【シビック、XV、VW…】シートの仕組みから研究!!「いいシート」の車たち

■多種多様なシート設計のバリエーション

日本人の体系に合わせて開発されたという新型クラウンRSアドバンスのシート

とはいえ、シートのバリエーションの多さはひとつの部品単体としては相当なものだ。具体例を挙げていけば、表皮についてはファブリックといってもモケット、不織布など種類はさまざまあり、革素材にも多種多様な種類が存在する。

シートの中身となる発泡ウレタンの成分によってクッション材の性質、質感が変わる。シート全体を形作るフレーム(金属製なのは衝突安全性に考慮するためだが、軽量化は難しい)と金属バネの設計はコスト面で重要な要素だ。シート位置/形状の調整機構の種類や数もざまざまだ。

何より、乗る者の身体の直接触れる部品だけあって、ヒトによる官能評価と物理的評価となる耐久性の試験など、検査すべき品質評価を単品および実車装着によるテストを施すなど、チェックすべき項目は数多い。

さらに商品性を高めるためには、見た目のデザインも重要であり、内装デザイナーと調整しつつ形状を設計しなければならないから設計には手間がかからぬわけはない。合わせて軽量化も実施するなど苦労は大いに違いない。

■オススメしたいシートのいいクルマ

長々と話を綴って申し訳ないが、ようやく座り心地に関してポイントを確認しながら、オススメのいいシートのクルマを紹介していこう。

■ホンダ・シビック

ハンドリングと乗り心地を巧く両立しているシビックハッチバック

テイ・エス テックではシビック以上のシートには、この「グローバルスタンダードフレーム」を採用している。シビックの開発時に電動か手動で変わる構造の差を抑える設計を施すなど、部品の小型/共通化、拡張性を持たせることで、コストダウンを図ったという

座っただけでその出来のよさが実感できるようなシートはそう簡単には巡り会えない。だが、シビックのシートは自分の身体に負荷なくぴたりとはまる感覚が生まれ、長距離を移動してもその心地よさは変わらなかった。包み込むようなホールド感の設定が絶妙なのだ。

シビックのシートは、日本の二輪車メーカーのシートとホンダの四輪車用シート/トリムを手がけているシートメーカーであるテイ・エス テックが手がけた。

シート骨格には同社が開発した「グローバルスタンダードフレーム」が採用されている。テイ・エス テックの広報課にシートの出来映えのよさを伝えるとともに、シートのコストについて聞いてみることにした。

まずはシートの骨格をなすフレームが一番コストがかかるのでは? と筆者の浅い想像で訊ねると、

「金属部品であって確かにコストはかかりますし、そのぶん従来は利益を得られましたが、最近では納入先のコストダウンの要求に応えるなかで、共通化による量産効果を狙う対象にもなっていてコストダウンが進んでいますから、以前ほど明確に一番とは言いにくいですね。例えば高級車用では電動機能が豊富に備わっていれば、相応のコストがかかりますから」と正されてしまった。

「ミニバンなどではすべての座席を一括納入するので、装備する数が多いのでコストを抑えることができます」など、カテゴリーによってもコストを抑える手法はさまざまあるということだ。

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