売れずにひっそりと姿を消した悲しき生産終了車たち。もし、売れなかった原因、がっかりポイントを直していれば、生産終了にならずに済んだかも……。
そんな生産終了車7台を、モータージャーナリストの清水草一氏が惜別の意味を込めて、お届けする。
文/清水草一
写真/ベストカーWEB編集部
■こうしていれば、もうちょっと売れただろうに!
クルマたちは生まれては消えていく。諸行無常である。といっても、消えるクルマがないと、車種は無限に増えてしまう。よって、売れないクルマが消えないと新しいモデルが出せない。
新陳代謝は必要なのだが、我々日本人は滅びゆくものが好き。生産終了が決まったモデルたちに、惜別の意味を込めて、「こうすればもうちょっとよかっただろうに!」というレイクエムを送ろうではないか。
■トヨタFJクルーザー:生存期間/2010年12月~2018年1月
このクルマは実にステキだった。あのレトロマンガチックなデザインを実車化しただけで凄いのに、それを324万円という、兄弟的な立場にあるランクルプラドよりはるかに安い価格で売ってくれてたんだから! この内容でこの価格は、トヨタの奉仕品としか言いようがなかったのでございます。
なのにFJクルーザーはさっぱり売れなかった。どーして? やっぱりこういう遊びの入ったデザインは、本格的なクロカンを志向するユーザーには刺さらないのでしょうか。
個人的には、FJクルーザーは燃費が悪すぎたとは思います。エンジンは4L、V6のみ。JC08モード燃費は8.0㎞/L。実質5~6㎞/Lしか走らない。
ランクルの一員だけにしかたないとはいえ、見た目がライトなのでこれがキツかったんじゃないか?
■もしこうしていれば、売れたかも!?
アメリカでFJクルーザーを売り始めたのは2006年3月。日本で売ったのは2010年12月。その間、並行輸入で日本に入ってきていた。
トヨタは日本で売れるかどうか心配だったのかもかもしれないが、日本で売りはじめたのが遅すぎた。ちょっと旬を過ぎてから日本で売ったという感じがあったよね。
車両重量は約2トンだけど、今の時代、2トンくらいのクルマは、2Lターボでも走らせられるはず。やはり大排気量ガソリンエンジンは税金高いし、時代遅れ。
あとはディーゼル! もうちょい気軽に乗れるエンジンが積まれていれば、もうちょっと長生きできたでしょう。
■トヨタアベンシス:生存期間/2011年9月~2018年4月
2代目アベンシスが日本で発売されたとき、そのプロトタイプに乗って本当に感動したもんです。トヨタって欧州向けにはこんなに足回りのいいクルマ売ってるのか! って。これは逆差別だ! とすら思いましたよ。
でも、日本に逆輸入されたアベンシスは売れなかった。でもぜんぜん売れなかった。
それでもトヨタは、3代目アベンシスも日本に逆輸入した。なぜ? どーして? とは思いました。国内向けのステーションワゴンのラインアップがないから、って話だったけど、まぁとにかくアベンシスは3代目も逆輸入され、そしてやっぱりウルトラ販売不振で販売終了となりました。
■もしこうしていれば、売れたかも!?
アベンシスもいいところは、なんといっても欧州向けそのまんまのシャシーの味付けにあったわけだけど、3代目アベンシスの最大の欠点は、見た目があまりにも地味だったこと!
ヨーロピアンな雰囲気も皆無で、ただただセンスのない、「私は地味でございます」みたいな日陰のデザインだった。
ヨーロピアンな走りをするんだから、デザインもヨーロピアンだったらなぁ。初代プリメーラみたいな感じでよかったんだけど。あとは値段(300万円弱)ですね。もうちょっと安かったら、売れてたのに……と思います。
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