2016年11月4日、地球温暖化対策の一環として、各国にCO2の排出削減目標を課した「パリ協定」が発効した。
「近い将来ガソリン車が消滅してしまうのでは?」などということももささやかれるなか、国産メーカーには果たしてどんな影響があるのか?
文:国沢光宏、ベストカー編集部
ベストカー2016年12月26日号
そもそもパリ協定とは? 発効までの流れ
COP21『パリ協定』が発効した。現在、地球温暖化防止策は大きなニュースとして取り上げられたCOP3『京都議定書』で決められた条約により粛々と進行している。
COP3では、世界最大のCO2排出国である中国やアメリカ、そしてインドなどが無視を決め込むいっぽう、交渉能力の低い日本は無理難題を押しつけられた。
すでにエネルギー効率が高かったのに、厳しい削減量を約束させられたというワケ。
その結果、「目的が達成できなかった時の違約金」である「排出権料」をゴッソリ取られてしまう大出費に。京都議定書は2020年に効力を失うため、ここ数年、次の防止策を模索していたのだった。それがパリ協定である。
意外なことに早い段階から中国やアメリカ、インドなども積極的に協力し、昨年、内容のみ確定していた。それが発効したということである。
世界各国の削減目標。日本の削減目標は“極めて厳しい”
超ぶったまげるのが2030年までの削減目標! 例えばEUは40%である!! アメリカも26%(2025年までの中期目標)。中国は他国と少し違うスケールながら65%目標といった具合。
我が国は、といえば「2013年を基準に26%削減」という厳しい数字を飲まされそうになっている。京都議定書の「1990年比で6%削減」だってうまくいってない。
しかも2013年といえば、京都議定書を守るべく最大限頑張った状態。そこから26%削減など無理である。
さすがに日本政府も当初は批准していなかった。されど発効してしまい、結局批准した。なぜなら「地球温暖化ガスを出して作った製品」について、各国から決定的な輸入制限をかけられてしまうからだ。
そして、日本は条約を批准したのだけど、出遅れてしまったため26%という削減目標はいったんチャラになった。
「これから交渉して新たな目標を決めなければならない」ということなのだ。「EUやアメリカを見習って最低30%は削減しなさい」と言われたら、飲むしかなかった。
ちなみにEUの40%削減は1990年比ということもあり、比較的楽にクリア可能。今や太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーが急増している。
いっぽう、すでに日本のエネルギー効率は世界有数の高さに達している。なのに、今後14年間で、どのジャンルも二酸化炭素の排出量を30%以上も減らさなくちゃならない。
トヨタは「2050年までにピストンエンジン車を現在の10%にする」という目標を立てた。そのくらいの意気込みじゃないかぎり達成できない。
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