台湾メーカーからの技術移転で製造
レトロフィット電気バスの製作は、台湾最大手電気バスメーカーRAC Electric Vehiclesより設計や改造などの技術指導を受け、西鉄車体技術が持つバス車両改造等のノウハウを活かして製作を進める。
この電気バスの製作・導入にあたっては、国土交通省および北九州市の補助金を活用する。具体的には改造費として国土交通省から約800万円、技術移転費として北九州市から600万円の補助を受ける。なお改造費用は1台当たり2700万円だ。
片江営業所で導入
西鉄車体技術で改造を施した2台が営業運転に就くのは2023年4月で、片江営業所に導入予定。西鉄では天神や博多地区を通る路線に導入し、今後も台数を増やしていく考えだ。
新車を導入せずに改造で新しバスを誕生させるアイデアだが、このメリットは種となるバスはすでに自社で走っているバスなので、その費用が不要なことだ。
そして自動車として最も大切なエンジンをモーターに積み替えるのでエンジンの経年劣化はもはや関係がないのもメリットだ。フレームと車体さえ生きていれば、導入が可能なのもアイデア賞モノだ。
普及に課題も
非常に優れたアイデアで、費用も抑えられるのでいいことだらけだ。西鉄はかつて車体製造メーカーである西日本車体工業をグループに持っていたが、解散してしまったので、その技術を受け継ぐ西鉄車体技術が改造を担当する。
自社でバスの車両改造ができる会社を持っているからこその技であり、他社でここまでできるかどうかは今後の課題だ。レトロフィット電気バスの普及には、さらなる技術移転や国内でのパーツの製造、改造メーカーの誕生等の課題をクリアする必要があるだろう。
まずは現在走っている北九州市内と福岡市内のバスの動向(バッテリーの仕様が異なり航続距離と充電可能回数がトレードオフになっている)により方向性が決まっていくのだろう。西鉄のお手並み拝見といったところだろうか。
【画像ギャラリー】西鉄が自社グループで自社のバスを電気車にレトロフィット!(3枚)画像ギャラリー