日産「マーチ」といえば、長らく日産のエントリーカーの代名詞だった。その「マーチ」は今年で発売40周年を迎えるが、日本での人気はかつての見る影もないほど低迷。おそらくこれまでの歩みを見ると今の低迷の要因も見えるのではないか??
初代マーチ(K10)。日産がリッターカー参入にあたり、プリンス系の技術を投入して開発。生産はスカイラインと同じ村山工場だったが専用ラインを新設する気合の入りようだった
初代マーチは1982年から10年間の長期にわたって生産。様々な派生モデルが誕生した。スポーツ系では’85年には85馬力(ネット76馬力)のターボ、’89年には110馬力のスーパーターボモデルを投入
後期型マーチに追加されたMA09ERTエンジン。MA10ET(983㏄ターボ)をベースに排気量を930㏄へダウンした上にスーパーチャージャーを追加したエンジンだ。赤い塗装にいかにもプリンス系のこだわりを感じる
日産バブル期の象徴?パイクカーも全て初代マーチがベースとなった。’87年に「Be-1」、’89年に「パオ」、’91年には「フィガロ」を発売し、30年以上経った今も人気を博す名車だ
日産パイクカー第2弾の「パオ」探検をイメージしており、パイプにこだわる内装など、限定車らしからぬ凝りようだった。エンジンは1.0LのMA10Sを搭載。52馬力と現代の軽自動車並みのパワーだった
日産パイクカーのラストは「フィガロ」小型クーペ的なスタイリングと電動ルーフが特徴で大人気となった。さすがにボディも重くなり、ターボ付きのMA10ET(76馬力)を搭載した。未だに人気の
2代目(K11)。愛らしいスタイルながら実用的な居住空間を備え、発売から10年コンスタントに売れ続けた。初代キューブもこのモデルをベースに開発・発売された
「マーチカブリオレ」実用モデルのイメージが強いが、こんな遊び心満載なオープンカーも存在した。幌の架装は横浜市にある車体メーカー、高田工業への委託生産となった
もう一つの派生モデル「BOX」コンパクトなマーチでは望めない積載性を求めたらこうなった?堅調に売れたベースモデルとは裏腹に販売は全く振るわなかった
K11型マーチをベースに開発されたのが初代「キューブ」(Z10型)だ。マーチのホイールベースそのままにトールボーイ化したものだったため若干アンバランス感はあるが、使い勝手の良さがウケてヒット車となった
キューブのリアスタイル。大きなハッチゲートを開けずとも荷物が取り出せるガラスハッチを装備。とことん道具感を強調したこともマーチとの差別化が図れ、ヒットした要因かもしれない
3代目(K12)。90年代末に経営危機を迎えた日産はルノーとの資本提携を締結。その提携後に発売されたのが3代目だ。ご覧の通り「カエル顔」のファニーな外観となったものの、カラフルな塗装も話題となり人気は継続した
K12の室内。しっかりデザインされたオシャレな内装で、居心地が良いだけでなく、インテリジェントキーなどの便利装備も設定し好評だった
4代目(K13)。エントリーモデル用に新開発されたVプラットフォームやエンジンを搭載したものの、簡素な装備や新興国での生産を前提とした品質の甘さが日本では災いし、販売不振に陥った
これまでのマーチにあった実用+αの魅力に欠ける現行K13型の内装。ゴーン体制の日本軽視姿勢が商品性の低下を招き、販売不振となる悪循環に陥ってしまった
それでも魅力の向上につなげようと頑張るのがオーテックとニスモ。それぞれ定番の特装車を開発・販売している。写真はオーテックバージョンである「ボレロ」
欧州ではマイクラとして販売。その欧州ではK13を諦め同じVプラットフォームベースにK14を開発し、2017年より発売。日本にも導入して欲しいカッコよさだが、日産にその気は無いようだ
日産は今年軽EVを発売予定だ。販売価格を抑えるため近距離用に特化する様なので、プレミアムモデルと軽EVの間に現在開発中の次期マイクラEVを投入してほしいものだが、これも難しそうだ