■JC08モード燃費がいいクルマほど悪化する!
結局、JC08モードからWLTCモードに変わると、燃費が悪化するのか? 国土交通省と資源エネルギー庁が共同で行っているワーキンググループが発表した資料によると、ハイブリッド車や軽自動車(アイドリングストップ機能付)などの、JC08モード燃費がいいクルマほど、WLTCモード燃費が悪化し、30㎞/L超のクルマでは、5㎞/L以上悪化という結果が出ている。
要因としては、WLTCモードが冷機状態から試験を開始するため、オイル粘度が増加し摩擦損失が増大するためと考えられる。
特にハイブリッド車は、低速時にEV走行するのでより暖気が遅れ、さらに触媒温度を上げるために、エンジン作動時間が増えることで悪化しやすくなる。
またアイドリングストップすることで燃費を稼いでいたクルマも、その時間が短縮されるため燃費が悪化するとのこと。アイドリングストップなどの機能を搭載しないクルマのほうが、相対的によくなることも考えられるそうだ。
JC08モード燃費と実燃費との乖離(かいり)は30〜40%と言われているが、ではこの新しく導入されたWLTCモードは、より実燃費に近づくということなのだろうか?
その一番気になるところを、モータージャーナリストの清水和夫氏に解説してもらった。
■WLTCのほうが燃費がよくなることもある
TEXT/清水和夫
話題のWLTCだが、実は直接カタログ燃費への関連性はないと考えられる。なぜならば、自動車メーカーがどのようなエンジンを作っているかによって違ってくるからだ。
低負荷の試験よりも、高負荷のモード試験を得意とするエンジンもあるので、WLTCのほうが燃費がよくなることもある。対して、小排気量の軽自動車は厳しくなる。
エンジンの特性によって大きく変わるので、カタログ燃費が実燃費に近づくとは、一概に言えないのだ。
特にプラグインハイブリッド車に関しては、「電気で走る部分の燃費をどう解釈するのか?」という点が日米欧で違うので、結局WLTCを導入したから何が変わるのかといえば、本質的にはあまり変わらないということになる。
むしろ重要なのは、RDE(リアル・ドライビング・エミッション=実路走行排気)で、実際の道で測る燃費値の情報公開がこれから始まる。
こちらも試験方法が決まっていて、どのように走るというのが公表されている。これは台上試験ではなく、公道を実際に走らせるので、こちらのほうが実燃費に近いだろうといわれている。
この燃費はカタログ値とは異なり、JNCAPのように情報公開していくという話になっている。WLTCモードでエミッションの認証を取る時に、ついでに測定された数値がカタログ燃費だが、認証試験での数値ではないのでRDEの燃費値はカタログに載せることはできない。
WLTCになると、あたかも実燃費に近づくのではないかといわれているが、それ以外のずれた走りをすれば、やはり今までと同じくカタログ値とは合わなくなる。
その先にある、RDEのほうが重要になってくるのだ。
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