■ミニバンの3列目シートと、SUVの3列目シートの違いは?
ウィッシュやストリームのような背の低いミニバンの床面構造も、SUVと同じでフラットには仕上げていない。3列目に座ると膝が持ち上がり、窮屈な姿勢になった。その結果、背の低いミニバンは生産を終えたが、SUVでは狭い3列目を備えた仕様が注目されている。
その理由は、ミニバンの3列目シートは重要な機能だが、SUVでは付加価値のひとつにとどまるからだ。SUVは悪路の走破も視野に入れたクルマで、大径タイヤの装着、余裕のある最低地上高などによって外観の見栄えが力強い。
運転感覚もワゴン風で安定性が優れ、カッコよさと走る楽しさを併せ持つ。その上で3列目シートを装着したから歓迎された。対するミニバンでは、3列目が重要な機能だから、狭いと話にならない。
そして1年に数回だけ、短い距離を多人数で乗車したいユーザーの場合、ミニバンを選ぶとムダが増える。通常は広い3列目シートが使われず「空気を運ぶ」ことになるからだ。
■カッコよさと運転の楽しさが味わえるSUV+7人乗車が魅力
しかし3列シートのSUVであれば、通常はカッコよさと運転の楽しさを味わえる。稀に使う3列目シートが狭くても、短い距離であれば我慢してもらえる。
このニーズは意外に多く、特にミニバンを避けたいと考えるクルマ好きのユーザーが、3列シートのSUVを選んでいる。
子育てを終えてミニバンを選ぶ必要性が薄れたユーザーも、3列シートのSUVを購入することがある。一度ミニバンの広い室内を味わうと、天井が大幅に低いセダンやクーペには戻れないからだ。
SUVなら天井が高く、リアゲートも備わるから荷物の出し入れもしやすい。ミニバンほどではないが、快適かつ便利に使えて、カッコよさと運転の楽しさも味わえるからだ。
そこに3列目シートも加われば、以前乗っていたミニバンのような使い方も可能だ。ミニバンのユーザーが新たなクルマ選びを考える時、3列シートSUVは最適な選択肢になる。
価格は高いが、子育てを終えた時には年齢も相応に達するから、所得も増えてある程度は自由な車種を選べるだろう。3列シートSUVが登場したことで、ミニバンに続くファミリーユーザーのクルマ選びが完結した。
それでも3列シートのSUVを選ぶ時は、居住性を十分に確認したい。前述のようにLサイズSUVのCX-8でも、3列目の居住性はコンパクトミニバンと同程度だ。乗降性はさらに悪化するから、頻繁に3列目に座る用途には適さない。
■デリカD:5がSUVとミニバンのいいとこ取り!
SUVの3列目を快適にするには、ミニバンようなフラットな床面構造を採用して、全高を200mmほど高める必要がある。そうなると外観と機能がミニバンに近づき、具体的には三菱デリカD:5に発展する。
デリカは歴史の長いミニバン(以前は商用車ベースのワンボックスワゴン)だが、SUVの走破力と融合させるコンセプトは時代を先取りしていた。先ごろ規模の大きなマイナーチェンジを実施して売れ行きも堅調だ。
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