最近の塗装は薄くて耐久性が高い仕様になっている
燃費や衝突安全性、コストダウンのための軽量化と環境保全のための水性化もあって近年、クルマのボディの塗膜は薄くなっている。
それでも表面のクリアー層は強靭なので、長期間ボディカラーのトップコート(中塗り)を守ってくれる。
以前はソリッドカラーはクリアー層のない仕様もあったが、今では水性化もあってほとんどのクルマはクリアー層で表面が仕上げられている。
クルマ趣味のなかでも洗車に凝っている人は少なくないが、毎週末の洗車時にワックスやコーティング剤の度に下地作りにコンパウンドで毎回磨くようなことなどなければ、10年以上は問題なく光沢を維持することができるハズだ。
昔はクリアーの耐久性が低く、メタリック車の塗装が粉を吹いたように真っ白になってしまったこともあった。
最近は20年くらい経過したクルマでは、保管状態が悪いクルマでクリア―が剥がれているクルマを見かけるが、塗装や錆の保証を付けているほど、自動車メーカーも耐久性には気を配っている。
色抜けや塗装が剥がれる信じられないトラブルもある
しかし、数少ない例外として、塗装に関する不具合でメーカーが無償で修理するサービスキャンペーン(またはリコール)を実施することもある。
最近では2018年11月のホンダS660の「カーニバルイエローII」と2019年3月にトヨタがリコールを発表した「ホワイトパールクリスタルシャイン」だ。
まず、S660のカーニバルイエローIIだが、顔料の選定が不適切なため早期に色抜けするという問題に対し、ホンダは特定部分の再塗装を2699台を対象にサービスキャンペーンという形で発表している。
いっぽう、2019年3月にトヨタがリコール(無償修理)を発表したホワイトパールクリスタルシャインの塗装剥がれのトラブル。
これはボディカラーがホワイトパールクリスタルシャインの車両において、塗膜を構成する中塗り塗料の濃度(顔料の量)が低く、中塗りの膜厚が薄くなってしまい、長期間にわたる紫外線や雨水の影響によって、下塗りの電着塗膜と中塗り塗膜の密着性が低下。洗車機など、外的負荷を加えることによって、塗膜が剥がれてしまった。
まるでラッピングフィルムを施工したクルマからフィルムを剥がすように、キレイに剥がれてしまっている画像をネット上で見た方も多いことだろう。筆者もこの問題を聞いた時は、こんなことが今でもあるのかと信じられなかった。
■S660カーニバルイエローII 色抜けのリコール対象車種
平成27年3月11~平成28年8月1日に生産されたもの(2699台)
対策塗料で塗装したフロントフード、エンジンフード、フロント左右フェンダー、リア左右フェンダー、左右ドアパネルと交換し、左右サイドシルを対策塗料で再塗装。
■トヨタ車のホワイトパールクリスタルシャイン塗装剥がれのリコール対象車種
アルファード&ヴェルファイア(平成20年~平成26年12月)
ハイエース&レジアスエース(平成22年7月~平成26年12月)
カローラルミオン(平成23年~平成27年)
iQ(平成20年~平成26年)
オーリス(平成24~平成26年)
ウィッシュ(平成21年~平成26年)
ボディパネルに塗装の剥がれが発生した場合、剥がれた部位を確認し無料修理対応に該当する場合は再塗装(無料)を行う。ボディパネルが対象で、外装部品(パンパー、ドアミラーなど)は対象外。
対象車は従来の保証期間が新車を登録してから3年間か、無料修理対応期間として、新車を登録してから10年以内。ただし、2020年12月末までは10年超過車も保証する。
※年数は型式によって異なるため大まかなものとしています。詳細はトヨタディーラーへお問い合わせください
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