【本当にスマホで足りるのか? それとも独自の価値が!?】最新カーナビの進化と行方


それでは専用モデルは衰退するのか? 実はスマホと決定的に違う点がある

 この仕事をしていると確かに「もうカーナビとかスマホで充分でしょ?」という質問を本当に多く聞かれることが増えた。しかし、現実は必ずしもそうではない。

 カーナビを始め、テレビやデジカメなど多くの電子デバイスの業界団体であるJEITA(一般社団法人電子情報技術産業協会)のデータによれば、2018年のカーナビゲーションシステムの国内出荷台数は611万4000台と対前年比で105.5%、今年に入ってからの2ヶ月でも同月比で100%を超えている。

 つまりカーナビが売れなくなったというよりは一時期より勢いがやや鈍化したと考えたほうがいい。

 実際のところ、ここ10年間の流れとしてはメーカーが工場で装着する純正モデルと量販店などで販売される市販モデルの2つの商品群を見ると純正モデルの高性能化、前述したコネクト機能に関しても自動車メーカーが独自のコネクト戦略を打ち出しているものが多く、いっぽうで市販モデルは後述する機能面などで新しい提案を出し続けている。

 ではスマホとの差別化で考えると、やはりクルマという非常なまでの「劣悪環境」に耐えられる設計というで専用品が圧倒的に有利だ。

クルマは熱、振動など、日常生活での使用に比べて過酷な環境となるため、耐久性が重要。それをクリアしたカーナビ、カーオーディオ、カーエアコンのみが装着されている

 スマホナビの性能は確かに優れているが、そもそもそのアプリを入れる箱、つまりスマホ本体はクルマの中で起きうる「熱」、「振動」などに対しては基本対応できるようには設計されていない。

 昨今は高性能化によりスマホ本体の発熱も増えているなか、さらに直射日光などの影響で本体がオーバーヒートすればシステムは安全のためにシャットダウンする。またバッテリーに関しても劣化は早まる。

 その点、専用品はそれらに関して過去から多くの試験を行い耐久性も重視して設計されている。チョイ乗り程度ならばスマホナビでも良いが長距離のドライブや仕事で使うならばそこは「プロの道具」に任せるのが筋だろう。

 それでは純正モデルと市販モデル、どちらを選べばいいのか、そのあたりを解説しよう。

【純正ナビ編】各車両に最適化された設計、テレマティクス技術も積極導入

 これまでカーナビの取り付けスペースはドイツの工業規格であるDINを2段重ねたいわゆる「2DIN」と呼ばれるサイズが主流だった。このサイズに入る画面サイズは基本7インチまでだったのが現実だ。

 しかしクルマの進化、特にインパネ回りのデザインを行う際にはこの取り付けスペースというのがデザイン上のネックなってしまうケースもある。

 そこでメーカーはこの2DINサイズを意識せずにインテリアにジャストフィットする専用カーナビを開発した。これらは車両購入時に「メーカーオプション」としてオーダーするのが基本で特に高額車にはその傾向が多い。

 さらに昨今輸入車のトレンドとしてメーターをフルデジタル化することで地図画面をここに表示するなどまさに専用設計でなければ実現できない連携機能を搭載できるのも大きなメリットだ。

 またこれまで幅180mmのDINサイズでは音量や選曲などを行うハードキー(ボタン)が配置できないということで、独自に幅200mmのワイドモデル(ワイドDINと呼ぶケースもある)も独自に策定、現在もトヨタ・ダイハツ・日産などのモデル多く採用されている。

 カーナビの黎明期、純正ナビのメリットはこのジャストフィットする設計や耐久性、さらに万が一の故障に対する補償の手厚さだった。逆に機能面で言えば市販ナビに差を開けられていた時期も存在した。

 そこに登場したのが前述したコネクテッド、つまり通信を使うことでドライブに有益な情報が手に入る技術である。テレマティクスとも呼ばれるこの技術を使い、膨大なデータ(ビッグデータと呼ばれるもの)を取得、活用すれば将来の自動運転の時代にも役立つことになる。

 この辺はクルマを製造している強みでさらに資金力も含め、トヨタの「T-Connect」、日産の「カーウイングス」、ホンダの「インターナビプレミアムクラブ」などが代表的。

 さらに気になる通信費に関してもメーカーごとに異なるとはいえ、新車登録時から3年間、中にはホンダのように永年無料というものも存在する。

 また後述するが市販モデルが火を付けた大画面トレンドに関しても後追いながら積極的にモデルを増やしている現実がある。テスラの17インチやボルボの9インチなど縦型の大画面ユニットも登場している。

テスラはカーナビの画面に17インチの液晶を採用。写真はモデルSのインパネで、これだけ大きいと視認性に優れ、誤作動も少ないので安全面にも大きく貢献

 さて純正モデルにはもうひとつ新たな流れが出てきている。それが「ディスプレイオーディオ」というモデルである。読んで字のごとく、この商品にはカーナビ機能は搭載されていない。

 ではどうするか。昨今、世界ではGoogleの「Android Auto」とAppleの「CarPlay」、この2つのコネクト機能が注目されている。

 Android Autoの場合はGooglマップを活用した専用のナビ機能。CarPlayの場合はこれまで標準装備のマップ機能が実用性としてはイマイチだったのだが、iOS12にアップデートした際にGoogle Mapsなどに対応した。

Android Auto、CarPlayともスマホと連動させることでナビ、オーディオなど総合的に活用。対応する自動車メーカーも増加中(写真はホンダフリードののCarPlay操作画面)

 これによりカーナビ機能が一気にレベルアップ! さらに有料にはなるが、その高機能ぶりが評価されているナビタイムジャパンの「カーナビタイム」も使えるようになった点はかなり魅力的だ。

 輸入車ではフィアットやアルファロメオなど数多くの最新モデルがこのディスプレイオーディオを採用してきている。ナビ機能をスマホに任せることで車両価格も抑えることができるし、前述したようにスマホを直射日光の元にさらすこともない。

 ただ専用モデルに比べると自車位置精度に関してはGPSはあくまでもスマホに内蔵されたものを活用、よく言われるビル群(谷間)や長い距離のトンネルなどでは車両からのセンサーも併用し、元々受信感度の高い専用ナビには敵わないことも覚えておく必要がある。

カーナビのように感じるが、これはオーディオ。ディスプレイオーディオと呼ばれる商品で採用メーカーが増えてきている(写真はパイオニアFH-9300DVS)

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