トヨタ、日産など国産メーカーへの影響はいかに? パリ協定発効で大波乱!?

識者とメーカーが語るパリ協定の影響

 パリ協定が発効された現在、EVをラインアップに持っていなかったトヨタは2020年までにEVを市場投入することを明確にし、マツダは2019年をメドにEVの導入を表明している。

 そこで、国産メーカー各社の関係者に話を聞いてみた。が、喫緊でなにか動かなければならないという類のことでもなく、皆さん反応はイマイチ。

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日産は専用チューニングコンピュータによりレスポンスのいい走りを実現するノートe-POWER NISMOを発表。EVといえどもエコ一辺倒ではないということを具現化したひとつの方向性だ

 EV主導に舵を切っている日産の某社員に話を聞くと、

 「う~ん、ゼロエミッションに関してはリーダーシップとして掲げているとはいえ、クルマから楽しみがなくなってもそれでいいかというワケではありませんし……。

 ただ、メーカーとしてやらないといけないのは明白で、安全と環境を担保して楽しさを提供したいということですね。

 パリ協定と直接つながるワケではありませんが、ノートe-POWER NISMOなどはピュアEVに手が出せない人にも間口を拡げるきっかけにもなると思いますし、将来的にEVならスポーツモデルも成立すると考えています」

 とのこと。

 続いて経済界に太いパイプを持つライターの永井隆氏は、こう語る。

 「ある程度、国産メーカーとして足並みを揃えないといけないのだが、各社の注力する方向を考えてもひと筋縄ではいかないのが現状。パリ協定の内容から内燃機関の今後はますます厳しくなるのは確実。

 そうなることを見越し、マツダやスズキはトヨタを頼った。そのいっぽうで、三菱を傘下におさめた日産はグルーピングを進めている。

 メーカー幹部との話のなかで出てくる目下の懸念は3つあって、カリフォルニア州のZEV規制法、中国の2020年燃費規制、そしてCAFE(企業別平均燃費)。

 これについて日本メーカーは、技術的にも政治的にも柔軟な対応ができるようにしなければならないだろう。ただ、米国で来年、トランプ政権が発足することになり、状況は混沌として読めなくなっている」

歴史は語る。厳しい規制はむしろ日本車を発展させる

 ここまでで国産メーカーにとって削減目標が厳しいものであることはおわかりいただけただろう。では、パリ協定発効で国産メーカーのクルマ作りにどんな影響をもたらすのか? 自動車評論家の鈴木直也氏は次のように語る。

 「かつての排ガス規制の時もそうだったけど、日本のメーカーは目標やハードルが定まると、それが困難なものであっても結果的に大きなブレイクスルーを成し遂げてきた歴史がある。

 例えばハイブリッド車は累計1000万台を達成し、“フツーのクルマ”としてもはや認知されている。これは本当に凄いことで、世界のどこも真似できない強い競争力を日本のメーカーが持っているという何よりの証拠」

 かつて厳しい排ガス規制が課された時、エンジンの出力など性能面は一時的に落ちた。

 しかし、その後スポーツカーが消えたのか?といえば、答えはNOだ。

 厳しい削減目標というルールのもと、国産車が進化していく時、本当の意味でエコで楽しい国産車が世界をリードする未来が待っているかもしれない。

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2015年に発売された現行型プリウス。初代が登場した時は進化の余地もまだまだあり、販売も伸びなかったが、今では完全に市民権を得た。それでも、燃費一辺倒というイメージは拭えなかったが、現行の4代目はハンドリングなども含めクルマそのものの質も大幅に向上させてきた

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