■完璧を求めたターボ×スーパーチャージャーたち

1980年代は、「ツインカム」「ツインカム4バルブ」「ターボ」「ツインターボ」といった、ハイパワーを絞り出すメカが大いに脚光を浴びた時代だった。そんななか、登場したのが、初代マーチに設定された、マーチスーパーターボ(1989年)だ。
当時、全日本ラリー選手権向けのレース車両として発売された「マーチR」をベースに、市販向けに仕立てられたのがマーチスーパーターボだが、エンジンは「マーチR」と同じ、930㏄のターボ+スーパーチャージャー。
最高出力は、今見ればやや拍子抜けの110㎰に過ぎなかったが、当時はターボでリッター100馬力オーバーは大変な高出力。

大径タービンが必要だったため、レスポンスを補うために、低い回転域ではスーパーチャージャーがトルクを補った。
車両重量はたったの770kgだったから、相当なパフォーマンスを誇ったと思われる(残念ながら私は乗ったことがありません)。
マーチスーパーターボの登場から18年後の2007年。再びターボ+スーパーチャージャーが登場する。5代目ゴルフの後期モデルに採用された「直噴ツインチャージャー」がそれだ。

コンセプトはマーチスーパーターボと同じで、1.4Lという排気量ながら、低回転域ではスーパーチャージャーが、高回転域ではターボが過給するという役割分断だ。
ただしゴルフの場合、マーチのような競技ベース車両ではなく、高出力・低燃費を実現する実用エンジン。ダウンサイジングターボの一種ですね。
実際に乗ってみると、大排気量自然吸気エンジンのような、まったくもって自然なフィーリングで、とんがった部分はまるでなかった。
当時ツインチャージャーは低燃費がウリでもあったが、実用燃費は頑張って13km/L程度で、それほど優れているとも感じなかった。
VWのツインチャージャーは、6代目ゴルフにも搭載されたが、その後のターボ技術の進歩により、スーパーチャージャーがなくても十分な低速トルクを出せるようになったため、短命に終わった。
ぶっちゃけツインチャージャーは生産コストがかかりすぎたし、メカが複雑になる分、何かあると大変なのでした。
■3人家族仲良く! 前席3人乗りのクルマたち
前席3人乗りといえば、昔はベンチシートのアメリカ車が定番だったが、日本車にもいくつか存在した。
トヨタアバロンは、初代から前席3人乗りのベンチシートが存在したが、販売は北米向けのみで、日本に逆輸入されたモデルは通常の前席2人乗りだった。しかし2代目アバロンは、「プロナード」の車名で、日本にも前席3人乗りのベンチシート車が逆輸入された(2000年)。
ただ、アバロンとプロナードは、見た目も走りもオッサンくさかったし、ベンチシートもウリにならず、日本ではまったくの販売不振で終わった。
1998年に登場した日産ティーノも、ベンチシートを持つ前席3人乗り。後席を取り外して広大なラゲージを確保することもできた。


当時はミニバンブームの初期で、乗用車にもミニバン的なユーティリティを取り入れようとする動きがあり、ティーノはその反映だったのだ。
が、スペース性ではミニバンにかなうはずはなく、全幅は1760mmと広くて取り回しがイマイチ。見た目もイマイチで販売は低迷。一代限りで消滅の憂き目に遭った。
一方、2004年登場のホンダエディックスは、ベンチシートではなく独立シート。前3席はそれぞれ独立して前後スライド&リクライニングすることができた(ちなみに後席も中央席のみスライド可能)。


エディックスは、「子供ひとり時代」のファミリーカー。一家3人が前席に並んで座ることができるという、実にユニークなコンセプトだったが、これまた中途半端ということで受け入れられず、一代で消えた。カッコも悪かったし。
海外モデルでは、フィアットのムルティプラ(1998年)が、オール独立シートの前後3人乗り(合計6人乗り)の珍車として有名だ。


また、マクラーレンF1も、前席のみの3人乗りで、しかもドライバーが中央に座る(左右の座席はやや斜め後方に位置)という、超絶ユニークなスーパーカーだった。
ドライバーが中央に座るフォーミュラマシン直系なのだからものすごい。これに追従するクルマはまだ出ていない。
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