■マツダRXヴィジョン(2015年)
「マツダブランドの魂を宿す、いつかは実現したい夢」とマツダが表明するロータリーエンジン搭載を基本設定としたコンセプトスポーツが「RXヴィジョン」だ。2015年に東京モーターショーに出展されたこのモデルを、マツダが「デザインコンセプト」と呼んでいないことには彼らの意地が見え隠れする。
ここまでロングノーズ・ショートデッキを強調する必要もないかと思うが、「SKYACTIV-R」と呼ばれる予定の次世代のコンパクトなロータリーエンジンを想定した、ノーズ部から全体に続く低く長い伸びやかなプロポーションをもつ1925mmの全幅のワイドボディは、スポーツカーであることを明確に主張したかったからに違いない。
夢は叶うと信じるロータリースポーツファンがいなくなることはよもやないかと思うが、待ちくたびれるにもほどがある。ここでは、マツダの不屈のロータリー開発の魂に期待するとしておこう。
●特別番外編/ダイハツシャレード・デ・トマソ926R(1985年)
最後に“非現実”と“超現実”なふたつの願いを込めて、1985年と昭和生まれながら、あえて番外編として、ダイハツのミドシップ・スポーツ・コンセプトカー「シャレード・デ・トマソ926R」を紹介したい。
現在ではトヨタの再挑戦とメイクスチャンピオン獲得で注目を浴びている世界ラリー選手権(WRC)に過去のグループBの時代に生まれたシャレード962ターボをベースとして、デ・トマソの要素を加えて、さらにルノー5(サンク)ターボやプジョー205T16をイメージしてミドシップ・レイアウト+ターボエンジンのコンセプトを与えて、見た目でもミドシップされたエンジンの存在を感じさせる、リアサイドのエアインテークが誇らしい仕立てとなった。
ネーミングでもわかるとおり、926ccの排気量はWRCの規定に合わせて1300ccカテゴリーに収めるため、ターボ係数の1.4に併せて縮小され、限定200台で販売された926ターボのエンジンを76psから120psにパワーアップ。
先日ダイハツP5がレストアされ、お披露目された際、昔を知るダイハツ本社の社員の方に926Rはどこにあるのか聞いてみたが、現在ダイハツには残っておらず、解体されたのではないか、とのことだった。実にもったいない話だ。
いっぽうで、実現が近い要素といえるのが、デ・トマソ仕様の特徴である赤黒の2トーンのカラーリングだ。ダイハツのショーモデルとして最近頻繁に参考出品されている。商標の問題があるのかもしれないが、ぜひともカラーリングのイメージを与えたモデルだけでもダイハツのデ・トマソを復活してほしい。
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