【クルマの塗装にまつわる噂の真相】ボディを磨きすぎると塗装が磨り減るってホントなのか?

プロの磨き屋に聞いた「磨きすぎは塗装が擦り減るのか?」

 プロの磨き屋は細かな磨きキズを研ぎ落とし、鏡面のような塗装面に仕上げてくれるが、それでも必要最小限度の削り代で仕上げるし、毎月のようにコーティングに出すオーナーもいないため、定期的に施工してもらっていてもダメージは少なく、長期間に渡って塗装面を良い状態に保ってもらうことができる。

 そこで、都内のコーティング専門店のAさんに「ボディを磨きすぎると塗装が擦り減るのか」、その真相を聞いてみた。

「一般的に乗用車のボディは亜鉛メッキ鋼板に、下塗り、中塗り、上塗り、クリアー(透明)の4層の塗装が施されています。

 それぞれの膜厚は20~30μm(μmはマイクロメートル。1マイクロメートルは1000分の1mm)で、合計でもせいぜい100μm(0.1mm)です。

 普段、オーナーの方がクルマを磨いているのは、最上層のクリアー層(ソリッド色はないものもある)ですが、その厚さは約30μm(0.03㎜)です。

 一見、非常に薄く感じますが、コンパウンドを用いて磨く場合でも 3μmも磨けば洗車キズ程度の細かなキズは消えて艶が復活します。

 ありがちなのは、水垢を落とす際、そこをゴシゴシと擦ってしまうと、擦った部分の塗装が薄くなり、さらに水垢がつきやすくなります。

 またスポンジで数十回以上、ゴシゴシ擦ってしまった場合も、ポリッシャーで磨く面による磨き作業と違い、点で塗膜を磨く作業になり、新車でも下地が出てくる可能性があります。

 洗車後の拭き傷や線傷、コンパウンドなどで付いた磨き傷がある場合、その傷を消そうとして集中的に同じ部分をコンパウンドで研磨するとクリアー層がなくなることがあるので無理は禁物です。

スポンジで円を描くように強く擦ると線のような傷が塗装面についてしまう。さらに磨くと悪循環、塗装面をさらに痛めることになる
スポンジで円を描くように強く擦ると線のような傷が塗装面についてしまう。さらに磨くと悪循環、塗装面をさらに痛めることになる

 水垢取りやクリーナーは微粒子の研磨剤入りのものがあります。これらでゴシゴシと極端に集中して擦るとクリアー層がそこだけ薄くなります。

 クリアーを吹いていないソリッドカラーはなおさらです。 塗装自体はクリアーに比べると柔らかく弱いので、研磨後は何らかのコーティングを施工するのが鉄則です。

 長くなってしまいましたが、現代においても研磨剤入りの水垢取りやクリーナー、コンパウンドをスポンジなどで集中的に磨くと、塗装を擦り減らしてしまいます。

 過度な磨きすぎは塗装を擦り減らすのです。もし傷んだ塗塗装面を復活させたいなら、プロにお任せしたほうがいいと思います」。

プロの磨き屋さんが使うポリッシャーの間違った使い方でも塗装面を痛めてしまうという
プロの磨き屋さんが使うポリッシャーの間違った使い方でも塗装面を痛めてしまうという

 そのほか、塗装面を磨くための道具、ポリッシャーの間違った使い方でも塗装を痛めるという。

 ポリッシャーには、シングルアクションポリッシャーとギアアクションポリッシャー、ダブルアクションポリッシャーという種類があるが、扱いに不慣れな人が使うと逆に塗装を痛めてしまうことにつながる。

 ダブルアクションポリッシャーは、回転運動に上下運動を合わせ、複合回転してクルマを磨くが、それに対してシングルアクションポリッシャーは、単純に回転運動だけを行うポリッシャーだ。

 ギアアクションポリッシャーは、ダブルアクションポリッシャーとシングルアクションポリッシャーの中間的な存在で、回転トルクを持ちつつ振動偏芯回転で磨き目を拡散させる。

  研磨力は、シングルアクション>ギアアクション>ダブルアクションで、シングルアクションは研磨力はあるが、削りすぎて逆に塗装面を傷める可能性がある。

 もしポリッシャーを買ってボディを磨きたい方は、ダブルアクションタイプのポリッシャーがおススメだ。

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