カーライフとマイナンバーで便利になるの? いやいや結構不安かも

来年1月からの利用範囲がこちら

 現時点ではまだマイナンバー制度は稼働してなくて、各家庭に『通知カード』を郵送している段階だが、この利用がスタートするのは年明けの1月1日から。それが始まれば我々も身分証明書として広く利用することができる。

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様々な行政機関に紐づけされているマイナンバー

 そして肝心かなめの利用範囲は、当面右の表のようなものになる。メインは『社会保障分野』、『税分野』、『災害対策分野』の3つだ。具体的には表内を見て欲しいけど、運用が始まれば年金や福祉などでは申請書類が減るので行政手続きが素早くできるようになり、年金などの社会保障の領域でも未払いや不正受給を大幅に減少できるようになる。

 そして国としては適正・公平な課税ができるようになるという点もマイナンバーの重要なポイント。

 最近巷では、マイナンバー制度の導入で、「夜のアルバイトを内緒でしている女性は辛いよね〜!」といわれているが、彼女たちのバイトで得たお金もこの制度の導入でバレバレになり税から逃れられないというワケだ。

 そしてマイナンバーがそんなに便利なものなら、もっと他のことにも利用すればいいじゃん、というのがここからのお話し。

 まず、来年1月からは表で紹介した分野で運用が始まるが、’18年〜’19年には民間事業者を含めての利用範囲拡大が見込まれている。そのための検討会が各省庁ですでに始まっている。

  • 利用範囲拡大例としては、
  • ①個人番号カードに運転免許証、健康保健証、キャッシュカード、クレジットカードの機能を付ける。
  • ②医療サービスとリンクさせて検査の重複を避け医療費を抑制する。
  • ③銀行預金口座とリンクさせて、税務署が資産を把握しやすくする。
  • などなどが考えられている。

 エッ、なに? 税務署が個人の資産を把握しやすくする?

 余計なことをするんじゃね〜よ! と、お金持ちにとってはあまりうれしくない利用法も考えられているというわけだ(これがマイナンバー本来の目的かも?)。そして我々がよく知るクルマ分野でもさまざまな利用方法が考えられている。

クルマがらみのデータは膨大な量で高く売れる!?

 現在国交省の自動車局では部会が設けられマイナンバーの’18年の導入を目指して検討が重ねられている状況だが、昨年6月、直接マイナンバーに関わる話としてじゃなく、自動車関連情報の活用法として中間報告が発表されている。それによると次のようなことが検討されている。

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自動車保有関連手続きが楽になるかもしれない??
  • 〈自動車関連情報の活用〉
  • ・自動車の製造から販売、運転、修理、整備、排気に至るまでに得られる多様な情報をクルマごとに一覧でき、活用することができないか仕組みを考える。
  • ・公的な目的達成に役立つ自動車関連情報を蓄積、活用できる仕組みが考えられないか。
  • 〈関連手続き利用環境の向上〉
  • ・ワンストップサービスを全国に広め、移転、変更、抹消登録などの中間登録や継続検査にまで広げることができないか。
  • ・軽自動車もワンストップサービスの対象にできないか。
  • ・マイナンバーを自動車関連手続きについても活用できないか。
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 ということで、マイナンバーに関しては最後に触れられているだけだが、実際問題、情報化が進む現代は、さまざまな情報がデジタルデータとして蓄積されている。最も知られているのは車検の時などに利用される自動車登録検査情報処理システム/MOTASだろう(全国93カ所に設置、すべてがリンクされている)。

 これは保有車両の情報/使用者や所有者情報、ボディ重量など諸元情報、環境性能情報、税に関する情報、盗難・違反情報、リコール情報などだ。これはすでにコインパーキング会社や自動車ディーラー、リース会社に情報が提供されている。

 そして自動車メーカーが持っている情報もある。これは自社で販売したクルマの使用情報だ。

 具体的にはOBD2ポートから得られる故障診断情報や、事故発生時におけるエアバッグ等の作動情報(加速度、スピード、運転手の操作、シートベルトの着用の有無も含む。国産の新車には標準装備)。そしてテレマティックサービスを利用しているユーザーからは、自車が走る位置や速度、行動範囲などがデータセンターへ送られている。これらはビッグデータとして企業にも販売されている。

 事実トヨタは、自社車両のプローブ情報を収集加工して、交通情報や統計データとして、各自治体や企業に提供しているし、損保ジャパンもリーフを対象に情報を収集加工して料金設定に使用している。とまぁ、我々が普段なにげな〜く乗っているクルマからもビックリするようないろいろな情報が発信されているわけだ。で、これらがマイナンバーと結びつくとどうなるか?

いろいろなシナリオが考えられるのです!

 ここからは仮定の話になるけど、けっこう恐ろしい世界も見えてくる。例えば固有の車両情報とクルマの税情報が結びつくと、現行13年以上の車歴のクルマは自動車税が高くなるのはご存じのとおりだが、これが車歴ではなく走行距離を見て、課税されることも考えられる。

 「新車買って5年目だけど、もう15万キロ走っちゃった」なんて人は、即課税だ〜!

 あるいは渋滞ばかり走っていてアイドリングストップもついていないクルマに乗っているユーザーに対して、排ガス出し過ぎだから課税するということになるかもしれない。さらに進めば、乱暴な運転をするユーザーには、保険料が一気に高くなるなんてことも起こりえるし、事故歴の多い人は自動車ローンが組めないなんてことも考えられるだろう。

 最悪、警察庁が持っている交通違反データとマイナンバーが結びつくと、違反点数の多い人は、スポーツカーはダメ! スピードの出ない低パワーのクルマしか売ってもらえない、なんてことになるかも。

 いずれにしてもここまで最悪な事態にはならないとしても、来年から始まるマイナンバー制度は注視が必要。読者のみなさん備えましょう。もちろん、新車を買ったときのいろんな手続きが簡単になるというメリットもありますが……。

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