大半の人は踏み足りない!? 急ブレーキに必要な「力」と正しい踏み方とは

なぜ強く踏めない? 急ブレーキに必要な力と正しい掛け方

ブレーキを「踏む」ことは日常的に経験していても、写真のようにノーズダイブするほどブレーキを「強く踏む」機会はなかなかない。緊急時にはその「踏み方」が安全を大きく左右する

 さて、話を戻そう。我々が普段運転する車にはブレーキサーボが付いている。ほんとうは力強く踏まなくてもABSが作動する限界点までブレーキを使い切ることができるはず。おそらく40kgレベルだろう。

 だが、そこまで踏み込める人は稀だ。ほとんどのドライバーがABSが作動する限界点まで踏み込むことができない。

 原因として考えられるのは、まずドライビングポジション。ブレーキを踏み込んだ時に右足(左足ブレーキの人は左足)が伸び切ってしまい力が伝わらないのだ。

 踏み込む力も大切だが、踏み込みストロークも考慮しなくてはならない。現在のブレーキにはストロークがあるからだ。これらはシートポジションを前に移動することで解決する。

 特に高齢者は体幹筋が衰えているにも関わらず、若い頃のイメージのままのドラポジの場合が多く、しっかりと踏み込めない人が多い。

 また、お尻をシートの奥にまでしっかりと固定して骨盤を立て股関節をサポートしないと、素早くアクセルからブレーキに踏み替えることができず、また踏み込んでも力が逃げてしまう。

 正しい急ブレーキのかけ方とは、アクセルから素早くブレーキペダルに足を乗せ替え、力いっぱいブレーキペダルを蹴飛ばすように踏み込むことだ。

経験なくして急ブレーキは掛けられない

 多くの場合、自動車教習所ではこのような教習を行っていないので、ほとんどのドライバーがABS作動まで踏み込めないのも無理はない。

 自動車を運転することはスポーツである、と筆者は考えているから、練習なしでABSが作動するほどの急ブレーキを踏めるはずがない。

 だから、普段から急ブレーキの練習をしてほしい。といっても走っているときに練習しては追突され事故になる。止まっているときに行うのだ。

 出来ればエンジンを掛けてブレーキサーボが効く状態で、安全な場所に車を止めて(自宅駐車場など)前述したアクセルからブレーキペダルに素早く乗せ替え力いっぱい踏み込むのだ。この動作を身体に覚え込ませる。

 経験なくして急ブレーキが踏めるはずもなく、練習なくして上手くはならない。自身と他人を傷つけないためにも、1トン以上もの物体を転がしている責任を自覚しよう。

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