日本時間2019年1月15日午前2時40分、アメリカ・デトロイトモーターショーにおいて、スバルのモータースポーツ統括会社であるSTI(スバル・テクニカ・インターナショナル)がSTIコンプリートカー、S209を発表した。
アメリカ市場では初めてSシリーズが発売することになったのだが、気になるのは日本でも発売するのかということ。限定何台で販売されるのか? 価格はいくらなのか?
発表されたS209の情報とともに、明らかにされなかった情報は関係者に取材。さらにS209の次に来る、STIコンプリートカーがどうなるのかも詳しく紹介していこう。
文/ベストカーWeb編集部小野正樹
写真/Subaru of America STI
■アメリカで初めてSシリーズを発売!
S209が発表された会場で流された映像には、STIコンプリートカーの架装を手掛ける桐生工業の組み立てライン、カモフラージュされたS209を筑波サーキットやヴァージニア・インターナショナル・レースウェイでのテスト風景、そして、平川良夫STI社長をはじめとするSTI開発陣の面々、ニュルブルクリンク24時間耐久レースシーンなどがドラマチックに映っていた。
新しいSシリーズの発表の舞台が、アメリカ・デトロイトショーと聞いて驚いた人も多いのではないだろうか。今回、初めてSTIコンプリートカーの最高峰、Sシリーズをアメリカで発表したのには大きな意味があったのだ。
中期経営ビジョン「STEP」で掲げるスポーツモデルの充実、STIモデルの進化の具現化を推し進めるため、日本だけでなくグローバル展開する布石として、STIが大きな舵を切った第一弾ということだ。
アメリカでのSシリーズ発売を待ち望んでいる声が多く寄せられており、その声に応える形でSTIが開発を進めた。
これまでアメリカ市場では2018年にWRX STIベースのタイプRAと、BRZ tSがそれぞれ500台で発売されたが、STIコンプリートカーの最高峰のSシリーズのアメリカでの発売は初となる。
開発を主導したのはかつて現行WRX STIの開発主査を務め、現在はSTIに籍を置く、STI商品開発部部長の高津益夫氏だ。
■注目のエンジンは史上最強の341hp(345ps)を発生する2.5Lフラット4ターボ
北米仕様のWRX STIタイプRAは、310hp(314ps)/40.0kgmを発生するEJ25型フラット4ターボを搭載しているが、S209はそれを大幅に上回る341hp(ps換算では345ps、開発目標値)を達成。最大トルクは公表されていないが46kgmあたりだろうか。
今回S209を作るにあたって平川良夫STI社長は、8000rpmまで回るEJ20にするか、ピストンが重く高回転まで回らないものの、低中速トルクのあるEJ25か迷ったそうだが、最終的には北米で人気のある、EJ25を選択したという。
あらゆる状況でも安心して気持ちよくアクセルを踏むことができるレスポンスを目指してSTIが専用チューニング。吸気系では専用の大型エアクリーナーと専用吸気ダクトを採用することで吸気抵抗を抜本的に低減、これまでにない吸入効果を上げた構造だ。
専用開発のHKS製大径ターボチャージャー、大口径テールパイプを備えた専用設計低背圧マフラー(直径101mm、17%抵抗低減)、専用のECUなどを採用することで、歴代STIモデル最高となる、最高出力341hp(345ps)を発生している。
ブースト圧は北米仕様のSTIの16.2psiに対し、18.0psiまで高められている。3600rpmでの中速トルクが10%向上したことにより、コーナーでの立ち上がりのスピードが速くなっているという。
さらに、インタークーラーウオータースプレーを装備することで熱による性能低下を抑制しながら、専用設計の鍛造ピストンや鍛造コンロッドにより、量産エンジンとしての信頼性も確保している。
ちなみに、2017年10月に発表されたS208のEJ20は329ps/44.0kgm(限定450台)、2018年7月19日に発表されたWRX STIタイプRA-R(限定500台)のEJ20も同じ329ps/44.0kgm。
コメント
コメントの使い方