新型スープラ なぜ納車待ち1年で販売混乱?? 「売り方」は正しかったのか

プレミアは付く? スープラの売り方はトヨタに珍しい失敗!?

マットストームグレーメタリックのスープラ「RZ」。本年度生産分は24台

 読者諸兄はこの販売方法をどのように受け取られるだろうか。利用規約は、契約の考え方に基づけばまさにその通りで、車を最終的に購入する時には同様の内容を承諾する。

 ただし、これはあくまでもスープラ「RZ」のマットストームグレーメタリック塗装車を購入する一番最初の段階だ。この時から商談を行う権利だとか、利用規約とか、もっと楽しくリラックスできないものだろうか。

 少なくとも抽選で商談を行う権利を与える方法はダメだ。

 スープラを何かのキャンペーンにより無料進呈するなら抽選もわかるが、相手はRZ(690万円)+マットストームグレーメタリックの特別塗装色(32万円)=722万円を負担して購入するお客様だ。抽選で選別するのは失礼すぎる。

トヨタ公式HPのスクリーンショット。2019年6月現在「抽選販売は終了しました。(次回 販売時期は未定)」と記されている

 なお、生産規模が限られる直接の理由は、スープラがオーストリアのマグナ・シュタイヤー社のグラーツ工場で製造されるためだ。

 開発者は「製造精度の高い工場で、いろいろな要求に応じてくれる。そのためにBMW Z4を含めて、さまざまなメーカーから委託を受けているが、生産規模が限られる」という。

 しかし、これはメーカー側のいわば裏話で、ユーザーには一切関係のないことだ。

 トヨタ車の良さは、日本のどの地域に住んでいるユーザーでも、優れた商品とサービスを適正な価格で誰でも公平に得られることにある。このトヨタ車の魅力が、スープラからは欠落している。

 ましてプレミア価格で取り引きされることにでもなれば(そこまでの付加価値はないと思うが)、自動車市場の安定まで乱してしまう。

 納期が伸びたり、プレミア価格が付くのを有り難がる傾向も見られるが、メーカーとしては恥ずべきことだ。生産が未熟な結果、そうなるに過ぎないからだ。

 スープラは各グレードにそれぞれ違った個性があり、優れたスポーツカーだが、売り方については失敗している。トヨタとしては珍しいことだ。

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