4月に行われた上海モーターショーとニューヨークモーターショーに出展された日本車たちから、バラエティに富んだ全9モデルをお見せしよう。
言うまでもなく、米中どちらも日本車メーカーにとって重要な世界2大市場。そこに向けてどんなクルマを用意しているかは、日本のクルマ好きにとっても興味深いところ。
もちろん、日本への導入が確実なクルマ、そのまま逆輸入ということはなくても、技術面などのフィードバックが期待されるクルマもあって、そちらも大いに気になるところだ。
※本稿は2019年5月のものです
文:永田恵一/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年6月10日号
■トヨタ ロンバス(上海ショー)
●中国の若者向けEVコンセプト
上海モーターショーに出展された「RHOMBUS」(ロンバス。英語でひし形の意味)はトヨタの中国の開発部門が手がけた、20代以下の中国の若者をターゲットにしたEVコンセプトカーである。
左右スライドドアで運転席が1席、Bピラー付近に独立したシートが2席、後ろに1席という変則的な4人乗り3列というシート配置となる。
運転席には180度回転する機能もあり、目的地に着いたら簡単なテーブルでも立てて、食事や談笑するといった楽しみ方もできそうだ。
このコンセプトは休日などに駐車場で文字どおりクルマを部屋として使う用途にも応用できそうなものなので、断片的にでも市販車へのフィードバックを期待したい。
■スバル アウトバック(NYショー)
●ワイルドさと先進技術をともに強化
2月のシカゴショーでのB4に続き、NYショーでアウトバックが世界初公開され、新型レガシィが出揃った。
6代目となる新型アウトバックも、ステーションワゴンにSUVの要素をミックスしたクロスオーバーという点や、「ユーザーの生活を豊かにするクルマ」というコンセプトは不変である。
機能面は新世代のスバルグローバルプラットフォームへの移行、CVTと組み合わされるNAの2.5L直噴フラット4とフラット6の置換エンジンとなる2.4Lフラット4ターボの搭載など、大まかにはB4に準ずる。
しかし平均的なSUV以上となる220mmという最低地上高の確保や、2.4Lフラット4ターボではトーイング(ボートなどの牽引)性能を約30%高めるなど、キャラクターにふさわしい改良が多数施されている。
B4の日本導入は流動的であるが、アウトバックは今秋の日本導入が確実視されていて、日本では2.5Lのガソリンエンジンとハイブリッドが設定されそうだ。
日本車唯一のラージクロスオーバーとして、次期アウトバックはさらに存在感を高めそうだ。
■三菱 e-Yi(イーイー)コンセプト(上海ショー)
●アウトランダーをイメージさせるPHEV
三菱は3月のジュネーブショーでワールドプレミアしたエンゲルベルクツアラーを「e-Yi(イーイー)コンセプト」に名前を変え、上海ショーでアジアプレミアした。
「e-Yiコンセプト」は専用の2.4Lエンジンを発電用に使い、前後輪それぞれをモーターで駆動する4WDのプラグインハイブリッド。
EV走行距離は70km以上、満充電+ガソリン満タンからの航続距離は700km以上(それぞれWLTPモード)と公表されている。
これらの情報を見ると「次期アウトランダーPHEVを示唆するコンセプトカー?」と感じるが、「e-Yiコンセプト」は3列シートとのこと。
ボディサイズは公表されておらず、そのため現行アウトランダーPHEVの一車格上に位置するクルマなのか、それとも次期アウトランダーPHEVがバッテリーの進化などにより現行と近いサイズのまま3列シート車となるのか、非常に気になるところだ。
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