高市政権の強力な政策支援により、2030年までに主要都市と幹線道路で自動運転車が当たり前に走る光景が実現するかもしれない。
海外展開支援──グローバル競争を勝ち抜く
日本の自動車産業は、国内市場だけでなく海外市場でも戦わなければならない。高市政権は海外展開支援も充実させている。
公約50番では「インフラ海外展開の推進」として「トップセールスの強化などを通じ、インフラの海外展開の案件形成・事業化をオールジャパンで支援」する。高速鉄道や港湾とともに、EV充電インフラや自動運転システムの海外展開も視野に入る。
公約52番では「グローバルサウス諸国との連携強化」を掲げ「これらの諸国の脱炭素化と経済成長の両立、重要物資の確保やサプライチェーン強靱化、デジタル・トランスフォーメーション(DX)」を進めるとしている。
ASEAN、インド、中東、アフリカ──成長市場での日本車のプレゼンス拡大は、産業の命運を握る。トヨタはインドでEV生産を拡大し、ホンダはASEANでの電動二輪車展開を加速させている。高市政権の「オールジャパン支援」は、こうした企業努力を国策として後押しする。
課題と懸念──実現への道のり
高市政権の自動車政策は、極めて野心的かつ挑戦的だ。近年稀に見る「自動車産業に理解があり、手厚い政権」といえる。ありがたい。しかし、政策実現・加速には課題も多い。
【財源の問題】
ガソリン税暂定税率の廃止だけで、年間約2兆円の税収減となる。自動車税制全体の見直しとなれば、さらに大きな財源が必要だ。「責任ある積極財政」を掲げる高市政権だが、財政規律との両立が問われる。「ここを下げたからこっちを上げました」では減税とはいえず、国内経済は上向かない。下手をすると、地方の道路整備の遅れ等が自動車ユーザーが悪者にされかねない。バランスよい財政と、丁寧な説明をお願いしたい。
【既存産業との調整】
電動化やSDV化は、一部のエンジン部品メーカーにとって死活問題だ。数十万人の雇用が影響を受ける可能性がある。政府は「公正な移行(Just Transition)」を掲げるが、現場の痛みを最小化できるかは未知数だ。代替燃料や水素技術、HV技術の研ぎ澄ましなど、マルチパスウェイ戦略を中心に進めることを忘れないでいただきたい。
【技術覇権競争】
中国のBYD、テスラ、欧州勢との競争は熾烈を極める。SDV世界シェア3割という目標は、現状からの大躍進が必要だ。技術開発支援だけでなく、規制環境の整備や国際標準の獲得も重要になる。官民連携を強め、トヨタ、日産、ホンダなどと足並みを揃えて開発の推進にあたってほしい。
【社会受容性】
自動運転やデータ連携には、プライバシーや安全性への懸念がつきまとう。国民の理解と信頼を得なければ、技術があっても普及しない。なにより国・自治体・メーカー・ユーザーという、判断基準の大きく異なるプレイヤーが入り組んでいる構造に、横串を通して話をまとめる存在がない(アカデミズムかメディアがやるしかないとは思うが)。まずはそうした「どういう方向で意見を取りまとめましょうか」というあたりの整備を進めるべきだろう。
■まとめ──転換期の自動車産業、政治が背中を押す
自民党の歴史的圧勝により、高市政権は強力な政治基盤を得た。単独で3分の2を超える議席は、野党の抵抗を押し切って法案を通す力を意味する。
日本の自動車産業にとって、これは大きなチャンスだ。税制改革、国内投資支援、技術開発支援、インフラ整備──政府が本気で後押しする体制が整った。
一方で、業界も覚悟が問われる。政府の支援に甘えるのではなく、自らの力で技術革新を成し遂げ、グローバル競争を勝ち抜かなければならない。
高市政権の自動車政策は、日本の産業競争力を左右する試金石となる。業界と政府が一体となって取り組めば、日本は再びモビリティ分野で世界をリードできる。逆に、この機会を逃せば、後戻りはできない。
なお自動車関連政策については、国民民主党が力強い味方になってくれるはず。浜口誠政調会長はトヨタ自動車出身だし、先日の自動車関連五団体賀詞交歓会には、玉木雄一郎代表も、榛葉幹事長も顔を出した。暫定税率廃止や環境割廃止は国民民主あっての実現だということも考えると、今後もぜひ、与党と連携して政策本位で自動車関連政策の推進に勤めてほしい。
トヨタの豊田章男会長は、繰り返し「自動車産業は100年に一度の大変革期にある」と語っている。その変革の成否を左右するのが、この数年間になる。豊田会長は「自動車ユーザーも国民なんですよ」とも語った。世界に勝てる産業の応援、頼みますよ、日本政府。
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