【普及の道いまだ遠し】標準装備にすべき安全安心な先進装備

現在、我が国では急速に高齢化が進み、65歳以上の人口は3459万人(2017年)となり、総人口に占める割合は27.3%と、約4人に1人。75歳以上の運転免許保有者数は2017年の542万人から2020年には600万人に増えると推計されている。

また、75歳以上の人口に占める免許保有者比率は2017年の31.0%から2020年の32.0%へ伸びる計算で、ほぼ3人に1人が運転免許を持つ「団塊の世代」が加わる2020年代後半には、75歳以上のほぼ2人に1人が運転免許を持っている時代がやってくる。 

そんな超高齢化社会を迎える日本の自動車社会だが、高齢者に向けた安全装備の普及はまだまだこれからといった印象を受ける。

そこで、最新の安全装備事情と、高齢ドライバーが増えるのを見越して早急に新車に標準搭載するべき安全装備を挙げてみた。将来、高齢ドライバーになる30代~50代のドライバーの方も、ぜひ見ていただきたい。

文/岩尾信哉
写真/ベストカーWEB編集部、Adobe Stock


■自動ブレーキは2020年までに新車乗用車搭載率9割以上が目標!

スバルの最新安全装備、アイサイト ツーリングアシストの機能イメージ

日本車では軽自動車にも普及が進んでいる自動ブレーキだが、その呼び名には危うさが伴う。どんな状況であっても機能する完全な「自動」ではなく、決して「無敵」ではないことを認識していなければならない。国土交通省はやや、まどろっこしいが「衝突被害軽減ブレーキ」と呼ぶことを推奨している。

経済産業省と国土交通省は、2020年までに新車乗用車の搭載率を9割以上とすることを目標にしているが、このぶんでいけば、達成するのは間違いないところだろう。

全車標準やグレード標準といった設定車ベースの装着率は2017年のデータ(日本自動車会議所)になるが、トヨタが89%(レクサスを除く)、ホンダが90%、スバルが92.4%などとなり、概ね9割前後にまで達している。

そのほか各安全装備の普及率は以下の通りだが、このデータは2016年ベースなので、現在では1割以上は増えているのではないだろうか。

■ペダル踏み間違い時加速抑制装置の新車搭載台数/176万4354 台 (生産台数の47.1%)
※駐車場など不適切な場所で、アクセルの強い踏込を検知した場合に加速を自動で抑制する装置

■レーンキープアシストの新車搭載台数/58万8355 台(生産台数の13.7%)
※高速道路等において車線の中央付近を走行するよう自動制御する装置

■アクティブクルーズコントロールの新車搭載台数/1108053台(生産台数の25.9%)
※高速道路等において速度や前走車との車間距離を自動制御する装置

■夜間の歩行者検知機能はもっと普及させるべき!

いっぽう、国土交通省と自動車事故対策機構(NASVA)は、自動車の安全製評価を評価するJNCAP(自動車アセスメント)を取り組んでおり、さらに舌をかみそうな(失礼)「衝突被害軽減制動制御装置」などの安全性評価を実施している。

平成30年度にJNCAPの評価項目として新たに追加された試験項目としては、夜間の歩行者検知機能が挙げられる。具体的には、月明かりの夜道に相当する1ルクス未満の明るさ、評価試験では街路灯の点灯時を想定した。車速が30~60km/hで対向車とすれ違った直後に、対向車の背後から歩行者が飛び出してくる状況で性能を計測。

最新の話題としては、2018年6月には、国連欧州経済委員会(UN/ECE)の自動車基準調和フォーラム(WP29)が衝突被害軽減ブレーキの導入を義務づける規制案を提出。

今年2月に日本を含む世界の約40ヵ国が、自動ブレーキの導入を義務づける規制案に合意したと発表した。新規制は2020年初頭に発効する見通しとしている。

■「サポカー」制度って何?

トヨタの「サポカー」「サポカーS」には、第2世代となった「トヨタ・セーフティ・センス)」が採用されている。「サポカーSワイド」対象車は、現状でアクア、プリウス、プリウスPHEV、ヴィッツ、カローラスポーツ、アルファード、ヴェルファイア、クラウン、カムリ、シエンタ。ダイハツのOE車種(ピクシス系)。このうち、アルファード/ヴェルファイア、クラウン、カローラスポーツ、ミライには夜間の歩行者検知機能を備え、標準装備としている

日本での安全装備の普及の動きを見ると、2017年4月から「セーフティサポートカー」、略して「サポカー」制度が導入されているのが最近の目立った動きだ。

衝突被害軽減ブレーキなど、さまざまな安全装備の装着を促すことを狙ったもので、経済産業省と国土交通省が“啓発”している交通事故防止対策の一環として行われ、先進安全技術を搭載する車両に「サポカー」または「セーフティ・サポートカーS」(サポカーS)との名称をつけ、各日本メーカーとの連携を図っている。

メーカー各社が「サポカー」に対応した具体的な安全機能としては、衝突被害軽減ブレーキ、車線逸脱防止(アシスト)機能、誤発進防止機能(後方含む)が挙げられる。これに先行車両のオートクルーズコントロールなどが加わってくる。

 トヨタを例にとると、トヨタによる「安全で快適なカーライフをサポートするクルマとその活動」としている「サポトヨ」の主な内容は、安全装備パッケージである「トヨタ・セーフティ・センス」をはじめとする安全運転サポートシステム搭載車の展開、夜間走行や高速道路の運転サポート、駐車場のステアリング操作サポートなどが挙げられる。

さらに具体的に見ていくと、前述の「サポカー」とは、自動ブレーキを搭載した車両を意味し、「サポカーS」はペダル踏み間違い時加速抑制装置も併せて装備している車両を指し、ドライバーのなかでも特に高齢者向けとされている。

さらに「サポカーS」では、以下のような「ワイド」「ベーシック」「ベーシック+」の3つの区分が採用されている。
■ワイド「自動ブレーキ(対歩行者)」「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」「車線逸脱警報」「先進ライト」などの機能がついたクルマが当てはまる。車線逸脱警報は車線維持支援装置でも可。

■ベーシック「低速自動ブレーキ(対車両)」「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」を装備。低速とは「作動速度域が時速30km/h以下」と定義。

■ベーシック+:「自動ブレーキ(対車両)」「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」の搭載車が当てはまる。自動ブレーキの作動速度域を限定せず。

念のため、トヨタの「セーフティ・センス」に設定されている機能を挙げると……、

プリクラッシュセーフティ:衝突被害軽減機能、レーントレーシングアシスト:ハンドル操作サポート機能、レーダークルーズコントロール:追従ドライブ支援機能、オートマチックハイビーム:自動ハイビーム:標識読み取りディスプレイ:ロードサインアシスト、インテリジェントクリアランスソナー:ペダルの踏み間違いに役立つ機能(前後に搭載されたセンサーが、障害物を素早く感知。衝突事故を未然に防ぐ役割を果たす)ということになる。

これに加え、インフラと協調する「ITSコネクト」は、交差点内に設置された感知器から送られてくる通信で見えない場所のクルマや人、信号情報などをキャッチするシステムだ。これは現状では主要都市に利用は限られているが、今後使用可能エリアは広がっていく予定という。

あまり安全装備をパッケージ化やグレードによって変化させることには賛成できないが、ディーラーでは少なくとも購入者に丁寧に機能と効果を説明して理解してもらうことを心がけてもらいたい。

そのほかの日本メーカーの安全パッケージの設定と主な仕様を紹介しておくと、

●ホンダ「ホンダ・センシング」:単眼カメラ+ミリ波レーダー。
●日産「プロパイロット」:単眼カメラのみ。
●スバル「アイサイト」:ステレオカメラのみ、カラー画像を用いた広角カメラを使用。
●マツダi‐ACTIVSENSE」:単眼カメラ+ミリ波レーダー。
●三菱「e-アシスト」:単眼カメラ+ミリ波レーダー+赤外線レーザー・レーダー。
●スズキ「セーフティ サポート」:軽自動車でステレオカメラ+赤外線レーザー・レーダー、ジムニーは単眼カメラとミリ波レーダー。システムの仕様・設定などさまざま。
●ダイハツ「スマートアシストⅢ」:単眼カメラ+ミリ波レーダー。

これらの装備は、ADAS(先進運転支援システム)に含まれ、自律自動走行(これも自動運転の表現は避けるべきだ)への第一歩なのだが、これらの技術の手法はあまり雑ぱくに捉えないほうがよく、検知能力には各社/モデルで違いがあり、標準装備なのか、パッケージオプションなのかなど、性能を含めて慎重に見極めていく必要がある。

さらにこの3月17日、国土交通省は自動運転技術に対応した新しい車検制度の導入を目指していることを発表、新たに車載式故障診断装置(OBD)をとり入れるという。

検査対象は、自動運転するクルマだけに限らず、自動ブレーキや横滑り防止装置などの運転支援装置や車線維持や自動駐車など自動運転機能なども含む計画。検査開始時期は2024年とされている。

■ペダル踏み間違い防止機能ブレーキは100%標準装備にするべき!

ノートe-POWERとリーフに設定されているペダル踏み間違い衝突防止アシスト

JNCAPの装備の評価基準として2018年度からとり入れられた「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」も標準装備にするべき重要な装備だ。「加減速防止機能」とも呼ばれるのは走行中の踏み間違え防止の機能をもつためだ。

この機能は、停止時や低速走行時に、車載のレーダー、カメラ、超音波ソナーが前方や後方の壁や車両を検知している状態で、運転者のシフトレバーやアクセルペダルの誤操作等によって周辺障害物と衝突する可能性がある場合に、衝突防止または被害軽減のためにエンジン出力を抑えることなどによって、急な発進/加速を抑制する。

トヨタとダイハツが踏み間違え防止装置を後付け可能としている点は評価したい。車両の前後に超音波センサーを2個ずつ設置。近くに障害物があるときにアクセルペダルを踏み込むと、車内に設置した表示機が警告を表示し、ブザーが鳴る。

さらに強く踏むと急発進や急加速を防ぐ機能を備える。なお、新車に搭載する安全システムが備える自動ブレーキは搭載しない。

トヨタはプリウス(3代目)とアクアを対象車種として販売を開始。ダイハツも同日に後付け可能な安全装置を発売した。

ダイハツ車の販売店で約3時間で取り付け可能とされ、累計販売台数の多い2007年に発売された2代目「タント」を対象して、対象車種は今後広げていくとしている。価格はプリウスが5万5080円、タントが5万9508円。

■標識認知機能機能もぜひ標準装備を!

そのほか、注目したい機能として触れておきたい機能のひとつとして「標識認知機能」を挙げたい。機能的にはカメラの画像認識を利用したもので、カメラで道路標識を読み取り、ディスプレイに表示する。道路標識の見落としなどによる速度超過から起こる事故などを防止可能だ。高速道路IC出口などの進入禁止などでも想像以上に有効なように思える。

レクサスの「ロードサインアシスト」、ホンダの「ホンダ・センシング」、輸入車でもメルセデスの「トラフィック・サイン・アシスト」やボルボの「ロード・サイン・インフォメーション」などの装備例がある。

いずれの安全装備もいかに廉価に手に入れられるか、標準装備で設定されるかがカギとなる。当面は売れ筋モデルだけでもかまわないので、高齢者に優しい機能の普及のために、ぜひとも企業努力をお願いしたい。

■音声認識インフォテイメントシステムも普及してほしい!

ハイ、メルセデスと言うと起動するベンツAクラスの音声認識インフォテイメントシステム

音声認識としては、メルセデスの「MBUX」がAクラスに新たに導入した(一部グレードではオプション設定)。「ハイ、メルセデス」の音声をきっかけとして、システムを稼働させることができる。

BMWは新型3シリーズで音声認識システム「インテリジェント・パーソナル・アシスタント」を初採用(「OK、BMW」を音声トリガーとする)するなど、音声認識システムの採用が広がる可能性が高い。

こうした音声認識能力の高度化によってボタン操作の機会が少なくなくなれば、運転中の安全性向上に寄与することは間違いない。

■有効だが普及進まぬ「ナイトビジョン」

最近ではプジョー508SWに、欧州の安全評価プログラム「ユーロNCAP」の適合にするミドルクラスセダン初のナイトビジョンを設定。赤外線カメラによって、夜間や視認性が低下する状況でも、車両の前方200m先の物体を検知。ヘッドアップディスプレイなどを通じて、ドライバーに警告を発するとしている。VWも2018年に北京ショーで発表された新型トゥアレグでナイトビジョンを初採用している。マルチフォメーション機能を持つTFTメーターパネル内で確認が可能。BMWと同様にHUDにも表示して機能性を高めている

そのほかの高齢者の運転をサポートする安全装備をとり上げてみよう。遡れば2004年に世界初のホンダが採用したことで話題となった「ナイトビジョン」(暗視装置)は、照明の設置が限られている地域での夜間の走行では有効だが、コストの高さゆえか、オプション装備としても依然として普及が進んでいないのが現状だ。

日本車では、トヨタとレクサスでは「ナイトビュー」、ホンダはレジェンドで「インテリジェント・ナイトビジョン」として採用するなど、主に高級車で展開されている。

輸入車では、メルセデスSクラスでは「ナイトビュー・アシスト・プラス」、BMWでは「ナイト・ビジョン」としてミドルクラス以上を基本に採用され、ポルシェではパナメーラに設定されている。

BMWの「ナイトビジョン」を例に機能を説明すると、夜間運転中に人や大型動物が路上にいた場合に警告を発し、赤外線カメラにより対象物の姿をディスプレイに映し出す。

衝突するおそれがある場合にはヘッドアップ・ディスプレイ(HUD)に警告が表示されると同時に警告音が鳴り、システムが自動でブレーキ圧を高め、ドライバーのブレーキ操作時に可能な限り最短距離で停止できるよう備える。

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