り返す塵芥車は電動化に適した車両でもある。

 マックがLRの電動モデルをローンチすると発表したのは2018年だった。最初のデモンストレーション車両がニューヨーク市の衛生局に届けられたのは2020年で、実際の現場で実用試験を行なってきた。

 その後、第2弾のデモをノースカロライナ州で行なったほか、最近ニューヨーク市がLRエレクトリック7台を購入する計画を明らかにするなど、ユーザーから好感されていた。

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