「道路づくり」は「街づくり」 道路建設業協会が支える日本の道づくりの技術と未来

路面で電気を作り、走りながら充電する——「道路」とともに進む次世代モビリティ

 資料集の第3章「新たな空間整備に向けて」は、一歩先の未来技術を紹介するセクションだ。その中でも特に注目を集めたのが「路面型太陽光発電」だ。

 たとえば国道6号沿いの「道の駅なみえ」(福島県浪江町)では、駐車場と施設を結ぶ通路部分の路面に太陽光発電パネルが設置されている。1枚あたりの発電能力は130W。蓄えた再生エネルギーを活用して、夜間に横断歩道付近を発光させることで、車両と歩行者の衝突リスクを軽減するシステムが実装済みだ。

道路が発電する、という機能はすでに実装されている
道路が発電する、という機能はすでに実装されている

 また、東京・新宿御苑では環境省の実証事業として路面型太陽光パネル48枚を敷設。2025年度の1年間で、御苑内の照明等に使用する電力の1.5%を路面発電でまかなうことができたという。

 さらに注目すべきは「給電舗装技術」だ。柏の葉スマートシティ(千葉県柏市)では、国土交通省・東京大学・柏市が協議会を組んで、「電気自動車への走行中給電の公道実証実験」を2年間にわたって実施してきた。走行しながら道路側からEVに非接触給電するこの技術は、将来のEV社会において充電インフラの在り方を根本から変える可能性を秘めている。

自動車情報専門メディアなので、どうしても「もっと自動車メーカーや自工会と連携してほしい!」と思ってしまう。いや連携はしているんだろうけど……手伝えることがあればぜひお知らせください
自動車情報専門メディアなので、どうしても「もっと自動車メーカーや自工会と連携してほしい!」と思ってしまう。いや連携はしているんだろうけど……手伝えることがあればぜひお知らせください

 ホログラムを使った案内技術、駅構内の路面に投影するIRDサイネージ、配送ロボットや電動車椅子が通行しやすいよう人・モビリティ・自転車の走行ゾーンを路面で明確に分けたスペース設計——こうした技術がすでに実証段階に入っていることは、多くの読者にとって驚きではないだろうか。

 海外では、たとえば「AASHTO」(米国全州道路交通運輸行政官協会)が歩行者施設のガイドライン(2021年第2版)や自転車施設のガイドライン(2024年第5版)を整備しており、車椅子の回転スペース(直径約1.5m)や白杖使用者の横スペース確保、ショッピングエリアでの歩行者間隔(2.7〜3.6m)など、人間中心の精緻な設計基準が定められている。

 今回の資料集はこれらの基準を紹介することで、「日本の道路設計はまだ追いつけていない部分もある」という問題提起も行っている。パリのシャンゼリゼ通りやレピュブリック広場の再整備、バルセロナのスーパーブロック計画、シアトルのアラスカンウェイ高架橋撤去後の歩行者空間再生——世界各地の事例を収録した点も、この資料集の説得力を高めている。

若い世代に届けたい「街をつくる仕事」というメッセージ

 今回の発表が持つ意義は、技術の紹介にとどまらない。

 会見に参加したワーキングメンバーは口を揃えて言う。

「道路業界はモノトーンのイメージが強くて、なかなか若い人が集まらない」

 確かに、道路建設会社が「街をつくる仕事」として認知されることは少ない。しかし今回の資料集が示す技術の数々は、デザイン、環境、ICT、モビリティといった複合的な知識を要するものばかりだ。カラー舗装で都市の景観を変え、路面太陽光発電で再生エネルギーを生み出し、自動運転を支える磁気マーカーを路面内に埋め込む——こうした仕事は、これからの日本を支えるために日々学び、将来を担う若者たちにとって、確かに「未来をつくる仕事」に映るはずだ。

 西田会長は会見の締めくくりにこう語った。

「今年フランスの世界道路会議に出席しました。シャンベリーという地方都市で開催されたのですが、フランスは建物も道路も昔のまま石張りで、それが絵になるんですね。今、日本には年間4000万人もの訪日客が来てくれている。日本にも、そういう絵になる道路がもっとあっていいんじゃないか。黒いアスファルトだけよりも、そういった道路が増えれば、もっと人気の出る街になるんじゃないかと、そんなふうに思っています」

道路建設の未来を語る道建協・西田義則会長(大成ロテック)。日本の道路建設は世界のトップランナーだが、それでもまだまだ見習うべきところはある
道路建設の未来を語る道建協・西田義則会長(大成ロテック)。日本の道路建設は世界のトップランナーだが、それでもまだまだ見習うべきところはある

 資料集は日本道路建設業協会のホームページからPDFで閲覧・ダウンロードが可能だ。自治体の担当者や設計コンサルタント、建築事務所など、道づくりに関わるすべての人に読んでほしい一冊である。

【参考資料】道路空間が変わる…人と環境を繋ぐ道づくり(道建協公式サイト)

 本企画担当編集は、日本自動車工業会も担当する。現会長である佐藤恒治氏(トヨタ自動車副会長)は、会見のたびに「協調と競争」の大切さを語り、激動の自動車業界内で自らと自工会が潤滑油となり、日本の自動車業界が生き残るための連携に汗をかいている。

 今回、道建協は、各道路建設業者の垣根を越えて「道路の未来のため」に資料集を作成し、「わたしたちはこんなことが出来ます!」と声を挙げた。こうした声は、道路の恩恵を日々全身に受けているクルマ好きこそ真摯に受け止めたい。そして出来れば自動車メーカーやクルマ好きとももっと連携してほしい。いつもありがとうございます。そして、これからもよろしくお願いします。

【画像ギャラリー】「道路づくり」は「街づくり」 道路建設業協会が支える日本の道づくりの技術と未来(5枚)画像ギャラリー

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

待望のGRヤリス、次期型判明!!『ベストカー 6月10日号発売!』

待望のGRヤリス、次期型判明!!『ベストカー 6月10日号発売!』

ベストカー 6.10号 定価 590円 (税込み)  長かったゴールデンウィークもついに幕を下ろし、…