新型はEVになる!?  日本人の生活に寄り添ってきた歴代日産マーチという存在を改めて考える

■4代目:2010年登場でVプラットフォーム採用も新興国向け仕様では魅力半減

 現行型4代目マーチはタイ、中国、インド、メキシコといった新興国で生産されるコンパクトカーに移行し、日本向けはタイ国製となった。

4代目(K12)。エントリーモデル用に新開発されたVプラットフォームやエンジンを搭載したものの、簡素な装備や新興国での生産を前提とした品質の甘さが日本では災いし、販売不振に陥った
4代目(K12)。エントリーモデル用に新開発されたVプラットフォームやエンジンを搭載したものの、簡素な装備や新興国での生産を前提とした品質の甘さが日本では災いし、販売不振に陥った
これまでのマーチにあった実用+αの魅力に欠ける現行K13型の内装。ゴーン体制の日本軽視姿勢が商品性の低下を招き、販売不振となる悪循環に陥ってしまった
これまでのマーチにあった実用+αの魅力に欠ける現行K13型の内装。ゴーン体制の日本軽視姿勢が商品性の低下を招き、販売不振となる悪循環に陥ってしまった

 現行マーチはアイドリングストップ付きもある1.2L3気筒エンジン+CVTによる燃費のよさこそ目立っていたものの、それ以外は現在まで全体的に安っぽさが目に付いた。絶対的な価格の安いモデルはあるものの、ライバル車なども見ると相対的に価格も安くないなど、魅力に欠けるというのが率直な印象で、販売も低迷が続いている。

それでも魅力の向上につなげようと頑張るのがオーテックとニスモ。それぞれ定番の特装車を開発、販売している。写真はオーテックバージョンである「ボレロ」
それでも魅力の向上につなげようと頑張るのがオーテックとニスモ。それぞれ定番の特装車を開発、販売している。写真はオーテックバージョンである「ボレロ」

 しかし、コンプリートカーとなるスポーツモデルに関しては、MT車の設定もあるNISMOは荒っぽいところもある代わりにスポーツモデルらしい楽しさを備えており、その点は救いとなっている。

■長年日産のエントリーモデルだったマーチ。軽の登場で微妙な立場になってしまった

 マーチの存在意義は日産のエントリーモデルとして幅広いユーザーが満足できることだと思うが、このことが現行モデルでスポーツモデル以外途切れてしまったのは残念である。

 さらに、現行型になってから日産のエントリーモデルの役割は軽自動車とノートにシフトしていることもあり、マーチの存在意義がさらに希薄になっているのもマーチにとっては辛い。

欧州ではマイクラとして販売。その欧州ではK13を諦め同じVプラットフォームベースにK14を開発し、2017年より発売。日本にも導入してほしいカッコよさだが、日産にその気はないようだ
欧州ではマイクラとして販売。その欧州ではK13を諦め同じVプラットフォームベースにK14を開発し、2017年より発売。日本にも導入してほしいカッコよさだが、日産にその気はないようだ

 マーチの将来に関しては冒頭に書いたEVとなる欧州向けマイクラが日本向けマーチの後継車になるという。今年登場する軽EVとリーフの間に位置するEVがあってもいい気もするが、そちらの可能性は低いだろう。

 しかし、アライアンスを結ぶ日産と三菱においてマーチとミラージュは車格やタイ国で生産される点など共通するところが多いだけに、次期マーチが次期ミラージュの兄弟車となることは充分考えられる。

日産は今年軽EVを発売予定だ。販売価格を抑えるため近距離用に特化するようなので、プレミアムモデルと軽EVの間に現在開発中の次期マイクラEVを投入してほしいものだが、これも難しそうだ<br>
日産は今年軽EVを発売予定だ。販売価格を抑えるため近距離用に特化するようなので、プレミアムモデルと軽EVの間に現在開発中の次期マイクラEVを投入してほしいものだが、これも難しそうだ

 もしそうであれば、新型アウトランダーで2社のアライアンスは「いいクルマをリーズナブルに作る」という目的にもうまく噛み合っているのが確認できているだけに、両社で役割分担や棲み分けを行いながら、今度は各々が魅力的なモデルとなることを期待したい。

【画像ギャラリー】考えてみたら今年でマーチ発売40周年!!マーチとその兄弟車を振り返る(19枚)画像ギャラリー

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