「レビン」や「ランサー」という名前とともに懐かしい思い出が蘇ってくるという方は少なくないだろう。どちらもすでに日本市場からは消滅した車種である。
しかし、実は前述の2台ともに海外では“現役”。他にも日本では絶版になったものの、海外では健在なクルマをしばしば見かけることがある。
そんな姿や形を変えて異国の地で活躍する国内絶版車のいまを追跡!
文:永田恵一
写真:NISSAN、TOYOTA、中華汽車
海外で現役の日産車は?
■日産 ムラーノ
ハリアーをターゲットとしたラージラグジュアリーSUVであるムラーノは、2002年から北米などの海外で初代モデルが先行販売されたのに続き、2004年から日本でも販売を開始。
キープコンセプトで2008年に2代目モデルに移行したが、日本での2代目モデルの販売は不振で、2015年に絶版となった。
海外向けは、2014年に3代目モデルにフルモデルチェンジされ、キープコンセプトながら北米仕様の3.5L・V6に加え、中国仕様では2.5L直4+スーパーチャージャーを使うハイブリッドも設定されるなど、なかなかの意欲作となっている。
■日産 キックス
キックスという車名は、モーターショーに出展されるコンセプトカーで2回使われた後、日本では2008年に三菱から日産に供給されるパジェロミニのOEM車に使われ、2012年にパジェロミニの生産終了とともに絶版となった。
しかし、キックスの車名は海外では2016年に世界戦略車として、ホンダヴェゼルなどがライバルとなるコンパクトとして復活。
現行キックスはスタイリッシュで堅実な仕上がりなので、e-POWERを搭載して日本でも販売すれば、柱となるクルマが少ない日産の国内販売における新たな柱となりそうな有望株だ。
レビンの名も現役! トヨタの海外現役車
■トヨタ レビン
日本では1972年にカローラレビンの名で、スプリンタートレノともにカローラファミリーにおけるスポーツモデルを中心とした2ドア車として初代モデルが登場。
レビン&トレノとしては1983年に登場した伝説的なAE86を含む4代目モデルまでがFR、5代目以降はFFに移行し、それぞれノーマル状態では手軽な2ドア車として、チューニングを加えるとボーイズレーサー、幅広いジャンルのモータースポーツで活躍した。
レビン&トレノは、2000年に当時のセリカと統合される形で7代目モデルを最後に絶版となった。しかし、レビンは2014年に中国の一汽トヨタで販売されるカローラに対する広州トヨタで販売される兄弟車として復活。
カローラとレビンは、日本ではオーリスや現在のカローラスポーツが相当する3ナンバーボディとなる世界的に見れば標準的なカローラだ。
中国で販売されるレビンは4ドアセダンで、2018年秋の広州モーターショーでTNGA-Cプラットホームを使う最新型に移行しており、1.2L4気筒ターボ、1.8Lのハイブリッドとプラグインハイブリッドというバリエーションを持つ。
■トヨタ ハイランダー(クルーガー)
現在のレクサス RXが日本でハリアーの車名で販売されていた2000年に登場したクルーガーは、海外ではハイランダーの車名を使い、ラグジュアリーなハリアーに対し3列シートを持つなど実用的でオーソドックスなキャラクターを持つラージSUVだった。
3.3L・V6エンジンを使うハイパワーな2モーターハイブリッドも設定していたが、日本では価格もそう変わらないハリアーが好まれたこともあり、残念ながら2007年にヴァンガードを後継車にする形で絶版となってしまった。
だが、海外では実用的なSUVは売れ筋モデルであることもあり、ハイランダーは安定した人気をキープし、2007年登場の2代目、2013年登場の3代目を経て今年4月のニューヨークモーターショーで4代目モデルに移行。
4代目モデルは、カムリなどと同じTNGA-Kプラットホームを使う現行RAV4をストレッチして3列シートにしたようなモデルで、4代目モデルも人気車となるのは確実だろう。
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