【スイフト、シビック、コロナ…】大ヒット車の影で不運な運命を辿った理由とは?

【スイフト、シビック、コロナ…】大ヒット車の影で不運な運命を辿った理由とは?

 どの世界でもそうだが、ヒット作と失敗作がある。自動車の世界も同じだ。大ヒットを飛ばし、一躍スターダムにのしあがったクルマがある。

 だが、これは少数だ。売れない失敗作のレッテルを貼られたクルマのほうがはるかに多い。

 が、大ヒットしたクルマの陰に隠れて目立たなかったが、いいクルマもある。実は実力派なのに名車があったゆえに、評価されていない、もっと評価されてもいい、“隠れた名車”は意外と多いのだ。

 そこで過去と現代の「隠れた名車」を探し出し、表舞台に引っ張りだしてみたいと思う。

文/片岡英明
写真/ベストカーWEB編集部


■7代目コロナ1800GT-TR/1982年10月

セリカの影に隠れた名車として挙げたのがコロナハードトップ1800GT-TR。搭載されたエンジンは3T-GTEUの1.8L、直4ツインカムターボで160㎰/21.0kgm(グロス値)を発生
セリカの影に隠れた名車として挙げたのがコロナハードトップ1800GT-TR。搭載されたエンジンは3T-GTEUの1.8L、直4ツインカムターボで160㎰/21.0kgm(グロス値)を発生

 日本で初めてスペシャルティカーのジャンルを開拓し、北米市場で大成功を収めたのがセリカ。その3代目セリカとカリーナとプラットフォームを共用していたのが、今回の主役として担ぎ出した7代目コロナ1800GT-TRである。

 1982年9月、セリカは名誉挽回のために日本初のツインカムターボを仲間に加えた。時代に先駆けてラック&ピニオン式のステアリング形式を採用し、サスペンションも上級モデルはストラットとセミトレーリングアームの4輪独立懸架を採用する。

 1800GT-Tと1800GT-TR、そしてグループB仕様の限定車、1800GT-TSには1.8Lの3T-GTEU型直列4気筒ツインカムターボを搭載していたが、時を同じくしてコロナとカリーナにも同じエンジンが搭載された。

 3T-GTEUは、1.8L(1770cc)直4 OHVクロスフローの3T-EU型をベースにDOHC化。バルブ配置は1気筒あたり2バルブのままながら、1気筒あたり2本の点火プラグを持つツインプラグ方式を採用。これにターボチャージャーを装着して160ps/21.0kgmを発生。リッター90.4psという出力は、その時点における国産車で最も高かった。

 この当時、日産はターボ、トヨタがツインカムで、「名ばかりのGT達は道をあける」という2代目セリカのCMキャッチコピーで、日産を挑発。

 すかさず日産はスカイライン2000GTターボ(ジャパン)を出し、「今スカイラインを追うものは誰か?」と応酬。この一件があった後の出来事である(蛇足だがこの後、日産はDOHCターボを搭載したR30 で、史上最強のスカイラインと銘打った)。

 こうしたターボか、ツインカムかという論戦に終止符が打たれたのが、このツインカム+ターボを搭載したセリカ、コロナ、カリーナだったのである。

 3T-GTEUという名機を搭載していながら、セリカ、コロナ、カリーナにあまり人気が出なかったのは、同時期に発売していたセリカXX(1981年7月発売)の存在があったからだ。このセリカXXはスタイリングが衝撃的かつ強烈なインパクトで、当時の若者のハートを捉え、大ヒットモデルとなった。

1981年7月にデビューしたセリカXXは発売当初、ソアラと同じ5M-GEU、直6DOHC 2.8Lエンジン(170㎰/24.0kgm)を搭載し、CMでもロータスを作ったコーリン・チャップマンを起用し、スポーツ色を全面に押し出した<br>
1981年7月にデビューしたセリカXXは発売当初、ソアラと同じ5M-GEU、直6DOHC 2.8Lエンジン(170㎰/24.0kgm)を搭載し、CMでもロータスを作ったコーリン・チャップマンを起用し、スポーツ色を全面に押し出した
1982年9月にデビューした1.8L、直4ツインカムターボ搭載の3代目セリカクーペ1800GT-T
1982年9月にデビューした1.8L、直4ツインカムターボ搭載の3代目セリカクーペ1800GT-T
映画007でお馴じみのスーパーヒーローことロジャー・ムーアをCMキャラクターに起用<br>
映画007でお馴じみのスーパーヒーローことロジャー・ムーアをCMキャラクターに起用

 セリカXX、そしてセリカの3T-GTEU搭載車に比べ、隠れた名車として推したいのが、映画007でお馴じみのロジャー・ムーアをCMキャラクターに据えた、スーパーコロナこと、ハードトップのコロナ1800GT-TRである。

 見た目もセリカに比べるとおとなしいが、カリーナに比べると凛としていて少し華やかさがある、このコロナハードトップ1800GT-TR(セダンは地味すぎ)こそ、隠れた名車いや、羊の皮を被った狼というべきなのかもしれない。

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