バッテリーの劣化は? 買い取り額は? 中古のEVを買っても大丈夫???

■仕入れたEVを自分のところでは整備できない中古車販売店

 中古車販売店はオークションで仕入れたクルマをメンテナンスして、店頭に並べて販売する。しかし、電子化が進み、専用の機器が必要なハイブリッド車は自分のところでメンテナンスすることもできず、販売したクルマで万が一トラブルが起きても自分のところでは何もすることができない。

 そういった理由でハイブリッド車の低走行中古車は販売店が避ける傾向にあるのだ。

 このことを踏まえれば、モーターだけで走行するリーフとはじめとしてEVはハイブリッド車以上に整備や点検を自社で行うのが難しくなり、メーカー販売店に頼らざる終えなくなるのだ。

 最近の中古車販売店は価格帯にもよるが、100万〜200万円という価格帯では、だいたい1台の利益は数万円程度という薄利多売のビジネスになっている。

■ガソリン車、HV、EVの1年落ち、3年落ち、5年落ちの残価率を徹底調査!

 そんなビジネスでわざわざ、ディーラーに持ち込んで整備をして、自分たちの利益を削る人がそんなにいるのだろうか。決して多くはないはずだ。それを証明するのが、次の表組だ。

 この表組は、フィットやノートの一般的なガソリン車をはじめ、ハイブリッド車で人気のアクア、プリウスの新車からの残価率を実際に販売されている中古車物件から算出したものである。抽出条件は走行距離が年間1万km、修復歴なしの2点。

 まず、基準となるコンパクトカーの人気モデル、ホンダフィットで残価率の推移を見てみよう。フィット13G Fパッケージは新車価格が142万円。1年落ちで80.8〜95.6%(114.8万〜135.8万円)、3年落ちで66〜76.1%(93.8万〜108万円)、5年落ちで52.6〜62%(74.7万〜88.0万円)となっており、まさに人気の高いクルマらしい高い残価率をキープしている。

※フィットの中古車はこちら!

 一方の日産ノートのガソリン車は1年落ちで73.4〜79.1%(129.8万〜139.8万円)、3年落ちで54.2%(95.9万円)、5年落ちで33.8〜38.4%(59.8万〜68.0万円)と、この残価率の推移がベンチマークとなる数字。これ以上ならば残価率が高い=人気車。数字がこれ以下になると、残価率が低い=不人気車ということができる。

 ノートをコンパクトカー販売台数ナンバー1に押し上げた原動力となったe-POWER。標準グレードのXで見てみると、新車価格202万1760円から、1年落ちで69.1〜88.9%(139.9万〜179.8万円)と1台が70%を切っているものの、上限は88.9%で残価率が高く、人気が高いことがわかる。

※ノートの中古車はこちら!

 さらにハイブリッドコンパクトカーのアクア。1年落ちは、ほぼフィットと同じ、79.3〜97.8%(149.8万〜184.6万円)だが、3年落ちでは43.9〜72.6%(82.9万〜137万円)、5年落ちでは36.9〜62.9%(69.8万〜118.8万円)と年式が進むに連れて残価率の幅が拡大していく。

※アクアの中古車はこちら!

 これはやはり、ハイブリッド車特有のコンディションに不安があるということの表れではないだろうか。

■中古リーフの残価率は?

現行リーフの航続距離は400km。新車価格は残価率を調べたリーフGが399万600円

 それでは、本命のEVの中古車の残価率を見てみたい。まずは日産リーフ。昨年登場した現行型リーフは最も流通台数の多いGグレードで残価率を算出した。

 そうすると、1年落ちの2017年式で67.1〜79.1%(267.8万〜315.9万円)とベンチマークとしたノートのガソリン車を下回っている。

※現行リーフの中古車はこちら!

 続いて2010年10月に登場した初代リーフ。こちらの2017年式はXの30kWh。2013年式は24kWhで残価率を算出した。それは条件に合うクルマが非常に少ないからだ。

 初代リーフの2017年式の残価率はほぼノートのガソリン車と同じ水準にとどまっているが、5年落ちの2013年式となると、わずか32.7%(113.4万円)と水準を下回る結果となった。

初代リーフは2010年12月発売。デビュー当初は補助金なしで400万円、補助金込みで300万円を切る価格を実現

 ここで初代リーフの歴史をおさらいしておこう。初代リーフは2010年12月にデビュー。当初は109ps/28.6kgmのモーターに24kWhのバッテリーを搭載し、航続距離は200kmだった。

 2012年11月のマイナーチェンジでモーターが109psの最高出力は変わらないものの、最大トルクが25.9kgmにダウンしたものの、航続距離は228kmに伸びた。

 発売当初は随所にコストダウンの跡が見られたが、このマイナーチェンジで80kg軽量化とともに、サスペンションや電動パワーステアリングのセッティングが見直されている。また廉価グレードのSが追加され、ラゲッジ容量が330Lから370Lに増えた。

 さらに2015年12月に行われたマイナーチェンジではバッテリー容量が30kWh、航続距離が280kmのモデルが追加されている。

 初代リーフの中古車価格をさらに深掘りしていくと、2012年11月〜2015年11月までのいわゆる中期モデルは30万円台〜90万円。2012年11月〜2015年11月までの中期モデルは60万〜180万円、2015年12月〜2017年9月までの後期モデルは110万〜200万円(30kWh)。価格の幅が大きいのは後述するが、やはりバッテリーの状態。安いからといってうかつに手を出してはいけないのだ。

※初代リーフの中古車はこちら!

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