最近、急増中のディーゼルエンジン車ですが、燃料はガソリンではなく、軽油なのはもちろん知っていますよね?
でも、軽油とガソリンの入れ間違いが増えてきているそうです。なかには「軽自動車だから軽油」と勘違いし、ガソリンではなく、軽油を給油してしまう人が多いらしい。
その原因のひとつとして、誰もが簡単に給油できるセルフ方式のガソリンスタンドが増えたせいもあるだろう。
そこで、もしガソリンと軽油を間違えて給油してしまったらどうすればいいのか? もし気づかずに走り続けてしまったら……? 自身も誤給油の経験があるという、モータージャーナリストの高根英幸氏が解説する。
文/高根英幸
写真/ベストカーWeb編集部、Adobe Stock
■軽自動車だから価格の安い軽油を入れる?!
クルマのパワーユニットも、今やガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ハイブリッドにEVなど、様々な種類が使われ多様化してきた。そして純粋なEV以外のエンジンが搭載されているクルマは、当然ながら燃料を消費すれば給油する必要がある。
プラグインハイブリッドで近所の買い物しか使わないユーザーでも、燃料系に同じ燃料が入ったまま長期間経過すると、燃料が劣化してトラブルの原因になるため、一定期間ごとにエンジンを始動させて燃料系統に入っている燃料を消費するようになっているから、ほとんどプラグインの充電だけで走っていても定期的に燃料を給油する必要が出てくる。
■誤給油してJAFに救援を要請した件数は1カ月で269件
それに人手不足もあって、ガソリンスタンドはセルフ方式を採用しているところが圧倒的に多くなった。そのため軽自動車のオーナーやレンタカーの利用者が間違えて軽油を入れてしまうというトラブルも頻繁に起きている。JAFが2015年12月の1カ月間に調査したところ、燃料を入れ間違えたという救援依頼が269件もあったのだ。年間でみると実に3000件にも達する。
地元のガソリンスタンドがセルフ式に変わって、初心者や高齢者が慣れない給油作業で、間違えてあるいは勘違い(軽自動車だから軽油という思い込み)から、誤給油してしまうのだ。
これは少量の軽油であればガソリンを満タンにして、軽油の割合を相当に薄めてしまえば問題ないことも多い。
軽油を満タンにまで入れてしまったら、その場で抜けるのならタンクから燃料を抜ければいいのだが、下から抜かないとガソリンより比重の重い軽油は完全に抜き切れない。したがってJAFを呼ぶことが多いのだ。
■誤給油に気づかずに走ってしまいエンジンが不調になったら?
誤給油に気付かずに走行してしまって、もしエンジンが不調になったら燃料を抜いて、スパークプラグやエンジンオイルを交換すれば直る場合もある。
しかしエンジンや車種によっては触媒を交換しなければならないケースもあるようだ。
乗用車ではディーゼル車が少ないことから、ディーゼル車にガソリンを給油してしまうこともある。実はこちらのほうがダメージは深刻だ。ガソリンは周囲の油分を洗い流してしまうため、燃料ポンプやインジェクターなどの潤滑性に問題が生じて、壊れてしまうことがあるのだ。
特に最近のクリーンディーゼルエンジンは燃料タンク側にある低圧側の燃料ポンプだけでなく、エンジン側にある高圧ポンプやインジェクターなどが非常に精密に作られており、作動の潤滑に軽油の油分が使われている。
エンジンをかけて走行してしまい、ガソリンがこれらの燃料系統の部品に入り込んでしまったら、ちょっと厄介だ。
すぐにエンジンを止めて、ディーラーなどで分解してガソリンを抜いてやらないと、燃料系の高価な部品が要交換になる。
万が一、エンジンが不調になったりしたら、すぐにエンジンを止めてJAFなどのロードサービスかディーラーに連絡して、修理工場に運び込んでもらうことだ。
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