【これで決着!ブレーキは右足か左足か】 意外な最善策は「両足」!?

【これで決着!ブレーキは右足か左足か】 意外な最善策は「両足」!?

 高齢者によるペダル踏み間違い事故が起きるたびに、AT車は右足ブレーキでいいのか、以前話題になった「左足ブレーキ」がいいんじゃないか、と話題になる。毎年平均7000件程度のペダル踏み間違いによる人身事故が起きているが、こうした事故急増を受けて、自動車メーカーでは急発進を抑制するAT誤発進抑制機構搭載車種が増えてきた。

 そもそもペダル踏み間違い事故の多くは、右足の(つま先を上げる)筋力が足りないため、アクセルとブレーキのペダルを踏み変える際に起こる「踏み間違い」が原因で起こっている。

 そこで、そもそもAT車のブレーキとアクセルのペダルは右足だけでいいのか? いや違う! 左足ブレーキで、右足アクセルでいいのではないか、という話が出てくるわけだ。はたしてどれが正解なのか? そもそも正解なんてあるのか? 自動車評論家の鈴木伸一氏が解説する。

文/鈴木伸一
写真&イラスト/Adobe stock ベストカー編集部


■AT車のペダル踏み間違い事故多発の原因は?

高齢者によるATのアクセルペダル踏み間違い事故が頻繁に起きている。現在、国産自動車メーカーのほとんどがAT誤発進抑制制御機構が付いたセーフティサポートカーS(サポカーS)をラインアップしている

 AT車のペダルの踏み間違いは悲惨な暴走事故に結びつくことが多いだけに、新たな事故がニュースで報道されるたび、「左足ブレーキ」の優位性が論議に上がる。

 AT車の暴走事故の原因の多くは比較的単純で、少しのパニック状態からブレーキペダルのつもりでアクセルペダルを思いっきり踏みつけ、大きなパニックに陥ってしまうことで起きる。

 このため、右足のみで行っていたアクセルとブレーキの操作のうち、ブレーキ操作を左足に分担させてしまえば、効果的に防止することができる、というのがその根拠。

 さらに、公道を走れないゴーカートや近年のF1などのレーシングカーのブレーキは左足用に設計されており、右足でアクセル、左足でブレーキを踏むという操作系がスタンダードになっている。つまり、操作系という観点からも理に適っているといえる。

WRCやラリーのドライバーの大半が左足ブレーキを使う。写真は新井敏弘選手が左足ブレーキを使っているシーン。ドグミッションを装着するスーパーGTも左足ブレーキが主流

■左足ブレーキのメリット

左足でブレーキペダルを踏みながら、右足でアクセルペダルを踏んだ状態。ややアクセルペダルが踏みにくい(N-BOX)

 左足ブレーキのメリットとして以下のようなものも上げられている。

●右足でアクセルとブレーキを踏む場合、ブレーキペダルはアクセルより高い位置にあるため踏み替えに時間がかか り、その分空走距離を生じる。その点左足ブレーキなら、的確にブレーキをかけることができる。

●渋滞中の運転では、右足ばかりにかかった負担が減るため疲労軽減効果が期待できる。

●左足でブレーキを踏みながらアクセルをゆっくりと踏むと急な坂道でも後退することなく安全に、かつスムーズに加速できるため、坂道発進がより安全にスムーズにできる。

●パワーの出る回転数を保ったまま減速でき、減速後は速やかに加速できるため、スポーツ走行に有益。

次ページは : ■左足ブレーキのデメリット

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