■専用の3モーターシステムを搭載
最大の特徴は、何と言っても電動パワートレーンだ。新しい3モーターで構成される4WDシステムを搭載している。そのモーターの配置は、フロントに150kWのものを一基、リアに132kWのものを左右に1基ずつとなる。
システムトータル出力は、最高出力370kW、最大トルク973Nmにも及ぶ。ブースト機能を活用すれば、0-100km/h加速は、4.5秒の俊足を見せるというから驚異的だ。キャビン下に収まる駆動用バッテリーは、e-tron 55 quattroシリーズと同じく、95kWhの大容量で、航続距離は415km(WLTC)と公表される。
標準車の最上位モデル「e-tron 55 quattro S line」と比較すると、最高出力は+70kW。最大トルクは+70Nmと、Sモデルにふさわしいパフォーマンス向上が図られていることがわかる。航続距離の差がWLTCモード比較で、-8kmと小さいのも、EVらしいメリットといえる。
3モーターシステムの秘密は、リア駆動を左右独立とすることで実現した電動トルクベクタリング機構にある。通常走行の動力は、リアの2基を基本とする後輪駆動だ。
しかし、ドライバーがモアパワーを求めた際、あるいは天候や路面状況に応じて、瞬時にフロントモーターが働き、4WDとなる仕掛け。また、後輪は左右独立駆動できるので、従来のリアスポーツディファレンシャルの機能を果たし、より俊敏で自然なハンドリング特性を実現し、旋回性能を向上させている。
もちろん、メカニカルな機構よりも俊敏な駆動伝達を実現していることは言うまでもないだろう。
■e-tronでも異なる電動スポーツへのアプローチ
e-tronシリーズでは、最も高性能な4ドアクーペ「RS e-tron GT」を含め、これまでは2モーターシステムの4WDを基本とし、 今年発表した「Q4 e-tron」シリーズでは、1モーターの後輪駆動システムを提案。3モーターシステムは、今回のSモデルが初となる。
もちろん、「RS e-tron GT」よりもトータル出力は落ちるが、今後、EVの「RS」と「S」モデルでは、制御だけでなく、モーターシステムよる走りのキャラクターの差別化も図られていくと考えると、今回の「e-tron S」のアプローチは興味深いところだ。
バッテリー容量が同じで性能が近い「e-tron 55 quattro S line」と比較すると、最高出力は+70kW。最大トルクは+70Nmと、Sモデルにふさわしいパフォーマンス向上が図られていることがわかる。
その価格差は、142万円(※sportbackの場合は+146万円)だ。価格差は小さくはないが、もともとが高価格であり、車内外装の差別化と3モーターシステムがと搭載されることを考量すれば、コスパは悪くないかもしれない。
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