■蜃気楼のようなニュータウン「テクノポリス」とは?
播磨道は、山陽道の播磨JCTと中国道の宍粟(しそう)JCTを結ぶ24.2kmの路線。鳥取道とともに、山陽と山陰を結ぶ目的で計画され、約2年前に全線完成した。
ただし、2003年の播磨JCT-播磨新宮IC(12.8km)の部分開通時の目的は違った。山中に建設された「播磨科学公園都市」というニュータウンへのアクセスのため、先行して開通したのである。
私は2003年の部分開通直後、交通量の少ないムダな高速道路取材の一環で、ここを訪れている。
播磨科学公園都市、通称「テクノポリス」。それは山の中の蜃気楼のようなニュータウンだ。理化学研究所の大型放射光施設「スプリング8」などの研究機関がいくつか立地するものの、街にはほとんど人影がない。わざわざ山を越えて高速道路を引っ張ってきたのは、政治的な思惑以外に考えられなかった。
あれから約20年。未開通区間がついに開通し、山陽と山陰を結ぶという本来の目的が達成できたので、遅まきながら再訪問してみた。
播磨JCTで山陽道から播磨道へ入って10分、播磨新宮ICを降りて約3分。テクノポリスの中央(?)に位置する「テクノ中央」交差点周辺は、20年前と何も変わっていなかった。
なにしろテクノポリスのテクノ中央だ。YMOの名曲『テクノポリス』が発売されたのは1979年。それから45年の歳月が流れた今、兵庫県の山奥についにテクノポリスが降臨! したわけではなく、YMO全盛期の80年代から計画が始まり、1997年にオープン。磯崎新、安藤忠雄など、有名建築家設計のポストモダン建築が多数存在する。
ポストモダン建築とは、合理的すぎるモダン建築のアンチテーゼとして、あえてムダを取り入れたデザインのこと。磯崎新設計の集合住宅『サンライフ光都』の建物中央には大きな四角い風穴が開いているが、これが「人間に必要不可欠なムダ」なのである。
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