日頃何気なく座っているクルマのシートですが、愛車のシートに満足していますか?
昔から日本車の欠点のひとつに挙げられている、長時間座っていると疲れやすいシート。まだ、日本車は疲れやすいシートのクルマが多いのでしょうか?
そうしたシートの最新情報をモータージャーナリストの岩尾信哉氏に解説してもらいながら、オススメのいいシートのクルマを5台選んでもらった。とはいえ、高額なクルマだといいシートのクルマが多いので、あまり高額なクルマではなく、なるべく手が届きそうなクルマに絞ってもらった。
はたしてオススメしたい、いいシートのクルマとは?
文/岩尾信哉
写真/ベストカー編集部、マツダ、テイ・エス テック、Adobe Stock
■シートの出来を確認するための基礎知識
クルマが高価で手を出しにくく、シートのスポーツ性が高すぎる硬派なモデルは、ここではできるだけ避けたうえで、シートの出来に影響するのはどのような要素なのかを解説しながら、オススメのシートを若干の独断を含めて選んでみたい。
実際のところ、多くの方はクルマを手に入れる際にどれだけシートのよさにこだわるのだろうか。たとえば購入時にディーラーの展示車両に座ってみて身体にしっくり来るとか身体に負担がかかないか、表皮のデザインなどをチェックするだろうが、出来のよさをじっくりと吟味するのはそう簡単にはいかない。
それでも、あらかじめポイントを押さえておけば、ある程度は自分に合っているかどうかを判断することはできる。まずはシートの出来の善し悪しを左右する要素をシートの機能から探ってみよう。
シートというか椅子の機能として大切なのは、なにより座った時に身体を巧く支えてくれることだ。自動車用シートでは身体が走行中にふらつくことのないように、背面は腰骨(腰椎)を支えて骨盤の動きを抑えることで腰周りを安定させることが肝心だ。
次にお尻が長時間座り続けても痛くならないよう、座面にかかる体重の面圧分布を適正化すること、簡単にいえば座面の一部だけに体重の負荷がかからないように仕立てることが肝心だ。
上半身をサイドサポートの張りで身体の無駄な動きを抑えるようにしつつ、肩甲骨など肩周りの動きを制約することなく、腕を自由に動かせなければならない。
問題は当たり前の話だが、シートの身体への触れ方に、体格(身体の大きさ、筋肉/脂肪の付き方)によって個人差があることだ。これをより多くの人に受け入れられるように最適解を選択して、設計に織り込むのが自動車メーカーの仕事となる。
■シート作りの基礎知識
当然ながら、優れたシートを作るための基本となる設計コンセプトは、自動車メーカー(シートメーカー)で共通する。いっぽうで、軽自動車など国内市場専用車では考慮する必要はないが、世界の市場で販売されるモデルでは、各仕向地の使用状況に配慮しなければならない。
そのうえでコストダウンを図るために、可能な限り仕様を共通化して設計されることが多くなっているという。であれば、自ずと販売台数が多い地域のユーザーの意見を反映させつつ、仕様を設計していくことになる。ただし、日本のようにユーザーの意識が高い場合には、開発上のデータとして有効であることもある。
まずは大前提として、自動車メーカーとシートメーカーは、対象モデルのグレードやカテゴリー、すなわち大型高級車か小型車(大衆車)か、街乗り基本のコミューターか軽自動車か、はたまた家族で移動するミニバンやSUVかなど、使用用途や車両の価格設定によって、コストを睨みながら設計仕様を決定していくことになる。
加えて、輸出仕様では仕向地のユーザーの趣向などの調査を進めつつ、熟成を進めていくことになる。販売台数第1位の米国が現在は開発の主要ターゲットだが、販売台数第2位を占める中国も市場の成熟が進めば、現地生産車などの仕様について、より細かい配慮が必要になるはずだ。
コメント
コメントの使い方国産ていうか国内向けなのか、まず座面からして短いんよ…ホビットは軽に乗ってどうぞ。