車両価格は高いがリセール抜群
ハイエースを扱うトヨペット店では「クリーンディーゼルターボを選べることも、ハイエースが選ばれる大きな理由」という。
アルファード&ヴェルファイアにもハイブリッドが用意されるが、ハイエースのディーゼルは、最高出力が151馬力(3600回転)、最大トルクは30.6kgm(1000~3400回転)で、実用回転域の駆動力が高い。
このエンジン特性は、重い荷物を積んで走る使い方に合っている。国産ミニバンでクリーンディーゼルターボを選べるのは、三菱デリカD:5だけなので、ディーゼルが欲しいユーザーにはハイエースが魅力的な選択肢になる。
価格は4ナンバーサイズのスーパーGL/クリーンディーゼルターボ搭載車が356万2920円だ(2Lのガソリンは297万4320円)。
このスーパーGLのディーゼルに、LEDヘッドランプ(6万4800円)、アルミホイール(6万4800円)、スライドドアの両側電動機能(9万5040円)、スマートエントリー&スタート(3万1320円)を加えると、総額で381万8880円になる。
この価格は、アルファードに2.5Lのノーマルガソリンエンジンを搭載したS(375万7320円/7人乗り)に近い。価格が意外に高く思えるが、広い空間が欲しいユーザーにとっては選ぶメリットが大きい。
そして人気車とあって、価格が高いものの、数年後に売却する時は好条件だ。
トヨペット店によると、「商用車は使い方が粗いから、高く売れない場合も多い。しかしハイエースは5年後でも、新車価格の60%前後で売却できることがある。また20万kmを走った10年落ちの車両でも、買い取りの対象になる。ハイエースは海外で人気が高く、中古車輸出も活発だ。さらに日本国内でも欲しいユーザーが多いため、需要が流通台数を上まわり、高値で取り引きされている」と説明した。
確かにハイエースの中古車価格は高い。初度登録されてから15~20年を経過する20万km前後を走った車両も、60万~70万円で販売されている。一般的な5年落ちで、走行距離が10万km以下の車両になると、中古車価格は200~230万円だ。
キャラバンでなくハイエースを選ぶ理由
ハイエースは前述のように登録台数も多く、ライバル車となる日産キャラバンの約2倍売れている。ここまでハイエースが人気を高めた理由は、長年の積み重ねだ。
ちなみにキャラバンは、2001年に発売された先代型の4代目からはボディ剛性を高めたが、1~3代目までは緩いところがあった。
30年ほど前には、キャンピングカーを手掛けるメーカーなどから、「キャラバンは後輪の片側だけ段差に乗り上げて駐車すると、ボディが捩れてスライドドアが開閉できなくなったりする。平坦路をしばらく走れば元に戻るが、これでは使いにくい。その点でハイエースは捩れにくく、気兼ねなく荷物を積んだり架装できる」という声が聞かれた。
この問題点は、商用車を使うそれぞれの業界で話題になった。「バンを選ぶならハイエース」という評判が立ち、販売面でリードした。
日産ではキャラバンの弱さを問題視して、先代型と現行型では対策が施された。それでもビジネスで使う商用車の場合、一度購入すれば、よほど大きな不満が生じない限り同じ車種を乗り続ける。車種を変更すれば、使い勝手も変わり、仕事のペースを乱されるからだ。
要は職人さんの使う道具と同じだから、ユーザーは正常的な進化は求めるが、メリットの乏しい「変化」は敬遠する。だからハイエースからキャラバンに乗り替えることはほとんどない。
このほかハイエースはトヨペット店、レジアスエースはネッツトヨタ店の専売車種として、大切に売られている。日産の全店が扱うキャラバンに比べると、販売力も強く、根強い人気に結び付いた。
以上のようにハイエースは、現行モデルの商品力、歴代モデルの信頼性、海外の需要も含めた中古車市場における高人気、さらにディーラーの販売力まで含め、いろいろな要素の相乗効果で好調に売れている。
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気になるのが次期型の情報。新型ハイエースは、ベストかーWebがつかんでいる情報では2019年中にデビューする可能性が高い。
現行同様に4ナンバーを踏襲するが、安全性を高めるために乗用ミニバン同様に短いノーズを備えたタイプになるというのが有力。
ガソリンエンジンは現行の2Lを引き継ぐが、ディーゼルエンジンは現行の2.8Lからダウンサイジングされた2.4Lディーゼルになる可能性が高い。
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