【これで決着!ブレーキは右足か左足か】 意外な最善策は「両足」!?

■左足ブレーキのデメリット

こちらが右足でブレーキペダルを踏んだ状態。ブレーキペダルはアクセルペダルに近い位置で右足でブレーキペダルを踏んでみたが、アクセルペダルとブレーキペダルを同時に踏みそうな感じになった

 とはいえ、以下のようなデメリットも存在する。

●左足では微妙な操作ができない。特にいきなり公道で左足ブレーキを実践するとなると非常に危険! 試しに、開けた場所で、周囲に人やクルマがいないことを確認したところで左足でブレーキを踏んでみるとよい。慣れないと微妙なコントロールができず、踏み終わりは強く踏みすぎてカックンブレーキになってしまう。路上で、このようなヘタくそなブレーキングをしていたら回りに迷惑なばかりか、自身の安全にもかかわる。

●右足を乗せ換える習慣がなくなり危険。最初から左足ブレーキで運転を覚えたのならば問題はないが、教習所が教えているのはあくまで右足ブレーキ。そんな身体的記憶を引きずったままだと、万が一の時にブレーキを踏むべき時に右足が咄嗟的にアクセルを踏んでしまうリスクがゼロとはいえない。

●目の前で事故が起きるなど咄嗟に足を突っ張ってしまい、右足アクセルと左足ブレーキを同時に踏みつける可能性がある。

●ブレーキを引きずるリスク。運転中にブレーキペダルに左足を乗せたままにしやすく、半ブレーキ状態になりやすい。このリスク、MTにおけるクラッチで現実に起こしやすく、クラッチ摩耗の原因ともなっていたのだ。

■日本におけるATの歴史からみる左足ブレーキ

 ではこの「左足ブレーキ」。法律的にはどのような扱いになっているのだろうか? まず日本におけるATの歴史を振り返ってみる。

 MT車とAT車の比率は1985年にほぼ半々だったが、平成に入るとATが急激に増えだし、2000年には9割となり、2017年には97.4%を占めるまでになった。

 このAT車、一昔前の初期モデルは発進時、アクセルを開けても走り出しがワンテンポ遅れ気味で、加速ももっさり。中間加速も同様だった。それゆえ、今では考えられないだろうが、同一車種の中古車がATというだけでMTより安く流通していた(需要が少なく、それでも売れなかった)のだ。

 ところが、技術の進歩で昭和末期にはMTと遜色のない俊敏な走りができるようになり、アクセルとブレーキだけのイージードライブが可能なATは、信号待ちや渋滞等ゴー&ストップの多い日本の道路事情にマッチしたこともあってジワジワと市場に浸透。ついにはAT車がほとんどを占める状況となった。

 つまり、普及課程ではMTとATが混在しており、その間にかなりの年月も経過した。このため、日本の自動車教習所でAT限定免許を取る際、「右足でアクセルとブレーキの両ペダルを操作する」よう教えられている。

 その理由としては、まず「MT車とAT車の両方に乗るケースがあり、操作方が異なるとドライバーが混乱する可能性が高い」というもの。MTにおける左足は「クラッチ」の操作のみで、アクセルとブレーキは右足で行うという操作体系に合わせたわけだ。

■法律上、ATのペダルはどちらの足でブレーキを踏むのか、明確なルールは定められてはいない

 次に、免許的にも技術指導的にも2つのやり方があると煩雑ゆえ、MTもATも同じルールになったというもの。いずれにしろ便宜的な理由で、法律上でもどちらの足でブレーキを踏むのか明確なルールは定められていない。

 つまり、個人の自由裁量に任せられているというのが実情なのだ。

次ページは : ■構造上、左足ブレーキに対応している?

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