運転には自信があるという方も、そうでないという方も、改めて“クルマを動かす”ということに意識を向けてみてはどうだろうか。
本項では、国沢光宏氏に弟子入りした経験がある永田氏が、厳しく指導された過去の経験を振り返りつつ、運転のスキルアップについてレポートする。
文:永田恵一
ベストカープラス2016年2月18日
「シャドウピッチング」ならぬ「シャドウドライビング」のススメ
運転にかぎらず、体を使うスポーツはなんでもそうだと思いますが、形やフォームが重要です。そういった意味で私がたまにやるのは、野球の素振りやシャドウピッチングならぬ「シャドウドライビング」であります。
具体的には、椅子に座って走ったことのあるサーキットを乗ったことのあるクルマで走るシーンをイメージしながら、自分が思う理想的なハンドル操作、ペダル操作、シフト操作をクルマなしで実践します。
そのため、ステアリング操作をより実車に近づけるためにハンドルがあるとなおいいです。「そんなこと……」と思うかもしれませんが、これだけでもやっておくと、実際にサーキットに行った時に、少しは理想に近い運転に近づくものです。
そのイメージを作る、あるいは走ったことのないサーキットのイメージ作りに非常に役に立つのが、ドライビングのDVDです。
ベストモータリングやホットバージョン、さらにはベストカーでもおなじみ大井貴之先生製作のREVスピードに毎月ついてくるDVDなどをよく利用します。
こういったDVDにはプロドライバーの模範的な走りに加え、失敗例も収録されていますから、すべきことに加えやってはいけないことという意味でも非常に参考になります。
同じようなこととして、最近ではYouTubeの活用があります。スポーツ系のクルマであれば、車名とサーキット名とで検索すれば、かなりの動画を見つけることができます。
自分が想定するのクルマでの走りに近い車載映像が出てくることも多いです。走り方やギアの選択、ターゲットタイムなど参考になる情報を得られるでしょう。
また、クルマがなくてもできるということとは少し離れますが、日常でふつうにクルマに乗っている時に「ちょっと意識を高める」だけでもうまい運転、速い運転につながる練習もできます。
例えばステアリングワークです。ステアリングワークは好みもあるでしょうから、切り方は“押し”でも“引き”でもかまいませんが、切り方をハンドルの戻しも含めてふだんから意識して行うと、スムーズな運転につながるものです。
ちなみに、なぜか意外にやっている人が多い内がけハンドルは絶対にNGです!
それからスムーズな運転をするために、ふだんから「走る=加速」、「曲がる、止まる際の荷重コントロール」は意識しておきたいものです。大きなGを急激に、ではなく緩やかに出すのです。
信号で止まる際のブレーキであれば、まずジワっとブレーキを踏み、徐々に減速Gを高めながら一定の減速Gをキープしつつ、停止寸前で不快な揺り返しがこないようにブレーキを抜く。些細なことですが、これができるだけでも同乗者からあなたへの好感度は大きく上がることでしょう。
次回はこうしたイメージトレーニングから一歩進んだ実践編を紹介したいと思います。
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