都市部を中心に急速に設置が進むLED信号機。出始めたのは最近のような気がするけれど、日本で初めてLED信号機が設置されたのは1994年、つまり30年も前のことだったのだ。初めて設置されたのは愛知県、引き続いて徳島県内に設置されたのだった。そんなLED信号機だが、全国規模で見ると意外と普及率が高い県と、逆に普及の進んでいない県があることがわかった。その最新事情を調べてみた。
文・写真/梅木智晴(ベストカー編集委員)
東京都ではすべての信号機がLED化されていた!!
都内でクルマに乗る生活をしていると、ある時から圧倒的にLED信号機が増えてきたなぁ……と感じていた。調べてみると、2019年時点で東京都内の交通信号機は車両用9万9137灯、歩行者用8万2100灯、合計18万1237灯のすべてがLED化されていたのでありました。そう、東京の信号機は100%LEDなのだった。
警察庁のデータによると、2023年3月時点で全国に設置される交通信号機は車両用が126万5493灯、歩行者用が104万1671灯となっている。このうちLED化されているのは車両用が90万1308灯で約71.2%、歩行者用が69万0234灯で約66.3%だという。
旭川の信号機はほとんどが電球式でLEDは少数派
ことの発端は取材で訪れた北海道旭川市の信号機を見て感じた疑問だった。北海道に限らず、雪国では縦型信号機が多いことは知られているが、たしかに旭川市内の信号機は見渡す限り縦型。たまに横型を見ると「珍しい!」と感じるほど。横型よりも着雪に強いとされるが、青森や秋田、新潟県などでも縦型が主流派と言うことを考えると、その実績があるのだろう。反対に都内をはじめとした首都圏、東海エリアなどは横型が主流派だ。
話がずれてしまったが、旭川市内の縦型信号機、そのほとんどが従来型の電球式なのだ。旭川駅前から2条、3条、4条……と、繁華街が広がりクルマ通りも人通りも多い中心部でもほとんどが電球式。街中をウロウロ散歩して回ったのだが、LED信号機は3~4箇所しか確認できなかった。あくまでも印象に過ぎないけど、見渡した限りLED率は1~2%という感じ。極めて少数派なのだ。
ここで警察庁のデータを再度見てみる。2023年3月末時点のデータだ。
北海道内の信号機は車両用が6万2692灯、歩行者用が6万3118灯で合わせて12万5810灯あるのだが、そのうちLED信号機は車両用が2万0596灯で32.9%、歩行者用が2万0609灯で32.7%。これはいずれも全国最下位で、全国合計から見てもかなり低いLED化率だということがわかる数字だ。
南高北低傾向なのか!? LED信号の普及率は全国格差が激しい
ここでちょっとした仮説が頭をよぎる。LEDは電球と異なり発熱が小さい。消費電力が電球式の6分の1程度と省エネなメリットの半面、降雪地域では信号機に付着した雪が融けず視認性を阻害するため、降雪地域ではLED普及率が低いのではないか?
ところが青森県は車両用=67.6%、歩行者用=70.5%、秋田県は車両用=79.1%、歩行者用=68.3%で、政令指定都市横浜市や川崎市を擁する神奈川県の車両用=65.6%、歩行者用=59.4%よりも断然高普及率。一方で雪のイメージのない静岡県は車両用=51.3%、歩行者用=44.9%、広島県は車両用=46.7%、歩行者用=34.3%で青森や秋田よりも圧倒的に低普及率だということがわかり、先の仮説を立証することはかなわなかった。必ずしも降雪地域のLED普及率が低いということではないのだ。
初期のLED信号機では着雪による視認性が問題視されたのは事実だが、カバーを付けたり、信号機の灯火部分をやや下に傾けて設置するなどの工夫により、着雪問題は解決されているという。やはり都道府県の予算がLED信号機の普及率に大きく影響するということなのか?
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