ついに日産キューブが2019年12月で生産終了、モデル廃止というニュースが飛び込んできた。
一時代を築いた人気モデルではあったが、もはや潮時だったのだろう。このキューブのように、これまで何台もの日産の名車(迷車)が、絶版となってきた。
今回は、そうしたクルマ達に目を向け、途絶えた理由と、復活の可能性について、元日産開発エンジニアの筆者が考察する。
文/吉川賢一
写真/NISSAN
熱意不足では復活できない180SX
■どうして絶版に?
180SXは、シルビア(S13型)の姉妹車として1989年にデビューした。
シルビアが2ドアクーペ&固定ライトであるのに対し、180SXはファストバックの3ドアハッチバッククーペ&リトラクタブルヘッドライトが特徴的だった。海外向けモデルとして存在していた240SXの日本仕様が180SXという位置付けでもあった。
発売当初、1809ccだったエンジンは、1991年に行われたシルビアのマイナーチェンジに伴い、1998ccとなった。この「SR20DET型」エンジンは、直列4気筒DOHCターボチャージャー付、最高出力は205psを誇っていた。
また1996年8月のビッグマイナーチェンジでは、スカイライン風の丸型リアコンビネーションランプへの意匠チェンジとともに、「SR20DE型」 直列4気筒DOHC(最高出力140ps)を搭載するタイプSも設定された。
しかしながら、デビューから9年が経った1998年12月、S15シルビアに統合される形で生産終了となった。
■復活の可能性は?
復活してほしいものだが、フェアレディZですら存続が怪しい状況。180SX復活は残念ながら可能性はゼロに近い。
トヨタ86が出た当初は、日産内でも「小型FR」案が立ち上がったようだが、おそらく日産は、「ビジネスにならない」と、冷静に判断してしまったのだろう。
こうした小型スポーツカー開発は、メーカーに「スポーツカーに対する熱意」がないと難しいのが現実なのだ。
ステージア絶版の背景にSUV人気
■どうして絶版に?
1990年代、クロカン人気と同時にやって来たのがステーションワゴンブームだった。
レガシィツーリングワゴンを筆頭に、カルディナ、アベニール、アコードワゴンといったミドルクラスのステーションワゴンが人気で、ハイパワーな国産Lクラスステーションワゴンはほぼなかった。そんななか、1996年に登場したのが日産ステージア(WC34)だ。
初代ステージアはローレル/スカイラインのシャーシを採用し、駆動方式はFRもしくは4WD。サスペンションもスカイラインと同じマルチリンク形式を採用するなど、まさに「スカイラインワゴン」といった様相だった。
エンジンは直列6気筒エンジンが3種類用意され、1997年には、オーテックジャパンからR33型スカイラインGT-RのRB26DETTエンジン(280ps)やドライブトレイン、リアサスペンションを流用した「260RS」が登場、超快速ステーションワゴンとして人気となった。
2001年、M35型へとフルモデルチェンジ。V35型スカイラインと同様にFMプラットフォームを採用したが、海外を見ていたスカイラインとは異なり、ステージアは国内専売としていた。エンジンはV型6気筒のVQ型エンジンへと移行、高級ステーションワゴンのコンセプトを継続した。
2003年には特別仕様車「アクシス350S」が登場、VQ35DE型エンジン(280ps)が搭載され、ミッションには6速MTと、これもまたマニア心をくすぐる1台だった。
しかし、押し寄せるSUV人気には打ち勝てず、2007年にひっそりと隠れるようにモデル消滅となった。
■復活の可能性は?
可能性はゼロではない。素敵な商品企画が出れば、すぐにでも開発されるだろう。昨今のSUV人気はピークを迎えつつあるように感じる。今ならば、逆にステーションワゴンが、マーケットで目新しく映る可能性はある。
BMWやベンツ、アウディといった輸入ステーションワゴンに対し、圧倒的に安いか、はたまた、ものすごく尖がっているか、こうしたウリとなるセールスポイントが見いだせれば、復活の可能性はあるだろう。
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