【スイフト、シビック、コロナ…】大ヒット車の影で不運な運命を辿った理由とは?

■ER34型スカイライン4ドア 25GTターボ/1998年5月

 ボディは力だ、ドライビングボディというCMキャッチコピーで1998年5月にデビューしたR34スカイライン。R34GT-Rの影に隠れた名車として4ドアの25GTターボをピックアップ。近年D1でも人気を博している
ボディは力だ、ドライビングボディというCMキャッチコピーで1998年5月にデビューしたR34スカイライン。R34GT-Rの影に隠れた名車として4ドアの25GTターボをピックアップ。近年D1でも人気を博している

 栄光の神話を取り戻すために1998年5月に登場したのが、10代目のR34スカイラインだ。原点回帰を図ってボディをコンパクト化し、ホイールベースを短く詰めた。

 また、彫りの深いサーフィンラインとグリルレスの顔立ちも復活させている。メカニズムは先代のR33型から受け継いだが、シェイプアップして若返った。フラッグシップは25GT-Tだ。

 細部に改良を施した2.5LのRB25DET型直列6気筒DOHCターボは280ps/34.0kgmを達成している。マイナーチェンジ後のモデルではBNR32型GT-Rの最大トルク36.0kgmも凌駕した37.0kgmを達成したのだから驚きだ。

 サスペンションは4輪マルチリンクで、電動スーパーHICASも装備する。CMキャッチコピー、ボディは力だ、ドライビングボディの言葉通り、剛性は高く、ハンドリングも一級だった。

1999年1月にデビューした、言わずと知れた名車、BNR34型スカイラインGT-R。RB26DETTエンジンは280㎰/40.0kgmを発生
1999年1月にデビューした、言わずと知れた名車、BNR34型スカイラインGT-R。RB26DETTエンジンは280㎰/40.0kgmを発生

 GT-R以上にハンドリングは軽快で、FR車ならではの「意のままの気持ちいい走り」を存分に楽しむことができる。まさにオン・ザ・レールの味わいなのだ。

 2Lモデルより排気量が500cc大きいから余裕たっぷりの走りをみせた。ターボラグは小さいし、加速も冴えている。4000回転を超えてからのパワーフィールは刺激的だ。

 R34GT-Rの影にまさに隠れた名車といえる。特に私が推したいのが4ドアモデルである。クーペほど売れなかったため失敗作と言われているが、キャビンは広く、とくに後席の広さと快適性は際立っていた。

 トランクだって広い。日常ユースで使い勝手がいいのも4ドアのほうだ。今、ステアリングを握っても満足度の高いスポーツセダンなのである。

■セリカSS-IIスーパーストラットパッケージ/1999年10月

 7代目セリカの未来的なデザインは現在でも通用する。このセリカにGT-FOURグレードがあったとすれば生き残っていただろうか?
7代目セリカの未来的なデザインは現在でも通用する。このセリカにGT-FOURグレードがあったとすれば生き残っていただろうか?

 21世紀を前にした1999年10月にベールを脱いだのが7代目のセリカだ。これがセリカの最終モデルで、日本でも北米でもパッとしなかったので2006年4月に販売終了。

 が、当時としては意欲的な作品だったのである。トヨタの北米デザインの拠点となっているCALTYがデザインした3ドアのクーペボディはアグレッシブなデザインだ。ホイールベースは65㎜延びているが、オーバーハングを100㎜も切り詰めてコンパクト化した。

 また、エンジンもダウンサイジングしている。トップグレードの1800SS-IIが積むのは、可変バルブタイミング機構のVVT-iに可変バルブリフト機構を加えたVVTL-i採用の2ZZ-GE型直列4気筒DOHCだ。

 190㎰/18.4kgmを発生する2ZZ-GE型エンジンは、高回転まで軽やかに回り、6000回転から上では刺激的な加速を楽しめた。クロスレシオの6速MTも小気味よく決まる。

 それ以上に感激したのはボディがしっかりし、ハンドリングも軽快だったことだ。SS-IIに設定されたスーパーストラットパッケージは、意のままの気持ちいい走りを楽しめ。コントロール性も大きく向上していた。

 群を抜いて接地フィールがよく、アクセルを踏んだまま痛快なコーナリングを楽しめる。

 特にリニアコントロールバルブ付きのショックアブソーバを装着した後期モデルは、さらに接地フィールがよくなった。今乗っても楽しい痛快なFFスポーツクーペだ。

 スポーツカー人気が下降線を辿っていた時代ということもあって、この最終型セリカは不運だったように思う。未来的なデザインも時代を先取りしすぎていた。

 今思うのは、それまでのイメージリーダーで6代目までラインアップしていたGT-FOUR を7代目まで残していたら、セリカは今でも生き続けていたのではないか。実に、もったいない話である。

写真は1991年9月に発売されたWRC用のホモロゲーションモデル、ST185型GT-FOUR  RC。生産台数はグループA規定の5000台で日本国内ではそのうちの1800台が販売された。空冷式インタークーラーとツインエントリーセラミックタービンを搭載した標準のGT-FOURに対し、GT-FOUR  RCは冷却性能が車両の姿勢に左右されにくい水冷式インタークーラーと、耐久性を重視して金属製のタービンブレードを使用したターボチャージャーを搭載
写真は1991年9月に発売されたWRC用のホモロゲーションモデル、ST185型GT-FOUR RC。生産台数はグループA規定の5000台で日本国内ではそのうちの1800台が販売された。空冷式インタークーラーとツインエントリーセラミックタービンを搭載した標準のGT-FOURに対し、GT-FOUR RCは冷却性能が車両の姿勢に左右されにくい水冷式インタークーラーと、耐久性を重視して金属製のタービンブレードを使用したターボチャージャーを搭載

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