■e+の走り&ベストリーフは?
(TEXT/渡辺陽一郎)
リーフe+は、駆動用電池の容量を40kWhから62kWhに増やした。これにより1回の充電で走れる距離が1.4倍に延びている。動力性能も向上した。
もともとモーターは、エンジンに比べて瞬発力が優れている。
エンジンは回転の上昇に伴いパワーが高まるが、モーターは高い力を一気に出せる。そのために従来型の40kWhでも、加速力は3Lのガソリンエンジンに相当する。
これがe+では、4L並みに感じた。時速40~60kmで巡航中にアクセルペダルを踏み増すと、駆動力が急上昇してホイールスピンが起こり、強烈な加速が始まった。
ちなみに通常のエンジン車では、アクセルペダルを踏み込むとATが低いギヤにシフトダウンして、エンジン回転が高まってから本格的な加速を開始する。
それがリーフe+では、アクセルペダルを踏み込んだ次の瞬間には、強い加速力が立ち上がるのだ。しかもエンジンと違って、ノイズはほとんど高まらない。
インバーターの高音が少し響く程度だから、これがまた独特の迫力を生む。「静かな激しい加速」は、少々不気味だ。
高回転域の伸びもいい。モーターの特性は、極端にいえばディーゼルエンジン的で高回転域になると速度上昇が伸び悩むが、リーフe+ではこの限界が高い。少なくとも法定速度の範囲内では、高速道路も含めて、速度の伸び悩みを感じない。
走行安定性は、峠道などで車両の向きを変えやすい。カーブで内側のブレーキを作動させるインテリジェントトレースコントロールの効果もあり、スムーズに曲がる。
ただし下り坂のカーブでブレーキを踏む操作を強いられると、後輪の接地性が不足気味だ。もう少し後輪を安定させたい。
40kWh仕様に比べると、e+はボディ剛性の向上もあって安定性を改善したが、駆動用電池の変更で車両重量は160kg増えた。従って安定性で有利とはいえない。
現行リーフはプラットフォームやボディの一部を先代型から流用しており、開発者は「リーフのボディと足回りにとって、e+の動力性能は限界に達している」という。
乗り心地は快適だ。時速40km以下では少し硬いが、粗さはなく、全長が4.5m以内の5ドアハッチバックでは上質に仕上げている。
■ノーマルかe+か? ベストグレードはどれ?
(TEXT/渡辺陽一郎)
リーフe+の特徴を考えると、比較的長い距離を走るユーザーに適している。1回の充電で走れる距離が1.4倍になり、動力性能も4L並みにアップして、乗り心地も少し向上するからだ。
問題は価格で、装備が比較的近いX(366万1200円)とe+X(416万2320円)を比べても、e+が約50万円高い。e+Xには6kWの充電器にも標準対応できるため、このオプション価格を差し引いても、約39万円の差額は残る。
一方、CEV補助金は、2018年度の交付額が40kWh、e+Xともに40万円だ。この金額が交付額の上限だから、差はつかない。
そうなると最もお買い得なモデルは40kWHのXだろう。e+にふさわしいのは、高速道路での走行性能や航続可能距離を重視したり、数台のリーフを乗り継いできて、次に上級移行するユーザーになる。
そしてe+の動力性能は、今後登場するスポーティなリーフニスモと相性がいい。静かで動力性能が高いから、電気自動車の上級セダンなどにも適する。将来が楽しみなパワーユニットだ。
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