パトカーマニアが教える、本当に役立つ覆面パトカーの見分け方

パトカーマニアが教える、本当に役立つ覆面パトカーの見分け方

SNSなどを見ていると、あのー……シェアって言うんですか? 面白そうなページを共有するようなシステム(本企画の執筆担当者はSNSに疎い)で、「覆面パトカーの見分け方」みたいなページに飛んでみたりするんですけど、アナログ時代からパトカーマニア歴の長い私に言わせれば、「おいおいおい……」ってな記事が多くて参っちゃうことが多々あります。

そもそも「交通取り締まり用覆面パトカー(通称「交パ」)」と私服警官が乗る「捜査用覆面パトカー」、さらには「要人警護用覆面パトカー」の区別が付いていない記事も散見するのだから困りものです。そうしたページに直面すると、マニアはひとりモニターの前で「いや、あの、それは……」と頭を抱えて悶々とするわけです。正直自分で自分が手に負えていない。

さておき、われわれが「見分けたい」と情熱を燃やすのは、もちろん「交パ」。

そんなわけで本記事は、主に本企画担当のモヤモヤを晴らすべく、「パトカーマニアが教える、交通取り締まり用覆面パトカーの見分け方」をお送りいたします!

※なお本稿は、当然「取り締まられることを避ける」を目的にしたものではありません。交通違反など言語道断、迷惑千万。あくまでパトカーマニアがマニアとして、見分けて楽しんで、時に警察官の皆さまの実直な勤務に感謝するためのものであります。その点、誤解・悪用なさいませんようお願いいたします。

文&写真:ベストカー編集部



「クラウンを見たら覆面パトカーだと思う」


まずいきなりではありますが、いわゆる「交パ」は基本的にほぼすべて車種はクラウン、と言っても過言ではありません。もうね、「クラウンを見たら交通取り締まり用覆面パトと疑え」っていうのはパトマニアのあいだでは常識中の常識です(編集長註/クラウンオーナーの皆さま申し訳ありません)。今日現在、交パとして現役で活動中なのは2003年にデビューした12代目S180系、いわゆるゼロクラウン、2008年デビューの13代目S200系、そして現行型S210系です。

S210がデビューしたときはあの大胆なフロントグリルを見て「これ、パトカー仕様はどうすんのよ!?」と思ったものですが、2017年2月頃からまずは警ら用ロイヤル顔のパトカーが活動を開始し、3月頃から「交パ」としてアスリート顔が配備されはじめました。こうしてパトカーになってみると、案外違和感がないから不思議なもの。もちろんアスリートの覆面「交パ」もすでに存在していますぞ!!


典型的なS180 系クラウンの覆面交パ。前面警光灯はナンバー両サイドにオートカバータイプのものが装着されている。また後ろ姿はトランクリッド左側に装着される「RoyalSaloon」のエンブレムがなく、右側のCROWN エンブレムのみ。この車両は警視庁第五方面交通機動隊に所属しており、ベストカー編集部の近辺でしばしば活動する姿を見かける

ちなみに、なんでクラウンに限ってパトカー採用率が高いのかというと、これはもうきわめてシンプル。トヨタは最初からクラウンをベースにしたパトカーモデルを開発しており、パトカーとして型式認定を取得しているからにほかならないからです。市販モデルの車両をベースにパトカー仕様へと仕立てているのではなくて、最初からパトカー用に開発され、パトカーとして誕生しているのだから、国費で大量購入→全国警察に一括配備するには最適ってことですね。かつては日産がセドリックで同様のことをしていましたが、現在は撤退してしまい、「パトカー仕様」をラインアップに持つのはトヨタのクラウンが唯一の存在となっています。ワンメイクですな。

次ページ:なかなか難易度が高い、覆面交通取り締まりパトカー



かつての「わかりやすい特徴」はもう通用しない


そんなわけでパトカー界では圧倒的多数派のクラウンなんですが、では覆面交パの特徴は……というと、これがなかなか難易度高し、なのでありますよ。

現行型S210系の特徴はあとで記すことにして、まずはまだまだ主流派のS180系、S200系について特徴を挙げていきます。

・ロイヤル顔である(この2形式についてはアスリート顔の目撃報告例はない)

・トランクリッドの「RoyalSaloon」エンブレムがないのがデフォルト

・だがしかし、警察本部や配属先でエンブレムを装着した個体も多数ある

・200系についてはシャークフィンアンテナではなくユーロアンテナ

・リアウィンドウのスモークがやたらと濃い(これは指示を表示する電光掲示板を目立たなくするため)

ま、こんなもんです。昔のバレバレ覆面パトカーのように、「8ナンバー」だとか「鉄チンホイール」だとか「最廉価仕様のペラペラサイドモール&ボディパネルにやたらボリューム感ある3ナンバーバンパー装着」などといった、分かりやすくて特徴的な外観ではありません。

もちろん助手席側Aピラーに補助サイドミラーなんて付けている覆面交パなど皆無。アレを付けているのは要人警護車だけですね。2段式ルームミラーっていうのも最新型では助手席用が小型化されていて目立たなくなっており、パッと見てわかるってことはまずないです。正直、外見からパッと見て「あ、あれ覆面交パだ!!」と見分けるのはかなりの修行が必要ってことですな。ボディカラーだって昔は黒とかシルバーが定番と言われていましたが、現代の覆面交パには純正設定色だったら何でもアリ、と思っておかねばならない状況です。


こちらは同じくS180 系クラウンだが、前面警光灯がグリル埋め込みのLEDタイプとなっていて、ちょっと雰囲気が異なる

それでもあえて外観上の特徴を言えば……ルーフにピョコっと飛び出してくる赤色灯(反転式警光灯)のためのフタ部分の切れ込みがあることと、フロントマスクのどこかに赤い点滅灯(前面警光灯)が仕込まれているってことでしょうか。前面警光灯はS180系ではパンパー下部、ナンバープレート両サイドの目立たない部分にオートカバー式の長方形ランプを仕込んでいるタイプが多く、これは注視すれば「ン!? なんかヘンだぞあのクラウン……」と感づく人もいたけれど、S200系ではフロントグリル内部に小型化されたLED式のランプがビルトインされていて、これがまず目立ちません。正面から日射しを浴びたりすると、奥になにやら見えることもありますが、昔の覆面交パの集光式前面警光灯のように反射板やレンズを使っているわけではないので、直射日光が当たってキラリと輝くわけでもない、と。


関越道で違反車を誘導するS200 系クラウン覆面交パ。前面警光灯はグリル奥にビルトインされたLEDタイプだ

次ページ:ボディを見ても判明できないなら、何を見ればよいのか



「外観上の特徴」ではなく、「◎◎」を見て判断しましょう


ここまでで本文が終わっちゃあ、本記事がタイトル倒れってことになってしまいます。修行を積んだパトマニアともなれば、かなりの高確度で覆面パトを見分けることができるわけで、以下、その奥義を伝授いたします。

・ナンバーの地域名が現在地の地元及び隣接地域である

・高速道路では左車線を比較的ゆっくりと流している

・2名乗車である

・やたらとカッチリした動きをする

・車体がキレイに洗車されていて、しかも妙に無機質

そう、パトマニアはクルマの特徴からではなく、動き方や使われ方から覆面交パを見極めているのです。これを実際のドライブ中の様子の再現から見てみましょう。東名高速道路、秦野中井インターチェンジあたりを走っている場合……。

「おっ、クラウンだ。もしかしたら覆面パトじゃないか!?」

「どれどれ、ちょっと様子を見ますか……。リアガラス真っ黒だし、これは匂うなぁ。90km/hで走るトラックの後ろを、車間距離たっぷり開けて淡々と走っているし」

「おっ、追い越し車線を飛ばすクルマが来た!!」

「あー、警戒もせずに驀進するの〜!?」

「おおっ、クラウンが右ウィンカー3回点滅後、ギュッと尻を沈ませて加速体制。スパッと車線変更して真ん中車線を追い上げていくぞ!!(大興奮)」

「あっ、驀進車が速度を落として真ん中車線に戻った」

「クラウンも速度を落として左車線に戻ったなぁ……。左ウィンカー3回点滅後にスッと」

「どれどれナンバーは……川崎かぁ。これは間違いないねぇ」

「また来た!! 今度は速いぞ!! 追い越し車線を凄い速度でかっ飛ばし!!」

「行くぞ行くぞ!!」

「一拍おいて3回ウィンカーで真ん中車線からイッキに追い上げ。斜め後方の死角に陣取って2〜3秒……」

「ホイ、赤上がった〜!! お疲れさまでしたー!」

ま、こんな感じで見分けておるわけです。取り締まりを認知した違反車ドライバーはブレーキを踏んで観念。前に回り込んだ覆面パトはリアトレイ上に寝ている電光掲示板を起立させて、「パトに続け」と表示。助手席警官が窓からニンジン出して、後方警戒しながら左車線へと誘導。中井PAへと誘導されていくのでありました……、というパターン。


2 台ともに典型的なS200 系クラウン覆面交パ。ルーフ後端中央部のアンテナは標準車ではシャークフィンタイプとなるのだが、これはロッド式のユーロアンテナ。トランクリッド右側のグレード名を示すエンブレムは装着されていない。黒いボディは警視庁高速隊のもので、シルバーは袖ヶ浦ナンバーで千葉県警高速隊。館山道での取り締まりシーン

次ページ:4ドアセダン以外にもあります



「見分ける」というより「嗅ぎ分ける」


東名高速神奈川県内であれば管轄担当は神奈川県警高速隊。厚木インターチェンジに基地があるのですが、本隊は東京料金所のところにあって、所属パトカーは川崎ナンバーです。ただし東名高速大井松田インター〜御殿場インター間は静岡県警との共同管轄エリアとなっているため、静岡県警の沼津ナンバーも活動しています。パトカーマニアは念のために相模ナンバーや横浜ナンバーも警戒の対象としていますが、これが千葉ナンバーだったり浜松ナンバーだったりしたら「対象外」と判断するわけですね。そうそう、実働する覆面交パには希望ナンバーを付けている車両もあるから、「練馬330」みたいな希望ナンバー区分でも警戒度を下げちゃあなりません。

一般道でも基本的には同じパターンで「空気感」を察知して見分ける……というよりも「嗅ぎ分ける」のであります。ある程度目が肥えてくると、これが「見えてくる」から不思議なモノです。クラウンだけではなく、最近ではマークXの覆面交パも多数導入されているのですが、これも基本的な判断要素は変わりません。

また、覆面交パ=4ドアセダンという先入観は捨て去るべきです。過去には3代目ソアラが全国的に大量導入されたことがありましたし、R34スカイライン2ドアクーペが国費モノとして大量導入されたこともありました。都道府県警が独自の予算で導入する「県費モノ」と呼ばれるものにはもっと個性的な車種があり、埼玉県警のR32スカイラインGT-R、R33スカイラインGT-R、R34スカイラインGT-Rは名物的な存在でしたし、大阪府警にはステージアとレガシィリングワゴンの覆面交パが現役として活動中です。

そうそう、都内を管轄する警視庁ではマークXのモデリスタスーパーチャージャーモデルを大量15台、都費で購入してすでに配備済みです。活動中の姿も報告されているのでお気をつけあれ。というより、見かけたら拝みましょう。お疲れさまです。


これを見て「おっ、覆面パト!!」と一瞬で感じ取れるようであれば、かなりパトマニアレベルがアップした証拠である。ルーフに反転式赤色灯が出てくる穴のフタが確認できる

最後に、最近になって実戦配備が開始された現行型S210クラウン覆面交パについて少しだけ。

まだ台数が少なく目撃情報も少ないため、詳細が不明な点も多いのですが、ハッキリ言えることは、これまでのクラウン交パでは「あり得ない」とされたアスリート顔だということです。あの大型グリルにLED前面警光灯がビルトインされていて、これがまず目立たない。ボディカラーも白、黒、紺、銀と何でもありなのだから、やはり見分けは動き方から判別するのがイチバンといえるでしょう。

以上、本企画担当による、覆面パトカーの見分け方でした。

【覆面パトカーの反転灯出現シーン動画】