ホンダ史上最高の完成度!! それでもクラリティPHEVが苦戦する理由

■走りも先進技術もホンダ史上最高か!?

 試乗といきましょう。スタートボタン押すと、電気自動車のような手順でシステムが立ち上がる。

 ほぼ満充電状態だったが、EV航続距離は75km(カタログ値JC08モード=114.9km)と表示されている。

 Dレンジをプッシュしてアクセル踏みこむと、圧倒的に静か&快適だ。昔から高級なエンジンを「モーターのように静か」と例えてきたが、クラリティPHEVは正真正銘モーター。

ホンダ史上最高かもしれない、とまでの高評価を得たクラリティPHEV。走りも安全面も最高クラスだ

 最高出力184psながら、エンジンと違う出力特性を持つため、3000cc車と同等の走りを楽しめます。

 電気自動車としての航続距離だけれどエアコンなど使う極めて実用に近い走り方をするアメリカEPAモードで75km(奇しくも今回表示された航続距離と同じ)。

 大雑把なイメージとしてエアコン使って75km。使わなければ90kmくらいだと思う。これだけの航続距離あれば、ほとんど電気自動車として使えることだろう。

 参考までに書いておくと、電池カラッポから満充電までの電気料金は家庭用の夜間割引電力契約(東京電力は新規契約を行っていない)であれば150円程度。

 ガソリン1L分のエネルギーコストで75〜90km走るという理解でよいと思う。

 また、日当たりいい駐車場であれば、クラリティPHEVのガレージの屋根に太陽光発電パネルを置くことにより、年間5000km走らせる程度の電力になる。

 エネルギー自給自足も見えてくるから素晴らしい。こういったあたりに電動化技術の将来性&ポテンシャルを感じます。

 加えてホンダが今まで販売したクルマのなかでNo.1と思えるほどよい仕上がり。すべて快適です。

クラリティはFCV(燃料電池自動車)とPHEVでホンダのエコイメージを先導する役割があるが……

 採用されている技術は世界最先端と言ってよかろう。効率のいいモーター、発電用エンジン。

 さらに直流を交流に変える小型軽量インバーターや、耐久性も重視した水冷式リチウムイオンバッテリー等々、昨今重要視されている電動化のためのアイテムをすべて高いレベルで実用化してきた。

 安全関係も万全。ホンダの新しい世代の自動ブレーキシステムを採用している。環境と安全という現在クルマに必要とされている”性能”をフルに満たしているのだから魅力的だ。

■価格以外にも売れないと主張する理由がある

 そんな素晴らしいクラリティPHEVながら、日本では99%の確率で売れないだろうし、半年もすれば話題にもならないと思う。

 なぜだろう?  超が付くほどカッコ悪く、これまた超が付くほど高価だからだ。

 前者については「好き嫌いは人によって違う」というエクスキューズもあるだろうけれど、100歩譲ってまぁまぁのデザインだったとしても、4ドアってどの国や地域でも売れ筋じゃない。

 SUVボディを選ばなかった時点で「難しい」。価格は絶対的な金額だけでなく、気分からして悪い。なぜか?

 前述のように 同じ内容のクルマをアメリカでは180万円程度安い価格で販売しているからだ。

セダンボディで登場したクラリティPHEV。セダンの時点で優位性が薄れると国沢氏は指摘する

 個人的にはアウトランダーPHEVと同じ程度の価格がホンダという企業の『社是』にある適正な価格だと思う。

 そうそう。「国内営業部門の強いリクエストにより、急速充電器を付けたので」とホンダはいうが、クラリティPHEVに急速充電器は必要か?  

 ホンダの充電料金プログラムだと30分の急速充電に480円(16円/分)かかり、走行可能距離70km。

 同じ距離をハイブリッドモードで走ればガソリン代450円ほど。ユーザーにとってまったくメリットなし。

 そんなことから、クラリティPHEV、とってもよいクルマながら、残念なことに日本じゃたいした数は売れまい。

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