■速さよりも爽快なフィーリングを徹底して追求
パワーユニットは2タイプ用意され、上級グレードのSiRにはB16A型1.6L VTECエンジンを、VXiにはD15B型1.5Lエンジンを搭載する。1.6Lエンジンは5速MT仕様が最高出力170ps/最大トルク14.1kgm、4速AT仕様は最高出力155ps/最大トルク15.6kgmを発生。
1.5L仕様は走りと低燃費を高度にバランスさせながら、高出力130ps/最大トルク14.1kgmという十分な能力を発揮。いずれのエンジンも1030~1200kgという軽量ボディの恩恵もあり爽快なフィーリングを味わわせてくれる。
優れた操縦性はCR-Vの持ち味だが、デルソルもその点はしっかりと踏襲している。足まわりには、シビックシリーズで確立した新世代の4輪ダブルウイッシュボーンサスペンションを採用しながら、サスペンションの低バネレート化とロングストローク化に加え、ダンパーのシリンダーサイズを大型化といったスポーツモデルにふさわしいセッティングが施された。
軽量なオープンボディとしているが、徹底したコンピュータ解析を行うことでハイレベルな剛性を確保していたことも、爽快でしっかりとした操舵感がもたらす独特の運転感覚の実現に貢献している。
新感覚のスポーツカーとしてデビュー当初は脚光を浴びたものの、販売台数は予想外に伸び悩んでしまう。最たる理由はCR-Xというネーミングを継承していたのにも関わらず、ライトウエイトスポーツとして確たる地位を確立していたそれまでのCR-Xとはクルマのキャラクターがあまりにも違いすぎたことが挙げられる。
もしもCR-Xデルソルが、オープンエアクルージングの楽しさを盛り込むことよりも、軽量かつコンパクトなボディがもたらす後敏さで、ワインディングを縦横無尽に駆け回れる、FFのライトウエイトスポーツの能力にこだわっていたとしたら、クルマの売れ行きはきっと違った結果になっていただろうし、4代目以降もホンダのラインアップに名を連ねていたかもしれない。
しかし、CR-Xデルソルが打ち出したコンセプトやルーフ周辺に採用された技術は、後に登場する電動開閉式ハードトップ車の開発に大きな影響を与えたことは想像に難くない。
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