大陸横断ツアラーにもワルっぽいSTが新登場
長距離巡航が得意なグランドアメリカンツーリングにも「ST」が2車種登場した。ローライダーSTと同様、ブラックで統一したエンジンやブロンズ色のホイールなどで西海岸スタイルを踏襲している。
おなじみのヤッコカウルを備えた「ストリートグライドST」は、ショートタイプのフロントフェンダーや、薄型のダークシールドを採用。
2眼ヘッドライトを収めたシャークノーズカウルを持つ「ロードグライドST」は、小型シールドをはじめ、薄型のエンジンガード、前方に露出したエアクリーナーなどが特徴だ。
贅を尽くしたカスタムシリーズに4車種を追加
職人が手作業で組み上げる豪華絢爛カスタムシリーズのCVOには、4モデルが新登場。前掲の新作と同様、全車に1923ccのミルウォーキーエイト117を搭載し、慣性計測ユニット(IMU)による安全システム「コーナリングライダーセーフティエンハンスメント」や高性能オーディオを採用する。
空冷とは別次元、現代的で驚速の水冷スポスタに乗った!
名車オマージュのローライダーSTに加え、グランドアメリカンツーリングには歴代名車のデザインを復刻する「アイコンコレクション」シリーズが2021年から開始された。このように巨艦クルーザー系がクラシック路線を強化するのに対し、「スポーツ」と「アドベンチャーツーリング」は革新路線を歩む。
現時点でスポーツに分類されるのは「スポーツスターS」のみだ。1957年の初代スポーツスターからOHVヘッドの空冷Vツインを頑なに守り続けてきたが、ついに生産終了。代わって2021年秋にデビューしたブランニューが水冷のスポーツスターSだ。
本作は、2021年春に登場したハーレー初のアドベンチャーモデルであるパンアメリカ譲りの水冷1252cc60度Vツインを搭載。スタイルも上下2分割の角眼ヘッドライトに、ファットな前後タイヤ、2本出しアップマフラーなど若者向けのトガッたスタイルを持つ。
さらにパワーモードやトラクションコントロールなどの電脳デバイスも備え、まさに“新世代のハーレー”を象徴する1台だ。
スポーツスターSは1252cc水冷Vツインを搭載し、121ps&12.75kg-mを発生。2022年型では白と緑の新色が登場し、黒は継続される。194万8100円~
試乗したフィーリングも新感覚だった。都内を軽く流したのみだが、従来のスポーツスターというワクに収まらない仕上がりなのだ。
とにかくダッシュ力が凄まじい。3段階のパワーモードを最もスポーティな状態にすると、鋭くリニアに加速し、軽やかに高回転まで吹け上がる。軸間距離1520mmのロング&ローな車体も加速に有利で、VMAXやディアベルのようなドラッグマシンに仕上がっている。
一方でモードを変更すれば、実にマイルドな特性に早変わり。ハーレーらしく足着き性は両足がベタベタで、ビッグバイク初心者にも扱えるはずだ。
コーナリングも意外やネイキッドに近い雰囲気。一般的にゴツいタイヤは抵抗があって曲がりにくい場合が多々あるのに、本作は自然に車体が寝て、素直にコーナリングできる。リヤタイヤのスリップを抑制するトラコンも安心感に一役買う。
従来の空冷スポーツスターのようなマッタリしたエンジン特性や、深くバンクさせるとすぐに車体が接地するような旧車っぽさとは無縁。まさに現代のバイクだ。
ライディングポジションもフレンドリーだ。上体はやや前傾し、ステップ位置は前側のフォワードステップのため、身体が「く」の字気味になるが、ヒザの曲がりに余裕がある。
従来のハーレーは大柄な西洋人を基準にしており、フォワードステップ採用車のV-RODやフォーティエイトなどは、平均的な日本人では手足が届きにくかった。
一方、新型のスポーツスターSはアジア人の体型にも配慮して設計された印象だ。
隙のないラインナップでセールスは上向きに転じるか?
ハーレーは長年、輸入バイクの国内シェア1位を堅持しているものの、近頃はセールスが減少していた。2017年の国内販売1万台から年々落ち込み、2020年は約8000台に。ところが、2021年は7900台強で販売は下げ止まったと言えるだろう(データは『二輪車新聞 2022年新年号』より)。
2022年のラインナップは、カテゴリーを明確化するとともに、ローライダーSTら懐古路線が一層充実した。新機軸のスポーツスターSも予約が好調で、2021年秋の段階で既に500台を受注。いよいよ1月から出荷が始まった。死角のないラインナップで、2022年のハーレーは勢いを増しそうだ。
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