初代オデッセイが火付け役となって、1990年代から2000年代にかけて「ミニバンブーム」が到来。コンパクトミニバンからLクラスミニバンまで隙間なく各社からミニバンがラインアップし、まさに百花繚乱状態だった。
しかし、かつての人気車種だったオデッセイ、エスティマの人気が下火になり、ウイッシュ、ストリームをはじめ、アイシス、イプサム、プレサージュ、ラフェスタ、エリシオン、ビアンテ、グランディス、エクシーガなど10車種以上が生産終了となっている。
なぜミニバンは激減したのだろうか? もはや減るいっぽうなのだろうか?
そのいっぽうで、最近増えてきた3列7人乗りSUVは、こうしたミニバンの代わりになるのか? モータージャーナリストの渡辺陽一郎氏が解説する。
文/渡辺陽一郎
写真/ベストカー編集部
■生産終了したミニバンには共通点があった!
日本ではミニバンが人気のカテゴリーといわれるが、以前に比べると10車種以上も減った。トヨタでは人気の高かったウィッシュを筆頭に、アイシス、マークXジオ、イプサムなどが販売を終えている。エスティマは2006年1月にデビューしてから13年もフルモデルチェンジしていない。
日産ではプレサージュが一時は堅調に売れたが、後に廃止された。ラフェスタも最初は日産が開発したが、2代目はマツダプレマシーをベースにしたOEM車のラフェスタハイウェイスターになり、同様に生産を終えた。
このほかホンダストリーム、先に挙げたマツダプレマシー、三菱グランディスなど、相応に人気の高かったミニバンが過去のクルマになってしまった。
生産を終えた理由を考えると、先に車名を列挙したミニバンには、ひとつの共通点がある。それは全高が1700mm以下に収まることだ。1700mmを超えるセレナ、ヴォクシー&ノア、ステップワゴンなどに比べると、3列目シートが狭く、多人数で長距離を移動する用途には適さない。
しかもアイシス、プレサージュ、プレマシーなど一部の車種を除くと、後席側のドアも前席と同じ横開き式だ。スライドドアを採用していないため、背の高いミニバンに比べると乗降性も見劣りする。外観もワゴン風で、ミニバンらしさが乏しい。これらも売れ行きを下げた要因だ。
背の高いスライドドアを備えたミニバンでも、マツダビアンテやホンダエリシオンは生産を終えたが、これはメーカーの戦略に基づく。ビアンテのマツダは、マツダ車全体の商品コンセプトと「魂動デザイン」に合わないことから、ミニバン開発そのものをやめてしまった。
エリシオンはオデッセイに統合されている。従来型のオデッセイが、背の低いボディと横開き式ドアを備えたことを考えれば、現行オデッセイはむしろエリシオンに近い。ただしエリシオンは知名度が低く、オデッセイを名乗った。
■2000年代に入って生産を終了したミニバン
トヨタガイア 1998年5月〜2004年9月
トヨタウイッシュ 2003年1月〜2017年10月
トヨタアイシス 2004年9月〜2017年12月
トヨタマークXジオ 2003年1月〜2013年12月
トヨタイプサム 1996年5月〜2009年12月
日産プレサージュ 1998年6月〜2009年8月
日産バサラ 1999年11月〜2003年7月
日産ラフェスタ 2004年12月〜2012年12月
日産ラフェスタハイウェイスター 2011年6月〜2018年3月
日産キューブキュービック 2003年9月〜2008年11月
ホンダエリシオン 2004年5月〜2013年10月
ホンダストリーム 2000年10月〜2014年6月
マツダMPV 1990年1月〜2016年3月
マツダビアンテ 2008年7月〜2017年9月
三菱グランディス 2003年5月〜2009年5月
スバルエクシーガ(クロスオーバー7) 2008年6月〜2018年3月
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