【黒船来航!! 衝突軽減ブレーキ国際基準決定!!】日本車はいつから全車義務付けか!??

各自動車メーカーのAEBSに対する取り組み、搭載状況

ミリ波レーダーと歩行者を感知できる単眼カメラを併用したアルファード(2018年1月のマイナーチェンジ以降)の第二世代のトヨタセーフティセンス

 続いて、自動車メーカー各社のAEBS(衝突被害軽減ブレーキ)に対する取り組みをおさらいしておきたい。

 各社さまざまで、サプライヤーからモジュールを購入し、自社のクルマに合わせて特性をチューニングして搭載するところもあれば、何年にも渡って実験を繰り返してデータを蓄積して、独自のブレーキシステムを構築してきたところもある。

 軽自動車ではオプション価格も登録車より安くしなければユーザーに受け入れられないから、AEBSも総じてオプション価格が安価だ。

■トヨタ
 トヨタは「トヨタセーフティセンス」という名前でAEBSを含めた安全装備をパッケージング化しているが、これもミリ波レーダー装置の有無(すなわち夜間や高速域での性能に差が生じる)でセーフティセンスC/セーフティセンスPとグレードを付けている。

 セーフティセンスCの場合、赤外線レーザーセンサーと単眼カメラを組み合せており、標準装備の車種やグレードも増えているがオプション装備の場合は4万円~。セーフティセンスPはミリ波レーダーと単眼カメラの組み合せとなる上級クラス向けの装備で、対象車種は標準装着されている。

 2018年1月にマイナーチェンジされたアルファードから導入された第2世代のトヨタセーフティセンスでは、現在のトヨタセーフティセンスPで採用している「単眼カメラ+ミリ波レーダー」の構成はそのままに、以下の進化により、事故の防止や交通事故死傷者の更なる低減とドライバーの負荷軽減を目指している。

・カメラ、レーダーの性能向上等により、検知対象を拡大し、機能を向上
・高度運転支援機能・レーントレーシングアシスト(LTA)を採用
・ユニットを小型化し、搭載性を向上

 この第二世代のトヨタセーフティセンスは2018年から発売される新型車から順次導入されていく。

■スズキ
 スズキのレーダーブレーキサポートは、2万1600円という安さで以前は選ぶユーザーが多かった装備だが、赤外線レーザーにより前走車との速度差を検知するだけで、その速度域も15km/h以下(前走車との速度差)でのみ衝突を回避できる、というもので、渋滞時のわき見運転程度でしか役には立たないものだ(現在はアルトバンのみにオプション装備)。

 レーダーブレーキサポート2はミリ波レーダーを使ったものだが、こちらはSX-4、バレーノだけに設定されている。

 スズキではステレオカメラのデュアルカメラブレーキサポートを搭載している車種もあり、こちらは対応速度と実際の性能が大幅に向上しているが、オプションでも選べるグレードが限られる。

 例えばハスラーの場合、全方位モニター用カメラパッケージとして4万9680円のオプションだが、選べるのは最上級グレードとなるJとJターボの他は、特別仕様車のワンダラー、タフワイルドだけだ。

 車種によっては単眼カメラと赤外線レーザーセンサーと組み合せたデュアルセンサーブレーキサポートも用意している。

 こちらのほうが確実に信頼性は高まるが、全方位モニター用カメラパッケージというセットオプションで選ぶ仕様となっており、スイフトならばで5万4000円だが、車種によって仕様も価格も異なる。

 例えばワゴンRの場合は6万4800円だが、スペーシアギアの場合はHUD(ヘッド・アップ・ディスプレイ)までセットになった8万4240円のセットオプションを選ばなければならなくなる。

■スバル
 スバルのアイサイトは自動ブレーキの認知度を高めてきたヒット商品で、ステレオカメラだけで高い性能を発揮するが、カメラの場合は作動条件が天候に大きく左右されやすい。

 少し前ならアイサイトは10万円のオプションで、それでも安いと装着するユーザーが8割以上に達したものだが、それだけに標準装備化が進み、現在はOEMの軽自動車などを除き、全車に標準装備されている。

■日産
 日産はプロドライブをモノラルカメラだけで実現したように、カメラ性能を極限まで活用する術には長けているが、AEBSとしての性能は車種によって差が生じている。

 それでもインテリジェント エマージェンシーブレーキは標準装備化されており、軽自動車のデイズでは全車標準化されているのは評価できるだろう。

■マツダ
 マツダはiアクティブセンスというトータルパッケージで装備しているが、SCBS(スマート・シティ・ブレーキ・サポート)とSBS(スマート・ブレーキ・サポート)という2段階のAEBSが働く仕組みで、乗用車は全車標準装備となっている。

■ホンダ
 ホンダはミリ波レーダーと単眼カメラのホンダセンシングを標準装備したクルマが大半を占めている。

 同グレードでホンダセンシングを非搭載、いわゆるレスオプションの価格を見ると7万円安くなっているので、ホンダセンシング自体の実質的な価格は8万~10万円前後といったところだろう。

 ただし、まだ一部の軽自動車、シビックなどは赤外線レーザーだけで30km/h以下の低速域のみ作動するシティブレーキアクティブシステムを搭載している。

 こちらはサイドエアバッグなどとのセットオプション「あんしんパッケージ」が6万1560円(N-ONEの場合)となっている。

■ダイハツ
 ダイハツはスマートアシスト、通称スマアシと呼ばれる安全装備を搭載している。現在はステレオカメラによるセンシングの次世代スマートアシストと、ステレオカメラと超音波センサーによって検知するスマアシ3との2種類となっており、一定以上のグレードには標準装備となっている。こちらは対車両に対しては充分な被害軽減効果を発揮するようだ。

 新型タントには進化した予防安全機能の次世代スマートアシストを装備。予防安全機能であるスマートアシストに運転支援機能「スマートアシストプラス」が加わり、全15の機能を用意 。「スマートアシスト」は非装着車を除き全車標準で、標識認識機能(進入禁止)は「L」系グレードが非装着。全車速追従機能付ACCとスマートパノラマパーキングアシスト(駐車支援システム)は「スマートアシスト」非装着車と「L」系を除きパックオプション
新型タントには進化した予防安全機能の次世代スマートアシストを装備。予防安全機能であるスマートアシストに運転支援機能「スマートアシストプラス」が加わり、全15の機能を用意 。「スマートアシスト」は非装着車を除き全車標準で、標識認識機能(進入禁止)は「L」系グレードが非装着。全車速追従機能付ACCとスマートパノラマパーキングアシスト(駐車支援システム)は「スマートアシスト」非装着車と「L」系を除きパックオプション

■三菱
 三菱は、装備できるクルマに関しては標準装備化を進めている。FCMの名でAEBSを展開しているが、実際には車種によってその内容は異なる。

 OEMも多く、開発や生産するメーカーによってAEBSの仕様も変わってくるからだ。ekワゴンやekクロスは日産デイズと共通だ。

 エクリプスクロスなどはカメラと赤外線レーザー、ミリ波レーダー(ACC装着車のみ)で歩行者まで認識するFCMが標準装備だ。

 輸入車の場合、販売継続車ではまだ非装着の車種もあるが、ドイツ車や北欧車は内容も充実していて、性能も総じて高いものとなっている。

次ページは : AEBS装着義務化によって何がどう変わる?

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