■「サポカー」制度って何?
日本での安全装備の普及の動きを見ると、2017年4月から「セーフティサポートカー」、略して「サポカー」制度が導入されているのが最近の目立った動きだ。
衝突被害軽減ブレーキなど、さまざまな安全装備の装着を促すことを狙ったもので、経済産業省と国土交通省が“啓発”している交通事故防止対策の一環として行われ、先進安全技術を搭載する車両に「サポカー」または「セーフティ・サポートカーS」(サポカーS)との名称をつけ、各日本メーカーとの連携を図っている。
メーカー各社が「サポカー」に対応した具体的な安全機能としては、衝突被害軽減ブレーキ、車線逸脱防止(アシスト)機能、誤発進防止機能(後方含む)が挙げられる。これに先行車両のオートクルーズコントロールなどが加わってくる。
トヨタを例にとると、トヨタによる「安全で快適なカーライフをサポートするクルマとその活動」としている「サポトヨ」の主な内容は、安全装備パッケージである「トヨタ・セーフティ・センス」をはじめとする安全運転サポートシステム搭載車の展開、夜間走行や高速道路の運転サポート、駐車場のステアリング操作サポートなどが挙げられる。
さらに具体的に見ていくと、前述の「サポカー」とは、自動ブレーキを搭載した車両を意味し、「サポカーS」はペダル踏み間違い時加速抑制装置も併せて装備している車両を指し、ドライバーのなかでも特に高齢者向けとされている。
さらに「サポカーS」では、以下のような「ワイド」「ベーシック」「ベーシック+」の3つの区分が採用されている。
■ワイド:「自動ブレーキ(対歩行者)」「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」「車線逸脱警報」「先進ライト」などの機能がついたクルマが当てはまる。車線逸脱警報は車線維持支援装置でも可。
■ベーシック:「低速自動ブレーキ(対車両)」「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」を装備。低速とは「作動速度域が時速30km/h以下」と定義。
■ベーシック+:「自動ブレーキ(対車両)」「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」の搭載車が当てはまる。自動ブレーキの作動速度域を限定せず。
念のため、トヨタの「セーフティ・センス」に設定されている機能を挙げると……、
プリクラッシュセーフティ:衝突被害軽減機能、レーントレーシングアシスト:ハンドル操作サポート機能、レーダークルーズコントロール:追従ドライブ支援機能、オートマチックハイビーム:自動ハイビーム:標識読み取りディスプレイ:ロードサインアシスト、インテリジェントクリアランスソナー:ペダルの踏み間違いに役立つ機能(前後に搭載されたセンサーが、障害物を素早く感知。衝突事故を未然に防ぐ役割を果たす)ということになる。
これに加え、インフラと協調する「ITSコネクト」は、交差点内に設置された感知器から送られてくる通信で見えない場所のクルマや人、信号情報などをキャッチするシステムだ。これは現状では主要都市に利用は限られているが、今後使用可能エリアは広がっていく予定という。
あまり安全装備をパッケージ化やグレードによって変化させることには賛成できないが、ディーラーでは少なくとも購入者に丁寧に機能と効果を説明して理解してもらうことを心がけてもらいたい。
そのほかの日本メーカーの安全パッケージの設定と主な仕様を紹介しておくと、
●ホンダ「ホンダ・センシング」:単眼カメラ+ミリ波レーダー。
●日産「プロパイロット」:単眼カメラのみ。
●スバル「アイサイト」:ステレオカメラのみ、カラー画像を用いた広角カメラを使用。
●マツダi‐ACTIVSENSE」:単眼カメラ+ミリ波レーダー。
●三菱「e-アシスト」:単眼カメラ+ミリ波レーダー+赤外線レーザー・レーダー。
●スズキ「セーフティ サポート」:軽自動車でステレオカメラ+赤外線レーザー・レーダー、ジムニーは単眼カメラとミリ波レーダー。システムの仕様・設定などさまざま。
●ダイハツ「スマートアシストⅢ」:単眼カメラ+ミリ波レーダー。
これらの装備は、ADAS(先進運転支援システム)に含まれ、自律自動走行(これも自動運転の表現は避けるべきだ)への第一歩なのだが、これらの技術の手法はあまり雑ぱくに捉えないほうがよく、検知能力には各社/モデルで違いがあり、標準装備なのか、パッケージオプションなのかなど、性能を含めて慎重に見極めていく必要がある。
さらにこの3月17日、国土交通省は自動運転技術に対応した新しい車検制度の導入を目指していることを発表、新たに車載式故障診断装置(OBD)をとり入れるという。
検査対象は、自動運転するクルマだけに限らず、自動ブレーキや横滑り防止装置などの運転支援装置や車線維持や自動駐車など自動運転機能なども含む計画。検査開始時期は2024年とされている。
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