「手で引く」タイプ なぜ衰退?? レバー式サイドブレーキが激減した訳

「手で引く」タイプ なぜ衰退?? レバー式サイドブレーキが激減した訳

 車を停め、レバーを引きサイドブレーキをかける。ごく普通の行為が当たり前でなくなりつつある。

 2019年に入って軽自動車にも採用車種が登場するなど、ここ数年、ボタンで操作する電動パーキングブレーキが急増中。それに伴って、最もオーソドックなレバー式のパーキングブレーキが急速に減少している。

 なぜ、手で引くタイプのレバー式パーキングブレーキは減っているのか? 電動パーキングブレーキとの比較やメリット・デメリットと合わせて解説したい。

文:永田恵一
写真:HONDA、編集部、TOYOTA

【画像ギャラリー】少数ながら健在! レバー式サイドブレーキを採用する主な車種


「レバー式」はいつから減少? パーキングブレーキの変遷

現在、多くの車種に採用されるようになった電動パーキングブレーキは、モーターを用いてボタン操作のみでブレーキを作動/解除させる仕組み

 1980年代に入るまで、パーキングブレーキの操作方法は、コラムシフトやベンチシートの車であれば、スペースの関係で手前に引いて作動、90度回転させると解除できるステッキ式(現在はハイエースやN-VANのMT車が採用)か、レバー式の二択だった。

 1980年代に入ると、当時の高額車からATが増え始め、「AT車ならクラッチペダルのスペースが空く」、「レバー式より省スペース」、「手より力の強い足の方が確実にパーキングブレーキを作動できる」といったメリットがある足踏み式パーキングブレーキが登場。

 “踏んで作動し、踏んで解除させる”足踏み式パーキングブレーキは、1990年代後半に入りミニバンやミニバン的なコンセプトを持つ乗用車が増え始めたことで一気に普及した。

 電動パーキングブレーキは、日本車では2006年登場のレクサス LSの先代モデルで登場。同車の登場後なかなか普及しなかったが、2009年登場の先代レガシィ、2010年登場の先代リーフなどが採用。

 2014年あたりから採用例が増え始め、現在に至る。

メーカーの見解は? 電動パーキングブレーキが普及した理由

マツダは写真のロードスターと安価なコンパクトカー、マツダ2を除き、全ての主要モデルで電動パーキングブレーキを採用している

 電動パーキングブレーキが普及してきた理由としては以下の4つがあげられるだろう。

・ボタン操作だけなので、操作が楽。

・先行車追従型のアダプティブクルーズコントロール(ACC)の普及/停止まで対応するタイプも当たり前になり、停止後ブレーキを掛け続ける「ブレーキホールド機能」が必須となったため

(メーカーによっては「非電動パーキングブレーキ車のACCはATでも停止まで対応しない」というものもある)

・緊急停止機能として使える可能性がある/ボタンの位置にもよるが、突発的な疾病による暴走が起きた際に同乗者がいれば、アクセルが戻り緊急ブレーキが掛かるなど緊急停止機能として使える可能性がある

・足踏み式のパーキングブレーキ以上に省スペース/浮いたスペースを収納などに有効に使える、インテリアがスッキリとする

 ではメーカーの見解はどうか? 電動パーキングブレーキが増えている理由を、現在自社製の車種ではスポーツカーのロードスターとマツダ2以外全車に電動パーキングブレーキを採用するマツダに聞いてみると、

「先進安全技術の観点(電動パーキングブレーキとACCとの連携)から必要であることと、デザイン性、利便性、センターコンソールの自由度が上がることなどが理由です」との回答だった。

 デメリットとしては、大きなものは生産時、修理の際ともにコストが高いことと、車種によって操作方法が異なりややわかりにくいといった程度。

 コストに関しても採用例が増え、量産効果によるコストダウンも進んでいることで、普及につながっているのだろう。

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