■プロが教える、このクルマの実情
現オーナーの声を聞いてみたところで、ここではその道のプロ「日産プリンス東京モータースポーツ室」の小山氏に取材を行った。R32型GT-Rのタマ数や、すぐに乗れるような個体は見つけられるのだろうか。
「年々、状態のよい中古車が減っていることを実感しています。しかし、リフレッシュすることを前提で購入すれば、長く乗っていくことは可能だと考えております」
では、購入時や維持していくうえで気をつけることは?
「高年式車両や低走行車両であっても必ず修理が発生することを念頭に置いて購入・維持してください。そして、車両本体+メンテナンス代に回せるよう、予算に余裕を持たせておくように心がけてください」
気になる純正部品の供給状況についても伺ってみた。
「ヘッドライトや外装部品のほとんどがすでに製造廃止となっています。エンジン本体も製造廃止ですが、現在は中古部品なども利用してメンテナンスを行っています。純正部品がないために修理できないという状況ではありませんね。今後は再生産やヘリテージパーツでの復刻が予定されていますけど、オーナーさんや今後手に入れる予定の方は、どうか大切に乗ってほしいですね」
ズバリ、R32型GT─Rの魅力とは?
「純然たるGT─Rのフィールが色濃く残るクルマです。速いだけではなく魂を感じさせてくれます。これほど潔く『勝つことだけを追い求めているクルマ』はこの先生まれてこないと思います」
プロさえも魅了するGT─Rは本当に偉大な存在だと改めて実感する。では、最後に購入を検討されている方へアドバイスを……。
「古いクルマだけに、見えない場所(下回りから見た錆)は特に念入りにチェックしてください。また、ご購入を検討されていらっしゃる方は、私どもが用意しているリフレッシュプランも視野に入れてみてください」
極上車であるように見せかけて、実は錆だらけというケースも少なくない。プロのアドバイスを参考に、程度のよい個体を見極める目を養っておくべきだろう。
■R32型GT-Rの今後はどうなる?
今後、1台でも多くのR32型GT-Rを後世へと受け継いでいくには、パーツの再生産や、ヘリテージパーツの復活が鍵になることは間違いない。
しかし、多くのオーナーにとって部品の価格高騰は避けてほしいというのが偽らざる本音だろう。中古部品やリビルト品を駆使してやりくりしていくノウハウの蓄積や情報の共有、同じクルマを所有する者同士のネットワークも重要だ。
メーカーやプロショップとユーザーが手を携えてこのクルマを維持していくことが一層求められている。
次回は初代NA型ロードスターをお届けします。お楽しみに!
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